「AIを学び、AIで学ぶ」 教育 × 人工知能の最先端

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今年1月、立教大学がAI特化の大学院を開設し、金沢大学が2020年からすべての学生にAIを必修化することが話題になったが、高等教育だけでなく、初等中等教育にもAIの波が押し寄せている。今週、気になった教育 × AIの事例を2つ紹介したい。

「自動化は私たちを豊かにするか?」PFNが総合的な学習の時間の指導案作成に協力

Preferred Networksは、全国の小学校における「総合的な学習の時間」における、プログラミング体験を含んだ学習指導案の作成に協力する。





単元のテーマは「自動化の進展とそれに伴う自分たちの生活の変化を考えよう」。日々業務の自動化が進む現代において、プログラミングを体験しながら、日々の作業を自動化してくれる機械が実際に身近な生活や暮らしを豊かにしてくれているものなのかどうかを明らかにしていく。

また、Preferred Networksが制作するビデオ教材も授業では使われる。本年9月までに制作し、配信する予定となっている。以下がビデオのサンプル。

文部科学省、総務省、経済産業省の3省は「未来の学びコンソーシアム」を連携して運営しており、2020年の小学校プログラミング教育必修化を見据え、2019年9月に「未来の学び プログラミング教育推進月間」を設定している。指導案の作成に携わるのはGoogle、Apple、Twitter、LINEほか、さまざまな大手企業が協力する。

Preferred Networksが教材に込めた思いについては、フェローの丸山氏がブログを執筆しており、「『プログラミング』を狭く捉えないで、いろいろな考え方があるのだ、ということを知ってほしい」と語っている。

何かと騒がれがちな最先端技術を振り返り、捉え直す一助となる教材になっている。

「英語4技能をAIで学ぶ」教材を河合塾、COMPASSが共同開発

AIタブレット教材「Qubena(キュビナ)」を提供するCOMPASSは、英語の4技能(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)を統合的に習得することを目的とした英語4技能AI教材を、河合塾と共同開発した。2019年4月より、一部機能を学校や塾へ提供を開始する。

教材では、搭載されたAIが生徒一人ひとりのレベルに合わせた問題を出題し、スマートフォンやタブレットで学習を行える。中学校1年生から高校3年生の学習範囲を4技能の習得を通じて効率的に学習し、英語未習者でもCEFR B1*レベルの英語の素地を形成することができる。

CEFR
CEFR (Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment:外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)は、語学シラバスやカリキュラムの手引きの作成、学習指導教材の編集、外国語運用能力の評価のために、透明性が高く分かりやすい、包括的な基盤を提供するものとして、2001年に欧州評議会が発表したもの。B1はCEFRが示している6段階のレベルの1つ。

特徴は以下の通り。

  1. 4技能を横断した英語学習
    従来は単語帳や問題集を使い“読む”ことを中心に学習が行われてきたが、本教材では“読む”に加え、“聞く””書く“”話す“の4つのサイクルを通して統合的に英語を学習できる。

  2. 各技能の習得にアダプティブラーニングを適用
    搭載されたAIが、生徒一人ひとりの解答や学習データを分析することで、つまずく原因となっているポイントを見つけ出す。その生徒が解くべき問題へと自動的に誘導し、各技能の習得のための最適な学習を実現する。

  3. 各技能の学習において、最適な解答方式と評価システムを搭載
    手書き入力や、各種資格・検定試験(CBT)に導入されているタイプ入力・音声入力など、各技能の学習において最適な解答方式と、文章形式のライティング・スピーキング問題にも対応した独自の解答評価システムを搭載。生徒の技能習得レベルを適切に評価する。

COMPASSはこれまで、算数、数学にフォーカスしてきたが、今回、英語にも進出。AIを用いたアダプティブラーニングで、食わず嫌いな生徒も多い英語の習得を助ける。

AIを学び、AIで学ぶことが必要な時代

私達の生活には、AIを始めとした最先端技術が日々押し寄せており、ときおり立ち止まって、技術は本当に私達を幸せにしているかどうか考えたくなる。Preferred Networksの学習指導案は、まさにテクノロジーに囲まれた現代人が考える必要のあるテーマだ。時間が許せば、子供だけでなく、保護者も参加するスタイルでもいいかもしれない。

同時に、AIを使うことによって、既存の教育にも変化が訪れている。COMPASSが提供する、AIを用いたアダプティブラーニング教材のように、個別の生徒に最適化した教材が提供される「AIで学ぶ」教育スタイルである。

教員の過剰労働や、少子化による生徒数の減少といった社会問題が顕在化するなか、これまでの初等中等教育で行われていた一対多数の集団授業にも、変革が求められている。タブレット端末の低価格化が進めば、予算の限られる公立学校でも導入しやすくなる。一人ひとりにパーソナライズされた教育がメインストリームになる日も遠くない。スマートフォンを使えばタブレットすら必要ないかもしれない。

現代に生きる以上、技術とは無縁ではいられない。学ぶ対象、学び方もAIで変わっていく。