クラウドに接続せずに導入機器側で処理を行う「エッジAI」のニーズが高まっている。
株式会社エイシングは5月31日、同社が提供する導入機器側でリアルタイムな自律学習を可能とするAIアルゴリズム「ディープ・バイナリー・ツリー(DBT)」において、高速処理を得意とする従来の「DBT-HS(High Speed)」に比べて最大約50%の予測精度向上を実現した「DBT-HQ(High Qualty)」をリリースした。
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学習と予測の精度が約10〜50%向上
同社は、従来型のDBT-HSと新たに開発したDBT-HQを比較検証。
手書き英字の特徴量からアルファベットを特定する検証では、DBT-HSが63.0%の正解率だったのと比較し、DBT-HQでは90.6%の正解率を実現した。
使用するデータによって精度の差に変化はあるが、DBT-HQはDBT-HSに対して約10〜50%程度、学習と予測の精度が向上している結果となった。
エッジAIにおけるAIアルゴリズムは、以下の2種類に大きく分けられる。
- クラウド接続が不要で導入機器側で学習データの更新が可能な自律学習型
- クラウド接続が必要なクラウド型
DBTは前者の自律学習型に分類される。DBT-HQは自律学習型でありつつ、よりクラウド型に近い予測精度が実現した形となる。
導入機器側でも高速・高精度が求められる
従来のDBT-HSは「導入機器単体で学習できる」かつ「学習・予測処理が高速」な一方、計算リソースの観点から、精度ではクラウド型に劣っていた。そこで同社は、自律学習型でありつつ高精度・リアルタイムな自律学習・予測が可能なAIアルゴリズムの研究開発を進めていた。
同社によると、DBT-HQは導入機器側でのリアルタイム予測や精度の高い予測を必要とする自動運転車や産業機械への導入に適しているため、今後モビリティ業界や製造業界への実装を中心に進める。従来の高速処理を得意とするDBT-HSについても、提供先の導入目的や適応対象に合わせて提供していくという。
Source:エッジAIにおいて自動運転車や産業機械導入に適したより高精度な学習と予測を実現 エイシング、予測精度が従来比最大約50%向上のAIアルゴリズム「DBT-HQ」をリリース