唾液と糞便から疾病発症リスクを分析 英国企業が日本の健康レベルをさらに向上へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

画像出典:Pixabay

イギリス・ロンドンに本社を構えるスタートアップ企業 アトラスバイオメッドが日本に進出した。アトラスでは、利用者から提出される唾液と糞便を検査・分析し、健康状態を可視化するサービスを展開している。本サービスを提供している国は、イギリス、アイルランド、ドイツ、スウェーデン、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、イタリア、ハンガリー、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フィンランド、ポーランド、トルコ、ロシアと非常に多い。

これまでも遺伝子検査などとして、唾液をもとに利用者の健康状態を調べるサービスを提供する企業はあったものの、アトラスは、遺伝子検査と腸内フローラ検査の統合プラットフォームを活用した、生活習慣を目的とするふたつの検査キットを提供していることが特徴だ。

健康状態を多面的に可視化 高精度なリスク計算を可能に

まず、アトラスが提供する遺伝子検査と腸内フローラ検査について紹介したい。

遺伝子検査は、専用のキットにある容器に自分の唾液を入れて指定の送付先に郵送すると、遺伝子データを解析・解釈・可視化してくれる。主に予防や改善可能な疾患発症リスクにフォーカスされた検査だ。たとえば、2型糖尿病、クローン病、パーキンソン病などの13の多因子疾患発症リスクを評価してくれる。さらには、個人特性や形質をも判定する。そして、科学的根拠に基づいたパーソナライズされた“健康増進アドバイス”も提供される。

一方の腸内フローラ検査では、ユーザーの糞便サンプルから微生物DNAを解析・解釈・可視化する。この調査では、腸内フローラの酪酸・ビタミン合成能力、食物繊維の分解能力、腸内フローラの多様性、プロバイオティクスと善玉菌の状態を評価してくれる。そして、2型糖尿病、クローン病などの5の疾患の発症リスクから腸内フローラがどの程度保護してくれているかも評価される。くわえて、腸内フローラのタイプを判定し、検査結果を基に、パーソナライズされた食事に関するアドバイスを提供してくれる。

さらにアトラスはこれらふたつの検査にくわえて、アンケートのようなライフスタイル調査の結果も加味し、他社にはないアトラス独自のインサイトを提供している。つまりは、複数の検査とアンケート調査によるデータをもとに、多面的にひとりひとりの健康状態をチェックするサービスを提供しているのがアトラスなのである。

同じ食品でも食べる人によって身体に与える影響の差も加味する

アトラスのCEOであるセルゲイ・ムシエンコ氏はLedge.aiの取材に対して「日本は非常に魅力的な市場です」と話す。その理由は、高齢者に至るまで、幅広い層が健康への意識が良好なこと、そして新しい技術に対する感度や理解度が高いことなどを挙げた。

セルゲイ・ムシエンコ氏

すでにアトラスの検査キットはイギリスなどでは普及しており、「『家にいながら“健康診断”のようなものを受けられるのが非常に便利』といった声を受けています」とセルゲイ・ムシエンコ氏は話す。

アトラスは2種類の検査キットにくわえ、AIを使った健康管理の面において画期的なソリューションを提供している。それが「フードトラッキング」だ。食生活の健康向上のためのパーソナライズを目的に提供されているスマートフォン等で使えるアプリで、食べる料理の写真を撮影するだけで、各食品が腸内フローラにどのような影響を与えるのかを分析してくれるのだ。

「フードトラッキングで特長的なのは、たとえ同じ食事を摂ったとしても、人によって腸内フローラに与える影響が異なるため、評価が異なるという点です。食品ごとにあらかじめ設定された数値を見せるというわけではなく、食品ごとの腸内フローラに与える影響と、検査キットで導き出された分析結果をもとに『この食品はあなたが食べると、このように影響を与えます』と明示するのです」(セルゲイ・ムシエンコ氏)

なお、各検査項目の内容は日本仕様に指標を変更しており、データの管理も日本国内で完結させるようにしたなど、日本向けにチューニングしている。

日本の高い健康レベルをさらに向上させる取り組みに

アトラスが目指しているのは「ユーザー自身が自分のことを知ってもらえる世界」だ。日本進出にあたり、当面は日本市場に注力していくとセルゲイ・ムシエンコ氏はいう。

「日本では公式サイトからお求めいただける各種検査キットの販売はもちろんですが、製薬会社や健康食品、ヨーグルトなどを扱う協業のパートナー企業様とともにいくつかのプロジェクトを進めています。また、いっしょに検査キットの価値を広めてくれるようなビジネスパートナーも募集しているので、興味をもっていただいた企業様はぜひともご連絡いただければ幸いです」(同氏)

そして、将来的に遺伝子検査などはもっと身近になるものだとも続けた。

「出産後に血液検査を受けるのと同じように、遺伝子検査を受け、将来的な疾病発症のリスクがわかるような時代が来ると思っています。実際、数年前までは遺伝子検査は高価なものでしたが、誰でも買えるような値段まで下がったとともに、認知度も高まっていると感じています。

そして、多くの人が遺伝子検査や腸内フローラ検査を受けることで、多様なデータが蓄積され、より有意義な検査結果を利用者のみなさんに還元できるようになります。

日本の市場については先ほどもお話したとおり、長寿国であったり日常的な病気予防などに関心が高かったり、興味深い話を常々聞いており、アトラスが進出できる日を楽しみにしていました。我々アトラスとしては、日本のみなさんの健康レベルをさらに向上させるお手伝いをすることを目指します」