日本最大のAI・人工知能における展示会「AI・人工知能EXPO」が、4月3日〜5日に渡って開催中だ。
2日目となる4月4日も取材を行ったので、本稿では気になる企業をまとめた。
ゼノデータ・ラボは経済ニュースが企業へ与えるインパクトを予測する
3月25日に7.8億円の資金調達を実施したゼノデータ・ラボのブースでは、同社のサービス「xenoBrain(ゼノ・ブレイン)」のデモが設置されていた。経済ニュースから、最終的な企業へのインパクトを予測するサービスだ。
具体的には、過去の大量のダウ・ジョーンズやその他通信社をソースとする経済ニュース記事をAIが学習し、上場企業の決算短信や有価証券報告書の分析結果と紐付ける。
これにより、経済ニュースの前後にはどのような事象が発生するかを分析し、最終的な企業への影響を予測する。事業会社が在庫予測に役立てたり、金融機関が与信や決算分析に役立てる。
たとえば上の図では、豚コレラの発生が豚肉の供給を減少させ、世界の豚肉価格を上昇させ、最数的に各企業の収益増減に影響している。
丸大食品は、ウィンナー、ハムといった豚肉を主とした商品を扱う企業のため、減収。逆にマルハニチロが増収なのは、豚肉の代替として海産物への需要が増加すると見込まれるためだ。
複雑な事象が絡み合う経済ニュースでは、もっと複雑な“バタフライエフェクト”も見通せるかもしれない。
和製“Google Duplex”? ソフトフロント社の「commubo」
問い合わせ窓口などで、「〇〇の場合は、〇番を押してください」などの音声ガイダンスに、わずらわしく感じた経験のある方もいるだろう。
音声ガイダンスを極めて自然な日本語での会話に代替できるのが、ソフトフロント社の提供する自然会話AIプラットフォーム「commubo」だ。
以下はデモを体験した筆者とcommuboの会話ログだ(会話はリアルタイムで管理画面に記録される)。筆者から、通販番組で放送中のある商品の購入について問い合わせし、commuboが対応するシチュエーションだ。
薬用フラバジェノという商品を購入希望か? と聞かれるので、はい。と答える。その後、個数を聞かれる。
試しに「3つってできますかね?」と聞いてみたところ、最初「メッツ」と聞き違えているが、もう一度答えるときちんと「3つ」と認識した。
その後、別商品の購入も促されるが、却下し、電話番号を伝える。意地悪をしてすべて0で答えたところ、聞き取れないようで、何度もやりとりをする。
諦めて本当の番号を伝え、その後郵便番号、クレジット番号の下4桁を伝える流れに。
最終的に決済も終わり、会話が終わった。
認識精度については、概ね問題なかった印象だ(滑舌などにもよる)。定形の会話であれば、音声ガイダンスよりもスムーズに、ストレスなく会話が進んだ印象だ。
実際にcommuboが使われるケースは、予約受付や企業の代表電話、病院での問診などを想定しているという。チャットボットに次ぐUI、VUIの可能性を感じた。
画像認識技術をスマートグラスで体感
コンピューターマインド社のブースではスマートグラスのデモが行われていた。スマートグラスをかけると、視界の真ん中にスクリーンが出現する。目の前に人が現れ、人を囲むようにバウンディングボックスが表示される。
工場内のラインで、これまで人手で行っていた商品の外観検査を、AI技術で代替する企業も多くなってきた。スマートグラスのデモで、画像認識技術を簡易的に体感できるというわけだ。
そのほかにも、たとえば果実の収穫、剪定時期を見定めるのに、これまではベテランの“目”が不可欠だった。スマートグラスによるソリューションがあれば、ベテランの目を代替できる。ディープラーニングの処理はエッジで行われるため、GPUは不要、リアルタイムで判別が可能だという。