「人間中心AI」をめぐる各国の取り組みと最新事例について発表ーAppier チーフAIサイエンティスト ミン・スン

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Appier

AI(人工知能)テクノロジー企業のAppier(エイピア、共同創業者/CEO:チハン・ユー、以下Appier)のチーフAIサイエンティストであるミン・スンは、「人間中心AI」をめぐる各国の取り組みと最新事例について発表します。

1. 新型コロナウイルスがデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる
新型コロナウイルスの感染拡大・防止に取り組まざるを得ない状況の中、我々の置かれた環境は大きく変わりました。在宅勤務の浸透や出張禁止など、移動の制限が生じる一方で、人工知能(AI)を含む最先端のテクノロジーを活用してこれからの社会、そしてビジネスをどう変えていくか?といった試みが始まっています。

コンサルティング企業Protiviti Oman(プロティビティ・オマーン)社のシャーサ・アル・マスキリー(Shatha Al Maskiry)氏はTwitter上に「自社のデジタル・トランスフォーメーション(DX)をけん引するのは?」との質問の回答選択肢に、「CEO」「CTO」の他に「新型コロナウイルス」を追加しています。

全ての業界でDXが進むということは、データが大量に発生することを指します。データが大量にある将来、AIがもたらす利便性はますます重要なものとなります。新型コロナウイルスは職場と日常生活におけるAI活用を加速させます。これは、スタンフォード大学デジタルエコノミーラボ所長のエリック・ブラインジョルフソン(Erik Brynjolfsson)氏も同じことを言っています。
今後も人間と機械は共生していくでしょう。そのうえで、以下のような質問が出てくるはずです。
「人間にとって使いやすいAIの設計はなんでしょうか?」「AIと協力しながら人間のルーティン作業を効率化させるには?」「このような変革は社会にどんな影響を与えるのでしょうか?」「現在のAI技術の限界は?」
以下にスタンフォード大学が出したこれらの質問への回答と、各国のAIに関する取り組み方針を紹介します。

2. AIは良くも悪くも汎用技術
スタンフォード大学のHAI(Institute for Human-Centered Artificial Intelligence)は、AIは汎用技術だと定義しています。AI技術は中立であり、良くも悪くもなれるため、その人の使い方次第ということです。そこでスタンフォード大HAIでは、19年3月に「人間中心のAIを開発する必要がある」という声明を出しています。その声明では、人類はAIによる恩恵をみな等しく受けるべきであり、AIの恩恵はごく一部の人たちだけに限定されないものである、またその恩恵は共有可能なものであるべきだと唱えています。

3. AIがもたらすポジティブな影響とデメリット
チャットボットなどのアシスタント機能を例にとると、AIがもたらすポジティブな影響はわかりやすいかと思います。多様な言語に変換でき、作業効率を向上させます。ただ、そうした機能の中には、提示される文例が過剰なまでにポジティブとなる報告も出ています。メールを受けとった側は、本来とは違った文面や表現を読んで、返信した本人はどこまで自分で書き上げたのか不審に思うことにもつながるため、透明性と信頼性の問題も出てくるでしょう。AIの専門家は将来予測される、このような問題に取り組むことを忘れず、AIが社会に良い影響を与えるために、討論し続けていくことが重要です。

そのほか、最先端技術を活用して開発された顔認証は様々な議論を呼んでいる技術です。人によって技術への理解レベルが異なるため、人権やプライバシーを優先にすべきなのか、テクノロジーの利便性を優先すべきなのか、といった議論が起こっています。全ての分野の専門家が話しあって、これは良い使い方だ/これは悪い使い方だ、と十分に討議すべきです。最も悪いのは「何か問題がありそうだから全面禁止にしよう」という考えです。なぜなら、顔認証テクノロジーも汎用技術で中立的であり、それをどう使うかで良くも悪くもなるからです。

