アナログ・テック株式会社は7月5日、1台の筐体に複数の高性能AIチップを搭載し、複数種類のAI学習モデルを同時に適用して処理できる産業用PC(「AT-IPCFG004」)をリリースしたと発表した。
「AT-IPCFG004」は、産業向けの高性能AIチップを2基搭載し、エリア認識と物体認識、物体認識と姿勢推定など、入力ソースに対して種類の違う学習モデルを同時に適用し、AIの推論機能を拡張できる産業用コンピュータだ。
ディープラーニングは、扱うデータソースの種類や分析の用途に応じて、都度、最適なアルゴリズムを選択して適用する。
一般的に、エッジ推論では1つの画像ソースに対して1つの学習モデルが実行されるが、AT-IPCFG004では複数のHailo-8 AIチップを搭載することで同時に複数のアルゴリズムを適用できるようになった。
たとえば以下の図のように、物体認識と姿勢検知を一度に行えるという。
本PCに搭載している「Hailo-8 AIプロセッサ」は、AI処理に特化したアーキテクチャのチップで、データプールとコンピューティングユニットを小さなエリアに配置しており、外部のI/FやI/Oを使用することなく低遅延・低消費電力で処理を実現しているとのこと。
Hailo-8では、産業用途に適した以下の特徴がある。
- 高い電力効率でのAI処理:電力効率「3TOPS/W」、1チップで「26TOPS」のハイパフォーマンス
- 高い耐環境性能:動作温度-40℃~85℃をサポート
- 長期供給を予定:チップ供給期間は販売から最長10年予定
同チップを開発したのはイスラエルの企業、Hailoだ。Hailo-8の詳しい製品情報はこちら
Hailo-8 AIプロセッサ搭載のAT-IPCFG004は、小型で放熱設計のファンレス筐体を採用し、耐環境性能に優れ、ラックを立てるのが難しい現場にも導入可能だという。
また、産業用システムで要求されるRS232/422/485、DIOの汎用インターフェースをオプションで用意しており、ユニバーサルI/OによるPoEや10GbEの拡張、産業用SSDなど産業用グレードへのパーツに組み替えられる。
製品デモンストレーション動画「デュアルAIチップ搭載IPCによるマルチアルゴリズムの適用」が公開されているので、こちらも参照されたい。
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