AI教習所株式会社は4月28日、AIと自動運転技術を活用した運転技能および教習システムを使ったAIペーパードライバー講習(以下、AI教習システム)を、南福岡自動車学校(運営:株式会社南福岡自動車学校)にて6月から提供開始すると発表した。
AI教習システムは、教習指導員と遜色ない精度でAIがドライバーの補助や評価をする運転教習システムだ。AIと自動運転技術を用いて、教習所コース内における車両位置、車両状態、周辺環境およびドライバーの確認行動をリアルタイムに把握するほか、60項目以上の運転技能評価レポート作成機能などを備える。
指導員の同乗なしでも安全に受講できるよう、速度超過や障害物接近などの危険運転行動を察知したら作動する自動補助ブレーキが作動する。
また、走行後は受講者が自身の運転を映像で振り返れるので、運転技能の向上にもつながるという。
昨今、地域の自動車教習所は、指導員の高齢化や採用難による人材不足に直面しており、在籍指導員の負担増加や運転免許取得希望者および免許更新を控えた高齢運転者の受け入れ難という社会課題に直面している。
同システムは2021年5月にミナミホールディングス株式会社と株式会社ティアフォーの2社の合弁で設立されたAI教習所で、開発と検証を重ねられた。ティアフォーの創業者でもある加藤真平氏が東京大学の准教授として研究代表者を務めるJST CREST(※)の研究課題「完全自動運転における危険と異常の予測」の研究成果、ならびに、ミナミホールディングスが有する教習所における知見を活用したという。
(※)国立研究開発法人 科学技術復興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)を指す
多くの教習車両が走行する教習所コース内において、400時間以上のモニターによる検証を実施し、指導員が同乗することなく、機能面・安全面においてAI教習システムを利用できる目処が立ったことから、全国で初めて南福岡自動車学校に対して有償サービスを開始することになった。
同社ではAIペーパードライバー講習としての利用を予定しているが、今後は、南福岡自動車学校以外にも順次導入を進めていく予定だという。
代表取締役の江上喜朗氏は、AI教習システムについて以下のコメントをしている。
教習所業界が抱える指導員不足という大きな課題を解決し、世界一安全な交通社会に貢献していくという会社のVision実現に向けて、今後もAI教習システムの機能および性能の向上を図りながら、現時点で利用可能なペーパードライバー講習や企業研修などの既得免許取得者教育での実績を積み上げていきます」
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