ドイツ工学アカデミー評議会議長ヘニング・カガーマン博士が受賞!第41回『本田賞 授与式・記念講演』事後レポート

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公益財団法人 本田財団
製造、流通、物流、ヘルスケア、社会基盤、農業などあらゆる産業において現実とデジタルを結び付けた産業最適化概念「インダストリー4.0」を提唱

公益財団法人 本田財団(設立者:本田宗一郎・弁二郎兄弟、理事長:石田寛人)は、2020年11月17日(火)に第41回「本田賞 授与式」を開催し、ドイツ工学アカデミー評議会議長ヘニング・カガーマン博士(以下、H.カガーマン博士)に本賞を授与いたしました。41回目となる本授与式は、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、初めてオンラインにて開催し、日本とドイツをはじめとした世界各国を中継して実施いたしました。



 主催者挨拶では、本田財団理事長 石田寛人が「第41回目の受賞者として、カガーマン博士をお迎えできたことは、この上ない喜びであり、心から歓迎申し上げます。カガーマン博士が唱導されてきたインダストリー4.0は技術の一方的な進展によって社会にもたらされる可能性があった混乱と悲劇を予見し、人々が適切に対応していくための道筋を示した。カガーマン博士の成果は、まさしく本田賞の精神に沿った偉大な業績であり、今回の受賞となったものであります。」と称賛を述べました。

 その後、本田賞選考委員 選考副委員長 内田裕久は「選考過程で重視したのは、どのようなチャレンジをして、その結果が業績として世界の人々の実生活にまで、いかに寄与しているかです。インダストリー4.0は製造技術デジタル化の研究開発を推進するもので、先進国のノウハウ提供を通した、新興国、途上国の発展を促進し、持続可能な社会の実現に寄与するものであります。また、カガーマン博士はインダストリー4.0の発展形として、プラットフォーム型のビジネスモデル「スマート・サービス」や人工知能や機械学習を用いて学習する「自律システム」の普及で主導的な立場を担っています。こうした取組みは本田賞にふさわしいとして、今回の授賞に至りました。」と、説明いたしました。

 賞状・メダル授与が行われるとカガーマン博士は「インダストリー4.0に取り組んだ専門家の努力が認められたと受け止めています。インダストリー4.0は強靭で持続可能な社会を作るため、あらゆる危機に耐えられる社会を作りたいという思いから研究を行いました。テクノロジーはあらゆる問題を解決するが、危険性もある。そんな中でインダストリー4.0が必要なのです。選考委員の皆様、本田財団の皆様、インダストリー4.0に関わった全ての人と共に御礼申し上げます。」と、ドイツから喜びの声を寄せました。

 その後、富士通(株)代表取締役社長 時田隆仁様、ドイツ・アクセンチュア会長 フランク・リーメンスペルガー様、本田技研工業(株)取締役会長 神子柴寿昭様による来賓祝辞をいただき、最後に、カガーマン博士による記念講演が行われました。参加者より沢山のコメントや質問を頂き、大変盛況な中、閉会の運びとなりました。


カガーマン博士 記念講演

本田賞受賞を記念して、カガーマン博士による記念講演「Industrie 4.0: Enabler of Economic Growth and Social Benefits(インダストリー4.0:経済成長と社会的利益の実現)」が行われました。新型コロナウイルス感染拡大の真っただ中にいる現代社会おいて、デジタルトランスフォーメーションを加速させる必要性や、インダストリー4.0を提唱されたきっかけ、そしてインダストリー4.0が経済及び社会にどのような影響を与えるのかについて講義いただきました。

質疑応答では、「インダストリー4.0のように社会に重要な新しいコンセプトを生み出すためには、日頃どんな努力を積み重ねればいいのか」という質問に対し、「世界に影響を与える様々な専門家を集め、巻き込んでいくことが重要であり、そういった方々に講演をし、説得することが大切」と述べられました。また、「インダストリー4.0や、AI、Iotの時代で、先進国においてはプログラミングが学校のカリキュラムに組み込まれている中で、学生や若い世代に求められるスキルとは」という質問に対しては、「コミュニケーションやチームビルディング、プロジェクトマネジメントのようなソフトスキルが重要。何かについての専門家になり、一つのことについて生涯研究するのではなく、新しいアイディアを多く受け入れ、それをすぐに学び、取り組んでいくことこそ今の若い世代には必要。」と語りました。

