人材育成を軸とした「AIの内製化支援」に全力。アイデミーが8.3億円の資金調達

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株式会社アイデミーは1月30日記者発表会を行い、東京大学エッジキャピタルなどから総額8.3億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。資金使途はプロダクト研究開発費に4億円、広告宣伝費に2億円、運転資金などに2.3億円としている。

なお、今回の増資でアイデミーの累計調達額は9.4億円となる。

「横串組織」だけでは成功しない、全社で取り組む必要性

アイデミー代表取締役の石川聡彦氏は、発表会で「AIプロジェクトを成功させるには、全社をあげて取り組まなければならない」と語った。

石川氏曰く、組織としてAIに取り組むフェーズは以下の3ステップに分けられる。

  1. 経営者がAIの必要性を理解する
  2. SIerやベンチャー企業を巻き込んでAIを試作する
  3. AIの組織育成・一部内製化に挑戦する

フェーズ2においては、通常「AI・DX推進部」などの、いわゆる「横串組織」が外部のSIerなどにAI開発を外注する。しかし、横串組織のみでプロジェクトを進めると、「本当に解くべき課題を見つけられない」「実運用フェーズでのモデルの運用に関して現場とコンセンサスが取れない」などの課題が浮上するという。したがって、横串組織のみならず、全社をあげてAIの理解促進やプロジェクトの立ち上げに取り組む必要がある。

出典:アイデミー登壇資料

アイデミーは、まず企業内の横串組織に対しての教育・研修を実施し、他部署へも展開。AIが実運用される現場社員がAIを理解している状態を目指すことで、AIで解くべき課題を整理していくという。

アイデミーが取り組む「AIの内製化支援」

アイデミーは、企業がAIに取り組む際(上述のフェーズでいえばフェーズ2以降)の、AIを内製化して実運用するために以下の4サービスを展開している。

  • 組織体制構築・人材育成
  • 事業定義
  • PoC開発
  • 実運用

組織体制構築・人材育成では、toBのeラーニングサービス「Aidemy Business Cloud」では、オンラインでAIなどの技術を学べるコンテンツを50種類以上提供。隔月でユーザー会も実施し、同じミッションを持つ担当者が自社のAIの取り組みや課題を共有する場も用意している。

Aidemy Business Cloud。公式HPより編集部キャプチャ

事業定義では、コンサルティングプラン「Aidemy BizDev Intensive Plan」を提供している。前述の通り、横串組織のみでは現場で解くべき課題の選出が難しい。このプランでは、コンサルティングを通じてAIの概要理解や、二人三脚でAIプロジェクトの企画書を作成するところまで伴走する。

そしてPoC開発では、エンジニアを対象とした「Aidemy Engineer Intensive Plan」を提供。PoCの際、エンジニアが機械学習モデルを作る際の「メンター不足」という問題にアプローチし、オンラインでのメンターとの壁打ちや、課題のコードレビューなどを実施している。

最後に実運用では、「Aidemy Technology」を提供予定だ。AIを運用する際には監視・再学習などの保守をする必要がある。このソリューションでは、運用に必要な監視・再学習・管理画面などをワンパッケージでの提供や、IoTデバイスなどへのデプロイ・データ保存なども利用可能だという。

なお、今回の調達におけるプロダクト研究開発費はAidemy Technologyなどの新規プロダクト開発に充てる。今年4月にプレローンチ予定だという。

今後2年間で導入企業を400社超を目指す。出典:アイデミー登壇資料

「ソフトウェアやデータをビジネスの中心に据える」という変革

発表会では、今回の第三者割当増資を引き受け、1億円を出資したダイキンも登壇。ダイキンはアイデミーと昨年1月から協業しており、大阪大学と共同で開講した社内講座「ダイキン情報技術大学」内のeラーニングにアイデミーの講座を活用している。今後はアメリカの生産拠点にもアイデミーの講座の活用を検討したいと語った。

ダイキンの例は、アイデミーが目指している、人材育成を軸とした「AIの内製化支援」の好例と言えるだろう。ダイキン広報担当社によれば、すでに社内講座を修了した人材が現場の部署の課題をAIを活用して改善し始めているという。

一方で課題もある。ダイキンから登壇した執行役員の米田裕二氏によれば「若手と比べ、eラーニングの管理職層への教育効果は低い。リテラシーの問題なのか、やる気の問題なのかは分からないが……」と語った。ITに普段から慣れ親しんでいるような若年層に比べ、そもそものITリテラシーが高くない管理職といった層に対して、どうAI活用を“啓発”していくのかという課題は、今後AI活用を検討している企業にも当てはまるだろう。

アイデミー代表の石川氏は、発表会でこうも語っていた。「Society 5.0、働き方改革、VUCA時代、AI/DXブームなど呼び方はいろいろあるが、共通しているのは『ソフトウェアやデータをビジネスの中心に据えるという変革』だ」。それをやりきる覚悟がある企業が、アイデミーのような企業と組んで変革を起こしていってほしい。

なお、石川氏が今回の調達に際しnote(外部リンク)を書いている。調達の裏側についてたっぷり語られているので、こちらも必見だ。