沖電気工業は、違反運転車をエッジAIで検知する「AISION 車両センシングシステム」を2020年9月3日に販売開始した。一般公道でのスピード超過や逆走の探知、工場敷地内での安全走行違反車への注意喚起などの分野で事故防止への貢献を見込む。
高精度なエッジAIが安全管理業務の負担を減らす
近年、安全管理業務を行う現場での人手不足が深刻だ。そのため、現場(エッジ)の情報監視カメラの画像をディープラーニングで処理するモニタリングシステムが導入され、省人化が進み始めている。しかし、高精細な映像データをセンターサーバーに送って解析・処理する方式では、ネットワークの問題などから、リアルタイムでの高速なディープラーニング処理が難しい。
同システムは、AIエッジコンピューターにディープラーニング技術を組み込んでおり、映像データのリアルタイムで解析。道路や駐車場での通行台数、速度検知、逆走検知など複数の検知処理を同時に実行するほか、晴天(樹木の影)、降雨降雪、夜間(赤外線)のようなさまざまなシーンで車両の存在を識別し、速度を測定できる。
映像を取得 → 解析と録画 → ネットワーク経由で周辺子機を制御 → 走行車両に通知
AISION 車両センシングシステム5つの機能
システムの機能は以下のとおり。
- トラフィックカウント:道路を走行する車両の映像より、指定場所を通過した車両数の計測が可能
- 速度検知:指定場所を通過した個々の車両の速度計測、時間当たりの平均速度の出力が可能
- 逆走探知:指定場所を通過した車両の進行方向の検知により逆走検知が可能
- IoT機器連携:920MHz帯無線ネットワークを用いたマルチホップでの安定した無線通信により、子機デバイス経由で、パトランプ、スピーカー、電光掲示板などによるリアルタイムな警告が可能
- 映像圧縮・録画:SDカードを搭載することで速度超過や逆走した車両の映像記録が可能
「AISION 車両センシングシステム」は1セット680,000円(税抜)~、セットには同社のAIエッジコンピューター(AE2100)と車両センシングパッケージを含む。IoT機器との連携など柔軟な設置環境にも対応するほか、AIの知識がない人向けの簡単な設定機能も備える。
今回のシステムは第一弾という位置づけであり、今後も作業の効率化や省人化、マーケティング強化など、さまざまな分野での映像AIソリューションとして「AISION」を展開していくという。