4. AIがもたらす影響に関して、アメリカと中国の取り組み
AIがもたらす影響についての解釈は各国で異なります。アメリカと中国ではどのような解釈を出しているのでしょうか。アメリカではホワイトハウスが、「AIはどうあるべきか?(https://www.whitehouse.gov/ai/ai-american-worker/)」について発表しており、「アメリカの価値観を取り入れなければならない」としています。アメリカの価値観とは、人権の保護、プライバシーの保護、そして平等です。

他にも、AIはどうしてこの回答/解決策を導いたのか説明できるようにする必要がある、つまり人間が理解できるようなAIにしないといけないとしています。したがってDARPA(アメリカ防総省が管轄する国防高等研究計画局(https://www.darpa.mil/)においては説明可能なAI(XAI)プログラム(https://www.darpa.mil/program/explainable-artificial-intelligence)の研究が進んでいます。
また、DARPAが「AIネクスト(https://www.darpa.mil/work-with-us/ai-next-campaign)」キャンペーンにおいて提案している通り、AIにおける「公平性」と「セキュリティー」を重要視しています。例えば、データ収集時に白人だけのデータを収集するのは公平ではないとしています。また、他のソフトウェアと同様、AIシステムもセキュリティー上の危険にさらされたとき、どのように対処するのかを議論しています。

中国では、2017年の発表(http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-07/20/content_5211996.htm)から、効率よくAIシステムを開発できるように規制・倫理政策の設計を行い、AIシステムの開発を保護していくことが読み取れます。中国はAIの知的財産を開発していきたいとの思いがあり、アメリカも同じことを思っていますが、両国は、広範囲にAIシステムを使いたいという共通の目的があります。広範囲にAIシステムを使う場合、その安全性が求められるため、両国は安全性の標準を作ろうとしています。そしてその標準に基づき、教育、医療、保険、社会支援などで活用していきたいとの方向性が示されています。

5. 次世代のAI技術
次世代のAI技術は、これまでのAIと比べて以下の3点の部分が違います。
まずは、AIの精度を保証したAIシステムが普及すること。たとえば自動運転について高速道路では、AIの精度が保証されたAIでないと走れなくなる、といったことが起こるでしょう。

さらに必要となるのは、「知らないと言えるAI」です。今のAIは1万件に1回は間違いを起こしますが、それでも自信をもって問題を解決したという結果を出します。今後はわからないことはわからないと言えるAIが求められるでしょう。これは説明可能なAIとも通じます。

次世代AI技術が次々に開発される中、AIがあらゆる産業の生産性向上に寄与できるのはいつか?という質問が生じます。回答としては、業種によって時間が異なる、ということです。検索エンジンやソーシャルメディア、デジタルマーケティングの分野では既にAIを活用することで生産性がぐんと上がっています。一方で、ヘルスケア、医療、科学研究の分野ではようやく使われ始めた段階ですから、実際の成果が出るまでにもう少し時間が必要でしょう。

Appier について


Appier は、AI(人工知能)テクノロジー企業として、企業や組織の事業課題を解決するための AI プラットフォームを提供しています。詳細はhttps://www.appier.com/ja/をご覧ください。
※過去の発表はhttps://www.appier.com/ja/news/をご覧ください

ミン・スン プロフィール



2005年からGoogle Brainの共同設立者の一人であるAndrew Ng(アンドリュー・エン)氏、元Google CloudのチーフサイエンティストであるFei-fei Li(フェイフェイ・リー)氏などのプロジェクトに携わり、AAAI(アメリカ人工知能学会)をはじめ世界トップの人工知能学会で研究論文を発表。
2014年に国立清華大学の准教授に就任。2015年から2017年には、CVGIP(Computer Vision Graphics and Image Processing)Best Paper Awardsを3年連続で受賞。
専門分野は、コンピュータビジョン、自然言語処理、深層学習、強化学習。2018年には「研究者には肩書きよりもデータが必要」と感じ、AIテクノロジー企業AppierにチーフAIサイエンティストとして参画。新製品の開発、既存製品の機能改善のほか、記述的な課題解決を行う。
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