電通グループ各社(電通デジタル、電通、データアーティスト)は、AIを活用したクリエーティブ評価機能「AIアートディレクター」を開発した。バナー自動生成AIツール「ADVANCED CREATIVE MAKER(アドバンストクリエーティブメーカー)」に搭載し運用を開始する。
広告効果の高いバナーを見分ける「AIアートディレクター」
AIアートディレクターは、アートディレクターやデザイナーなどが有する、「広告効果の高いバナー広告を判断するスキル」を数値化し、AIがその傾向を学習することでバナー広告を自動で選別する機能。
ダイレクトレスポンス広告、ブランド広告のどちらに有効な表現か、KPIに応じたバナーの広告効果予測にも対応し、人が制作したバナー表現案についても適用可能だという。
具体的な使用方法は以下だ。
- 「キーワード」「業種」などの要素を入力
- コピーを電通のAIコピーライター「AICO(アイコ)」が生成
- 予測エンジンがパフォーマンスが高いと予想されるコピー、画像などの要素の候補を割り出す
- それらを使って自動生成ツールがバナーのデザインを組み上げる
- 大量に生成されたバナーに対し、AIで精緻にクリック率をシミュレーション
- AIアートディレクターのリコメンドも参考に、効果が高いと予測されるものからランキング表示
- 人の目で出稿案を決定し、必要に応じてデザインを調整し完成
バナー自動生成AIツール「ADVANCED CREATIVE MAKER」
バナー広告は高い鮮度と多様な表現案が大量に求められるため、バナー広告の制作時間の短縮ニーズがある。それに応えるため、電通グループはAIを用いてバナー広告を5秒に1枚のスピードで大量に生成する「ADVANCED CREATIVE MAKER」のβ版を、2018年5月に開発した。
ADVANCED CREATIVE MAKERのデモ画面イメージ(出典:電通デジタルプレスリリース)
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AIを用いた広告クリエイティブの自動生成や効果予測などの取り組みは、サイバーエージェントなど広告代理店各社が取り組んでおり、電通もその一部だ。
2019年3月に発表された「MONALISA(モナリザ)」も広告効果を予測するツールだが、こちらはInstagram、Facebook、TwitterなどSNSに特化したものとなる。
デジタル広告に特有だが、データで広告効果が取得できてしまうため、改善のためのクリエイティブ製作などで担当者の負担が膨大になる。AIでデジタル広告製作の現場でも働き方改革が進むかもしれない。
Source:電通グループ、クリエーティブ評価機能「AIアートディレクター」を開発―バナー自動生成AIツール「ADVANCED CREATIVE MAKER®」に搭載―