株式会社島津ビジネスシステムズは1月23日、同社が運営するAI(人工知能)を用いた桜の開花・満開予想サービス「AIさくら予想」において、北海道、奄美沖縄地方を除いた各都道府県のお花見スポット1006ヵ所を対象とした桜の開花・満開予想を発表した。
「最速は東京、3月19日に開花の見込み」と予想
AIによる予想では、東京が3月19日(平年より7日早い)、名古屋が3月27日(平年より1日遅い)、大阪が3月30日(平年より2日遅い)、京都が3月26日(平年より2日早い)となっている。最も開花が早いのが東京で、開花が遅いとされるのは青森で4月23日と予想している。
「お天気☆JAPAN」で発表された(画像は公式サイトより)
ちなみに、満開時期は、東京が3月26日、名古屋が4月2日、大阪が4月6日、京都が4月2日とのこと。そのほか、全拠点の開花・満開情報は下記のページから閲覧できる。
>>AIさくら予想(外部サイト)
2020年は、九州~東海・北陸地方では桜の開花、満開ともに平年並みかやや遅めとなるところが多く、関東甲信~東北地方では、平年よりもやや早めとなるところが多い見込みだそうだ。
花見の日程調整なども、AIでうまいことやってくれる未来が来そう
同社のAIさくら予想は、桜の開花や気象などに関するビッグデータをAIに学習させることで、「咲き始め(開花)」から「終わり」まで6段階の状態を予想するサービスだ。全国1000会場から10年間にわたって収集された桜の開花状況に関するデータ約98万件、1998年以降に全国のアメダスから収集された約10万件の気象観測データなどを使用。桜の「休眠」「休眠解除」「花芽発育」の各ステージと、気温をはじめとする気象の変化パターンの関係をAIに学習させることで独自の予想を行い、毎日最新のデータに更新している。
プレスリリースによれば、今シーズンの開花予想では、昨シーズンのAIモデルに2018年のデータを学習させ、更なる改良を施した。2019年の開花データをもとに改良前と改良後のAIモデルの精度を比較した結果、改良後のAIモデルでのプラスマイナス2日以内の適中率は62%となり、改良前のAIモデルから9ポイントの精度向上を達成したという。
>>プレスリリース(共同通信PRWire)
進む気象予測AI、竜巻の発生検知も登場
AIさくら予想でも使われている気象観測データは、さまざまな領域での活用が進められている。
たとえば、需要予測という領域。それこそ、天候によって店舗をオープンするか、工場を稼働させるか否かなどの判断基準になるのだ。そのため、需要予測という分野について、2018年11月にエクサウィザーズと日本気象協会がAI活用した気象ソリューションサービスの共同開発の開始を発表した。
この発表時のプレスリリースによると、エクサウィザーズは「近年激しさを増す気象環境下でのリスク軽減を検討している企業を対象に、まずは『商品需要予測』の分野から展開していく」という。
また、近年日本付近での発生数が問題視されている「竜巻」についてのAIも登場している。
近年、日本では竜巻発生確認数が毎年20件を超えている。自然災害リスクを減らすためにも、竜巻を素早く的確にとらえ、危険を回避するための気象予測情報は非常に重要だとされていた。しかし、竜巻は風向きが複雑で、多様なパターンがあったことから、局地的に発生する竜巻渦だけを正確に自動検出することはこれまで困難だった。
そんななか昨年12月、株式会社Preferred Networks(PFN)は、気象庁気象研究所が実施する「AIを用いた竜巻等突風・局地的大雨の自動予測・情報提供システムの開発」の契約先として、その中核技術となる夏季の竜巻探知技術開発の開始を発表した。
深層学習を用いて、どこで竜巻が発生しているかを正確かつ自動的に検出する新たな手法の開発を開始。竜巻検出システムは、鉄道をはじめとするさまざまな高速交通、さらには突風の影響を受けやすい分野に情報を提供することで、安全性向上につながると期待されている。