画像はサミー・ベンジオ氏のLinkedInより
米アップル(Apple)は、米グーグル(Google)で人工知能(AI)の研究チームのマネージャーを務めていたコンピュータ科学者のサミー・ベンジオ(Samy Bengio)氏を採用した。米Bloombergや英ロイターなどが報じており、同氏のLinkedInにもアップルで勤務中とある。
サミー・ベンジオ氏はアップルにおいて、元同僚である機械学習・AI戦略担当上級副社長のジョン・ジャナンドレア氏のもと、新たなAI研究部門を率いると見られる。アップルはベンジオ氏の新しい役割については明らかにしておらず、サミー・ベンジオ氏もコメントは控えている。
サミー・ベンジオ氏は4月28日に米グーグルを退職した。退社の理由は、倫理的AIチームの共同リーダーを務めるティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)氏およびマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)氏が解雇されたことを受けたものと見られる。
サミー・ベンジオ氏はグーグルに2007年に入社し、AI研究チーム「Google Brain(グーグル・ブレイン)」を共同設立したことで知られる。サミー・ベンジオ氏はティムニット・ゲブル氏が解雇されて以降、グーグルを退社する従業員ではもっとも高い地位にあった。
サミー・ベンジオ氏はAIの権威として知られるスタンフォード大学のAI研究者で計算機科学者でもあるスタンフォード大学のアンドリュー・ン(Andrew Ng)氏にも評価されている。
サミー・ベンジオ氏がスタッフに送信したメールを入手した米Bloombergは、同メールの内容を公開している。本報道によると、同メールには「次のチャレンジを楽しみにしていますが、この素晴らしいチームを離れることは本当に難しいことは間違いありません」と書かれていたという。
アップル、AIなどに5年間で約46兆円投資「すごい金額だ」
アップルと言えば、AI技術などに5年間で4300億ドル(約46兆円)投資すると発表したことも記憶に新しい。日本のSNS上では約46兆円、1年あたりでも約9兆円という巨大な金額に驚くユーザーが多く、「すごい金額だ」「国家予算か」などのコメントも見られた。
アップルは2018年に5年間で3500億ドル(37兆円)を投資するとしていたが、当初の5年間の目標を大幅に上回った。今後5年間で投資金額を20%引き上げた。投資金額はAIやシリコンエンジニアリング、5Gなどの最新テクノロジーにおける雇用創出に充て、アメリカ国内で2万人の雇用を増やす計画という。
今回のサミー・ベンジオ氏の移籍は、グーグルのティムニット・ゲブル氏ら解雇の波紋の大きさだけではなく、アップルのAI技術への投資の意気込みも感じさせる報道と言えるだろう。今後も両社から目を離せない。