説明可能なAIの名著が無料に:今月のAIニュース8選

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画像はUnsplashより

日々、目まぐるしく進化、発展を遂げるAI(人工知能)業界。さまざまな企業が新しいサービスを開始したり、実験に取り組んだりしている。

そこで本稿ではLedge.aiで取り上げた、これだけは知っておくべき、5月掲載のAIに関するニュースをお届けする。AIの活用事例はもちろん、新たな実証実験にまつわる話など、本稿を読んでおけばAIの動向が見えてくるはずだ。

説明可能なAIに関する名著 日本語訳が無料に、データサイエンティストが執筆

データサイエンティストのクリストフ・モルナル(Christoph Molnar)氏が著した『解釈可能な機械学習──ブラックボックス化したモデルを説明可能にするためのガイド』の日本語訳がWeb上で無料公開されている。日本のSNS上では「読もう」「これは熱い」「ありがたい」「すごい太っ腹だ」など、絶賛のコメントが見られる。

原題は『Interpretable Machine Learning──A Guide for Making Black Box Models Explainable』。本書は著作権のある著作物の配布を許可する「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY-NC-SA 4.0)」で提供しており、原著と日本語訳ともにWeb上で全編無料で読める。

ドコモ社長「データ活用人材を1000人以上拡充する」

株式会社NTTドコモ 代表取締役社長 兼 CEOの井伊基之氏は5月12日、2020年度決算発表会のなかで、今後データ活用人材を1000人以上拡充すると言及した。

井伊基之氏は「あらゆる顧客接点からのデータを活用して、デジタルマーケティングの高度化を図るためには、機械学習エンジニアなど、データ活用人材を早期に1000人以上拡充するということを考えています」と語る。ここでのデータ活用人材とは機械学習エンジニアのほか、データエンジニア、データコンサルタント、マーケターを指す。

ハーバード大学、PythonやJavaScriptなどプログラミング講座 日本語訳ページが無償公開

米ハーバード大学がオンラインで無償公開している、PythonやJavaScriptのプログラミング学習講座「CS50’s Web Programming with Python and JavaScript」、コンピューター・サイエンスの入門講座「CS50: Introduction to Computer Science」の日本語翻訳ページ「CS50.jp」が無償公開された。

本講座は、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で設立したオンラインコースプラットフォーム「edX」(MOOC=Massive Open Online Course)上で公開。コンピューターサイエンス・サイエンス入門講義の内容はオンラインでビデオ配信および講義スライドなどすべて無償公開している。LABOTによると、本講座は全世界で282万人のユーザーが履修登録しているという。

無料で使えるAI音声合成サービス「CoeFont STUDIO」商用利用も可

株式会社Yellstonは4月23日、AIを活用するWeb音声合成サービス「CoeFont STUDIO(コエフォントスタジオ)」を期間限定で無料公開した。無料提供の終了時期は未定という。

本サービスでは、AIにおけるディープラーニング(深層学習)を活用することで、人間の声を再現してWeb上で音声合成ができる。Web上でアクセント調整やスピード調整などの機能を利用し、作成した音声はダウンロード可能。本サービスおよび出力した音声データは営利・非営利問わず自由に利用できる。

早大の講師らが担当、機械学習やPythonの基礎を学べる無料講座が開講

オンライン講座サイト「gacco(ガッコ)」では5月12日の15時から、早稲田大学を中心に35以上の大学、企業、業界団体が手がける社会人教育プログラム「スマートエスイー」の一環として、オンライン講座「機械学習」が開講される。受講料は無料。

本講座では、AIにおける機械学習の理論を把握した上で、「Python言語の基礎」「教師あり学習・教師なし学習」「強化学習」「異常検知と半教師あり学習」などについて学べる。実際のデバイスやデータを用いた演習、実習、議論については、オンラインでも参加できるプログラムを用意している。

東芝、教師なしで画像をグループ化できるAI開発 精度は95.4%で世界最高級か

株式会社東芝は4月28日、製造現場向けに教師なし(分類基準のラベルづけ作業なし)で高精度に画像をグループ化できる画像分類AIを開発したと発表。一般画像の公開データを分類したところ、分類精度が従来の71.0%から95.4%に改善し、世界トップレベルの性能を達成したとうたう。

東芝は本AIを製造現場で製品の外観画像を分類することで、不良や欠陥の発生状況を早期に把握する外観検査向けに開発した。AIで外観画像を分類する手法には、事前に分類基準を人手でラベル付けする「教師あり学習」と、分類基準の設定や教示用のデータを必要としない「教師なし学習」がある。東芝によると、製造現場における外観検査では分類基準を学習するための人手作業が不要で、導入・運用コストが低い「教師なし学習」が求められる傾向にあるという。

月10万5000円のベーシックインカムついに支給開始、サンフランシスコがアーティスト対象に

アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市では5月21日から、130人のアーティスト(芸術家)を対象にベーシックインカム(最低所得保障)のパイロットプログラムにおいて、ついに月1000ドル(約10万5000円)の支給を開始したと見られる。美術手帖などが報じている。

近年、世界各国でベーシックインカムに熱いまなざしが向けられている。AIの進歩はもちろん、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大にともなう不景気や失業率の悪化、少子高齢化や格差拡大などの社会的背景による影響も大きい。

東京大学、量子コンピューティング入門教材が無料公開 ゼロから自習できる教材目指す

東京大学素粒子物理国際研究センター(ICEPP)の研究者が選定・執筆した、量子コンピューティングを手を動かして学びたい人向けの入門教材「量子コンピューティング・ワークブック」が無料公開されている。SNS上では本教材について「面白そう!」「いい時代になったなぁ」などのコメントが見られる。

本教材は、量子力学や計算科学の前提知識を極力必要とせず、大学1年程度の数学とPythonプログラミングの知識があれば、ゼロから量子コンピューティングを自習できるような教材を目指しているという。

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