最新AIテクノロジーが実現する『これから考えるべき』アクセシビリティ

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こんにちは。イイノです。

突然ですがみなさん、マーケティングにおけるアクセシビリティ対応ってどうしてます?

  • サイトの読み上げ対応したから大丈夫?
  • 複数言語対応に文字サイズ変更できるからOK?

いやいや。実は、最新テクノロジーが叶えようとしているアクセシビリティな新時代はそんなもんだけじゃ終わりじゃないんです。

Webが社会インフラになり、利用者が拡大し、アクセシビリティへの高い対応がそのままマーケットユーザーの拡大につながる時代。(障害+高齢ユーザーを合わせると対象は全体の10%を超えるとかなんとか)

だからこそ、そろそろ知っておきたい具体的なネタについて、ちょっとまとめてみました。

盲目のエンジニアが開発したリアル読み上げツールMicrosoft “Seeing AI”

Seeing AIをつけてミーティングに臨む開発者

7歳から視力を失っているというサキブシェイクさんが開発担当をしたという”Seeing AI”。MSのリリースした「リアル読み上げツール」です。

専用スマートサングラスか、スマホで動くらしいんですが、要するに

  • 対象をカメラで撮影
  • データをアプリで取り込む
  • AI画像解析を実行して解析結果をレス
  • 結果を音声で案内してくれる

という、言えばカンタンですが、割とトンデモなSF機能を搭載しているすごアプリだったりします。

もちろん目が見えない人にとって文字通り目の代わりに。健常な人にとっても、海外旅行やスポーツ観戦など、使えるシーンは多そう。

開発した本人が嬉しそうに使っているのを見ると、ほっこりしつつも新しいマーケットの可能性にワクワクしますよね。

このツールのような、画像取り込み ⇒ 解析 ⇒ 音声案内というフローは、リアルビジネスの場をはじめ、様々なところで活かされていきそうですね。

リアルタイムに周りの状況がわかるBaidu “Dulight”

Dulightをつけている女性

勝手にデータ抜いたりいろいろやらかしてるBaiduですが、今回はちょっと認めてもよさそう。”Dulight”はMSの”Seeing AI”同様、「リアル読み上げツール」です。

“Dulight”は専用の小型カメラを使うんですが、やってることはMSの”Seeing AI”とほぼ一緒。ただここには大きな違いがあります。

写真の撮影、要らないんですよ。

専用カメラをつけて歩いているだけで、映ったものをリアルタイムで読み上げするというクレイジー仕様。動画を見る限り、カメラに写った人の名前を読み上げてくれるといった機能もあるようです。

“Dulight”は盲目のユーザーのために作られていますが、このままカメラとAI解析の精度をあげていって小型化が進んだと仮定すると他のマーケットも見えてきます。

例えばロボットの目に応用したり、監視カメラにとりいれたりなどなど。

単純に「顔見たことあるけど名前なんだっけなー」的なシチュエーションが多い人にとっても、この技術は嬉しいはずですよね。

歩いていると勝手に解析して音声読み上げをするってことで、結構うるさそうですがそのあたりはまだプロトタイプということなので、今後の動向を見ていきたいです。

シンプルだけどインパクト大!Facebook “Automatic alternative text”機能

Automatic alternative textを使用する女性

SNSにあげられる写真って1日に20億枚を超えるそうです。Facebookにも1日にすごい数の写真がタイムラインに流れますよね。

しかし今までは盲目の方はFBの写真の内容を把握できず写真を楽しめていませんでした。スクリーンリーダーでは写真の部分は文字通り「写真」って読み上げられるだけ。

4/2に発表された”Automatic alternative text”はFBのタイムライン上の写真の内容をAIで解析して読み上げてくれる機能です。

・・・ん、それだけ?

って思うかもしれませんが、これってすごくインパクトのある機能だと思うんですよ。

これだけ写真とSNSが密接な関係になっているのにもかかわらず、今まで他のSNSでもなんの対応もされていなかったんです。こんな便利な機能ついたなら、対象ユーザーはFBずーっと使いますもんね。

FBの発表によると、世界に全盲の人は3900万、弱視の方は2億4600万いるとされています。改めてすごい数。今回の機能はマーケットユーザーの拡大にも大きな効果があると言えそうです。

Automatic Alternative TextFacebook accessibility specialist and engineer Matt King lost his vision completely in college. When he joined our accessibility team after more than 20 years in the accessibility field, one of the projects he was most excited to work on centered on using object recognition technology to automatically describe photos for people who are not able to see those photos. Today, with our launch of automatic alternative text, we're taking an important step towards achieving that goal.Automatic alternative text, or automatic alt text, is a new feature that generates a description of a photo through object recognition technology for someone who cannot see the photo. Before today, people who are visually impaired could only hear the name of the person who posted the photo as they scrolled past photos on Facebook. Now, if they're using a screen reader on iOS, they'll hear a richer description of the photo thanks to automatic alt text. For example, for a group photo on the beach, a person using a screen reader on iOS would now hear, “This image may contain: Three people, smiling, outdoors.” We are rolling this out in English over the next few weeks and will add more languages and platforms soon.Facebook's mission is to make the world more open and connected, and that means everyone, including the visually impaired community. Worldwide, more than 39 million people are blind, and over 246 million have a severe visual impairment. While this technology is still in its early stages, tapping its current capabilities to describe photos is a huge step toward providing our visually impaired community the same benefits and enjoyment that everyone else gets from photos. As Facebook becomes an increasingly visual experience, we hope our new automatic alt text technology will help the visually impaired community experience Facebook the same way others enjoy it.

Facebook Accessibilityさんの投稿 2016年4月4日

instagramなどの他のサービスへの展開も今後気になるところ。

まだ日本ではこの機能は未対応ですが、今後順次対応されるとのことなので対応され次第追っていこうと思います。

この技術、ブラウザに応用すればalt属性いらなくなるかもしれないですよね。これだけAIが盛り上がってるんだからもうどこか開発着手したりしてるのかも。そうゆう意味でも要チェック。

「新しいマーケット」としてのアクセシビリティ対応

アクセシビリティはマーケ観点でも大切!

もう耳が痛くなるほどあっちゃこっちゃで言われ続けてきた言葉ですが、それでもまだまだ未対応のケース、多いんですよね。とにかく手間かかりますし。

が、一方で世界的に見れば各国でアクセシビリティに関する法規制が進み始めていて、すぐに日本もこの流れに乗るだろう。なんて話もちらほら。

いずれ対応するのであれば、後手に回るより「新しいマーケットに対する能動的なアプローチ」の一つとして、先手を打って行きたいものですね。