2018年1月にラスベガスで開催されたCES2018で発表された、ヒューマン支援ロボット「アイオロス・ロボット」が日本で初公開されました。2019年からレンタルを開始します。
2本のアームと自律走行で人間を支援する
アイオロス・ロボットは、周囲の環境を認識・学習できる「AIビジョンセンサ」を搭載し、2本のアームでものを掴むことも可能な自立走行ロボット。
実際にものを掴んで渡す様子がこちら。
アームを器用に使ってものを床から拾い上げ、適切な保管場所に置くなど、人の生活におけるさまざまな作業をサポートすることができるとのこと。
また、機械学習で周囲の環境を学習すると同時に、学習内容をクラウド上で複数のロボットが共有してフィードバックを繰り返すことで、日々変化する環境にも適応できます。基本的なスペックは以下の通り。
バッテリー充電4時間で4時間稼働し、Google Home、Amazon Alexaなどにも対応。CEOのAlexander Huang氏は、アイオロス・ロボットについてこう語ります。
「世界と見てもサービスインまで漕ぎ着けるロボットはまだ少ないです。アイオロス・ロボットは、人間の顔や姿勢を検知することで、人間が何を求めているかを自律的に判断して行動できる、世界初のロボットです」
日本進出の背景には介護現場のニーズ
登壇した高齢者住宅経営者連絡協議会の会長 森川氏は、介護業界の現状を以下のように語りました。
「経産省がロボット介護機器の使用を推進していますが、普及していません。
介護利用者や家族は介護の現状に不安があるため、新しい技術の使用には寛容です。しかし、介護職員は業務過多で古典的な介助方法を踏襲したがり、経営者は介護報酬につながらない投資にはネガティブです」
上の図が介護職員の一日の業務量。早朝から夜間まで業務量は膨大です。しかし、そこにはロボットに任せられる作業もあると森川氏は語ります。
「昨今では介護職員の数が足りないと騒がれていますが、職員が多ければ手厚いケアができるかというと疑問です。介護の専門性を高めないことには、いつまでも労働集約的な働き方から抜け出せません。そこにロボットが必要です」
たとえば、朝刊の配達やゴミの回収・夜間の巡視などはアイオロス・ロボットに任せ、介護職員は被介護者とのコミュニケーションを取ることに集中する。そんな働き方がロボットがいること可能になるといいます。
レンタル価格は15万円。2020年までに10万台の普及を目指す
「日本では介護領域の需要がありますが、他国ではレストランやホテル、パブリックスペースの監視などにもアイオロス・ロボットは使われています。日本でもサービス業にも展開していきたい思いがあり、そのためのエキスパートもそろっています。
Raas(Robot as a service)としてサブスクリプションモデルで展開していくので、ローコスト・手軽に導入できます」
レンタル価格は月額15万円。2019年4月以降に順次予約を開始し、同年8月から本格提供を開始し、2020年までに10万台の普及を目指すとしています。
将来的に介護職員のパートナーとなれるほどさまざまな業務をカバーできるようになれば、15万円という価格設定も安いものかもしれません。
介護現場にロボットが普及する日は来るのか。これからも注視していきます。