2019年6月28日、アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京にて経営コンサルティング大手アクセンチュア株式会社と産業用ロボットベンチャー株式会社MUJINの協業が発表された。
協業により、物流倉庫の最適化を経営層を含めた会社全体で取り組めるようにするのが狙いだ。
発表会には両社トップのアクセンチュア株式会社 代表取締役社長 江川昌史氏と株式会社MUJIN CEO 兼 共同創業者 滝野一征氏が登壇した。
汎用的でティーチレスなロボットコントローラ
株式会社MUJINは2019年2月13日に総額75億円の資金調達を達成するなど、産業ロボット分野で急成長中の知能ロボットコントローラメーカーだ。
同社が主力商品としているのは「知能ロボットコントローラ(MUJINコントローラ)」と呼ばれるソフトウェアだ。三菱電機やデンソーなど、多くの産業機械メーカーに対応しており、工場内すべてのロボットの操作性を統一できる。
MUJINの知能ロボットコントローラは、操作方法が汎用的であるのに加え、ロボットへのティーチングやセンサーとの連携に難解なプログラミングは必要ない。
同社のロボットコントローラでロボットが知能化されると、モーションプランニングが可能となり、ロボット自身が状況を判断し動作に移せるようになる。
モーションプランニングが搭載されていれば、重さやサイズが異なる数万種類の荷物を扱う物流分野でも、ロボットが仕分けや梱包、ラベル貼りまでできるようになるという。
モーションプランニングとは干渉回避、機会機構、モーターの特性だけでなく、把持方法やハンド姿勢に対する制約条件等に至るまで、さまざまな制約条件を確実に満たした軌道を自動生成しながら、ロボットを制御する技術。
たとえば、目的物を掴むためにはどのアームをどの方向に何センチ動かすべきなのか、ロボット自身が判断できるようになる。
会社全体を巻き込んだ物流設計の最適化を
今回の協業にあたり、株式会社MUJIN CEO 兼 共同創業者 滝野一征氏は以下のように期待を寄せる。
「倉庫一区画だけの最適化はMUJIN単独でもできます。
しかし、あまり大きな効果は見込めません。局地的な課題を解決するよりも、会社全体を巻き込んで物流の最適化を行う必要があるのです。
経営層へのコンサルティングも行うアクセンチュアと協業すれば、物流課題へ大きな投資がされやすくなると考えています。
海外展開も視野に入れており、アクセンチュアのグローバルなネットワークも魅力的です」
アクセンチュアは物流以外にも「産業×AI」の各領域に注力しており、特に人手が不足している業界へのサービス提供を狙う方針だ。
ECの拡大により物流分野でますます人手不足が深刻化するなか、アクセンチュアとMUJINの協業によりどう物流が変わるのか、今後の取り組みに注目したい。