最後にカガーマン博士の今後のについて、「今回パンデミックとなりデジタルトランスフォーメーションの加速化の重要性が明白になった。それにより私は、国際協力こそがカギであると考え、今後も国際的な協調を推進していけたらと思っている。そして、今後も自立システムを日々の生活に組み込むことに注力していきたい。今後もいろんなテクノロジーに注目し、社会的問題を解決していこうと考えている。」と今後の展望についてもお話いただきました。

『インダストリー4.0』とは

2008年のリーマンショックを受けてドイツ政府は、今後の経済発展の原動力となる成長戦略を必要としていたなか、当時ドイツ工学アカデミー会長であったH.カガーマン博士が提唱したのがインダストリー4.0でした。

人類はこれまで産業革命を3回経験してきました。18世紀末に訪れた最初の産業革命では水力や蒸気機関が、20世紀 初頭に訪れた2回目の産業革命では電力が動力源となり、人手に頼ったあらゆる産業の機械化・工業化が進みました。1970年代から始まった3回目の産業革命では、ロボットや工作機械といった製造設備が普及するとともに、コンピュータの活用により人の知能に関連する作業も代替することが可能になりました。

そしてH.カガーマン博士が提唱するインダストリー4.0は4回目の産業革命であり、現在進行中のものです。情報技術の導入によって社会のあらゆる機械がインターネットに接続され、モノとサービスのインターネット(Internet of Things <IoT> and Services)が導入されることを指しています。
しかし、インダストリー4.0の影響は製造業の生産性向上にとどまらず、その大きな目的は人間の能力が作り出す付加価値の高度化、勤務環境の改善、生涯教育の実現、さらには資源の合理的な使用にあります。働く人を定型的な業務から解放し、価値を創造する活動に集中できる労働環境をもたらします。また、先進国が有する技術や経験といったノウハウを新興国・途上国に提供することにより、発展を促し、持続可能な社会の実現と、ワークライフバランスの改善をもたらします。

日本では第5次科学技術基本計画でSociety 5.0が提唱されるきっかけとなり、中国も 「中国製造2025」計画を策定、米国ではインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)に代表されるIoTの産業実装を目的とした企業団体が続々と設立されるなど、大きな広がりを見せています。

インターネットによりモノとサービスが「つながること(Connected)」自体は、20世紀後半からありますが、インダストリー4.0はデータを活用して産業の本質を可視化、透明性、予測可能性、自律化へと発展させます。また、製造業のみならず各産業において柔軟性と機敏性を持った最適化を目指すなかで、人間の存在自体を含めた、よりよいエコシステムの実現を狙った、全世界に対する一つの考え方を提示したものです。


『ヘニング・カガーマン博士』プロフィール



ヘニング・カガーマン博士/教授
ドイツ工学アカデミー(acatech)評議会議長


<学歴・学術的経験>
1972年
ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン 実験物理学部 卒業 1973~1982 年:ブラウンシュヴァイク工科大学 理論物理学 博士課程&ポスドク過程
1985年 :ブラウンシュヴァイク工科大学 物理学員外教授
<職歴>
ドイツのソフトウェア会社 SAP AGにてプロジェクトマネジメント/コントロールを担当。 同社の執行委員に任命された(1991)後、共同 CEO (1998~2003)、CEO (2003~ 2009)を歴任。


本田賞とは

本田賞は、エコテクノロジーの観点から、次世代の牽引役を果たしうる新たな知見をもたらした個人またはグループの努力を評価し、毎年1件その業績を讃える国際褒賞です。
本田賞の特徴は、いわゆる新発見や新発明といった狭義の意味での科学的、技術的成果にとどまらず、エコテクノロジーに関わる新たな可能性を見出し、応用し、共用していくまでの全過程を視野に、そこに関わる広範な学術分野を対象としているところにあります。
自らの研究に心血を注ぎ、新たな価値を生み出した科学技術のトップランナーを支援する事が、やがてその叡智を、私達が直面する課題解決に役立てていくための第一歩となります。この観点から、当財団では今後も幅広い視野のもと、さまざまな分野の業績にスポットを当てていきたいと考えています。
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