AI社会実装の“準備”は完了した。ABEJAが描く2019年の事業戦略

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3月5日、株式会社ABEJAは、自社が主催する日本最大級のAIカンファレンス「SIX 2019」にて記者会見を開催。

ABEJAが掲げる「ゆたかな未来を、実装する」の実現に向けた、「ABEJA Platform」をコアサービスとする最新の事業戦略や取り組み、「ポストAI」を見据えた新プロジェクト「ABEJA X」の概要など、今後の事業戦略について発表しました。

「AIの民主化」を推し進めるABEJA。海外展開にも力を入れる

ABEJA代表の岡田陽介氏は今後の事業戦略の概要について以下のように話します。

――岡田
「AIに関してはまだ発展途上の部分が大きいと思っています。だからこそ、我々は今後もAI分野に強く踏み込んでいく、というのが大まかな方針です。ABEJAはディープラーニング技術が劇的に進化する2012年ごろからAI分野に取り組んでいました。この点はこれからも我々が生かしていくべき強みだと考えています」

今後の方針としては、「AIの民主化」の促進に引き続き注力していくとのこと。

具体的には、AIの運用、開発を省力化するABEJA Platformをコアサービスとして様々な業界のAI導入、活用を支援していきます。

ABEJA Platformの本番運用実績はこれまでで150社以上。発表では、最新のABEJA Platformを活用した事例として、

が挙げられました。

また、AI開発の初期仮説検証が簡略化する「ABEJA Platrom Accelerator」のα版の試用開始を発表。AIの「教師データ」作成を省力化する「ABEJA Platfrom Annotation」なども活用することで、一気通貫のスムーズなAIモデルの開発が実現可能に。誰でも気軽にAIを使える「AIの民主化」に向けて着実に成果を上げています。

グローバル事業にも力を入れる狙いです。事例として、シンガポールの大手鉄道会社SMRTと交通機関産業におけるマネジメント領域において、ディープラーニングを活用した研究開発に着手していることが取り上げられました。

今後は、日本で培った経験をもとに、ABEJA Platformを活用し、シンガポールを中心とするASEAN諸国においてインフラ、製造業中心にプラットフォームの普及、拡販を進めていくとのこと。

「SIX 2019」のような大規模なAIカンファレンスをシンガポールで開催予定であることも発表。ブランディングにも注力しながら積極的に海外進出を進める狙いです。

「ポストAI」を見据えた新プロジェクト「ABEJA X」。量子コンピューターのソフトウェア開発を目指す

「ポストAI」を見据えた技術を研究開発する新プロジェクト「ABEJA X」についても発表されました。

AI・ディープラーニング技術が目覚ましい発展を遂げる一方、アメリカを中心に「ポストAI」を見据えた最先端テクノロジーの実用化に向けた研究が進んでいます。

このような潮流の中で、ABEJAは次の社会実装を支える新しいテクノロジーの研究開発するプロジェクト「ABEJA X」を発表。第1弾として、「量子アニーリング」のソフトウェア研究開発プロジェクトを進めていく方針です。

「量子アニーリング」は、量子力学の原理を用いた次世代コンピューターの方式の中で、一定の条件下で組み合わせ最適化処理を高速かつ高精度に実行できるのが特徴。交通、製薬、金融など、社会全体の最適化をもたらすテクノロジーとして期待されています。

ABEJAは2019年4月に発足予定の、企業や研究機関で創る「量子アニーリングコンソーシアム」に参加するほか、量子アニーリング分野の第一人者である東京工業大/東北大准教授の大関真之氏との共同開発に着手するとのこと。

AI・ディープラーニングの社会実装に取り組む一方、将来を見据えた次世代テクノロジーの研究開発にも積極的に取り組んでいく方針です。

AIの社会実装は“準備完了”した。ABEJAが描くこれからの世界

ABEJA代表の岡田氏は、社会全体を俯瞰して、ふたつの理由でAIの社会実装における“準備”が完了したと話します。

――岡田
「ひとつは、画像認識に比べ、ディープラーニングが苦手としていた自然言語処理も、2018年にGoogleが開発したBERTによって汎用的に活用できるようになる等、ディープラーニングの飛躍的な進化があったこと。

もうひとつは、ディープラーニングの実装に関しても、TensorFlowなどのフレームワーク、ABEJA PlatformといったAIの運用開発を省力化するプラットフォームが充実してきたことで、多くの人がAIを実装できるようになってきたことです」

技術的課題が解決される一方、AIは幻滅期へ差し掛かっていると言われます。

岡田氏は、幻滅期に突入する今だからこそ、ABEJAが掲げる、「テクノプレナーシップ」の行動精神をもとに、どのようにテクノロジーを活用して理想の世界を創るか、理想の世界を創るためにどのような技術開発を進めていくべきか。テクノロジーとリベラルアーツの円環によるイノベーションの実現が重要になっていくことを繰り返し述べました。

「ゆたかな世界を、実装する」のビジョンを掲げ、AI、ディープラーニング領域だけでなく、次の社会実装を実現する新しいテクノロジーに着手していく方針を発表したABEJA。「ポストAI」を見据えた今後の躍進に期待が高まります。