ボット、RPA、AI技術が集結。AI・人工知能EXPOレポート【1日目】

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日本最大のAI・人工知能における展示会「AI・人工知能EXPO」が、4月3日〜5日に渡って開催中だ。

本稿では、初日の会場の様子や、気になったブースをまとめた。

チャットボットはレッドオーシャン? 会場での雑感

会場をで多く目にしたのが、チャットボット関連のブースだ。主に社内FAQやカスタマーサポートの業務負荷削減をうたっており、RPAなどとの“合わせ技”の提案をしているブースも多く目に入った。

IDC Japan株式会社によると、チャットボットをはじめとする、言語解析を用いた機械学習技術の国内市場規模は、2021年には2,501億900万円(2016年の15.7倍)まで成長するという。

今回出展していた、あるチャットボットベンダーの担当者は以下のように語っていた。

――担当者
「シナリオ設計や構築といった、いわゆる当たり前のチャットボットを構築できるだけでは、もはや差別化要素になり得ません。LINEやFacebook Messengerなどへの対応や、RPAとの組み合わせ、MAやCRMとの連携など、外部アプリケーションとの連携で付加価値をつけるフェーズに移行してきました」

もはやチャットボットの市場は完全に“レッドオーシャン化”しているといっていいのかもしれない。各企業はいかに差別化するか苦心している。

センスタイムジャパンブースには顔認証ゲート、DMSのデモ

センスタイムジャパンのブースで目立っていたのが、顔認証ゲートとDMS(ドライバーモニタリングシステム)のデモだ。

顔認証ゲートはオムロンが本体を開発し、センスタイムが顔認証技術を提供している。ユースケースとしてはオフィスなどが想定されており、今後は、顔の未登録者についてはFeliCaでも入場できるようにしていくという。

DMSについては、ハンドル全部に取り付けられたカメラでドライバーの状態やジェスチャーなどを認識する。ドライバーが寝落ちしそうな場合は、メーター部に警告表示がされる。また、ジェスチャーも認識することで、DMS自体の直感的な操作も可能になる。

一日前に正式ローンチのLegalForceも出展

4月1日に正式ローンチを果たしたLegalForceも今回出展していた。同社は契約書をAIが瞬時にレビューするサービスLegalForceを提供する。

会場では、現在進行中の研究開発内容を、動物にたとえるユニークな展示がされていた。ここにある研究開発案件は、目処がつけばLegalForceの一機能として提供されるという。来場する人はぜひ見てみてほしい。

事業会社からAI企業へと舵を切る武蔵精密工業

武蔵精密工業のデモで目立っていたのはSDV(Self Driving Vehicle)だ。デモではひときわ大きな区画がコースとして使われ、屋内用のSDVが自立走行する様子が見られた。

また、武蔵精密工業は同日、イスラエルのスタートアップ企業であるSixEye Interactive Ltd.と合弁会社Musashi AIを設立することを発表した。背景として、武蔵精密工業広報担当者は以下のように語る。

――武蔵精密工業広報
「これまで武蔵精密工業は、自社の工場における課題を解決しようとしてきました。しかし、私たちが悩んでいる課題は別の企業も悩んでいるのです。そこで、弊社のAI部門とSixeyeで、さらなる課題解決を展開していきたいと思い、このたび合弁会社設立に至りました」

これにより、武蔵精密工業は、単なる製造業の事業会社から、AI企業としての色彩を強めることになる。すでにABEJAと協力して工場のAI化を進める武蔵精密工業だが、自社自体もAI企業として脱皮することができるか。今後に注目したい。

AILLが目指すAIによる恋愛サポート

冒頭でチャットボットがレッドオーシャン化していると書いたが、ユニークなチャットボットの使い方をしている企業があった。AILLが提供する、恋愛をチャットボットがナビゲートするサービスだ。

恋人同士になる可能性のある人間同士の会話に、チャットボットが特定のタイミングで会話に介入し、両者にアドバイスをする。その際、チャットボットからのアドバイスは相手には見えないようになっている。

写真のように、たとえばデートに誘うタイミングについてのアドバイスや、相手を知るための的確なアドバイスをチャットボットが行う。

メッセージを送ろうとしていた矢先にこのようなアドバイスをされたらびっくりするが、意外と冷静になれるかもしれない。チャットボットのアドバイスに従うかどうかは、最終的には自分が決めればいいのだ。

同社が収集した、恋愛関係に発展しそうな、もしくは発展した2人の会話データなどを学習データとしている。キーワードや文脈、タイミングなどさまざまな点を考慮しながら、ボットがアドバイスする内容やタイミングが決定される。

代表の豊島氏は、リリース文で以下のように語っている。

――豊島
「今までは、所得が低くなるにつれ婚姻率が低下していることを指摘されていました。

しかし近年では、正社員・しっかりと収入を得ている方の未婚率増加、さらには恋人がいないフリーの方の増加が目立っています。その背景には、仕事の忙しさや、恋愛に能動的になれないなど、様々な要因が存在します。

しかし、どんな背景の方でも『私生活でも幸せになりたい』という思いは秘めているはずです」