AI作曲キーボード、自動コードレビュー、統合開発環境──「AWS re:Invent 2019」機械学習系新サービスまとめ

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AWSが年次で開催するカンファレンス「AWS re:Invent 2019」が2019年12月3日〜6日で米ラスベガスで開催中だ。

同イベントで発表された、機械学習系の新サービスをまとめた。

機械学習で音楽を作れる「AWS DeepComposer」

▲AWS DeepComposerの実機。出典:Amazon Web Services ブログより

AWS Deep Composerは、ミュージカルキーボードと最新の機械学習技術を使用し、実際に音楽を作ることのできるキーボード。Amazonで99ドルで発売予定だ。(現在は米国内のみで予約受付中)

機械学習の難しい知識は不要で、

  • AWS DeepComposerキーボードをコンピューターに接続してメロディを入力
  • AWS DeepComposerコンソールで仮想キーボードを演奏

などが可能。ロック、ポップ、ジャズ、クラシックから事前にトレーニングされたジャンルモデルを使用し、オリジナルの音楽作品を生成する。Amazon SageMakerとの連携により、独自のカスタムジャンルを作成することもできるほか、楽曲を自動で編曲し、トラックをSoundCloudに公開して、作品を共有することも可能だ。

オンライン詐欺を素早く検知する「Amazon Fraud Detector」

Amazon Fraud Detectorは、オンラインアクティビティを自動的に識別し、オンライン詐欺を防ぐツール。取引履歴を持たないゲストアカウントの不審な行動や、オンライン支払い詐欺などを検出できる。

コードを書かずに機械学習の不正検出モデルを作成できるテンプレートを用意しており、ユーザーが用途に合ったテンプレートを選択した後は、Fraud Detectorが不正検出モデルのトレーニング・テスト、デプロイを実行する。

機械学習を使って問題のあるコードを自動で特定する「Amazon CodeGuru」

出典:Amazon CodeGuru公式サイトより

Amazon CodeGuruは、機械学習を用いて自動的にアプリケーションなどのパフォーマンスを損なうコードをみつけ、修正や改善などを提示してくれるサービス。Amazon内とGitHubで公開されているオープンソースプロジェクトから、機械学習のトレーニングをしている。

アプリケーション内に修正するべきコードがある場合、そのコードの場所、変更を推奨する理由、問題原因、解決策を提示してくれる。

最初の90日間は無料で使うことができ、以降は従量制の月額料金制。たとえば、500行のコードを含むプルリクエストがある場合、CodeGuru Reviewerを実行するのにかかるコストは$ 3.75だ。

コンタクトセンターでの会話分析ができる「Contact Lens for Amazon Connect」

Contact Lens for Amazon Connectは、コールセンターの機能をクラウド上に構築できるAmazon Connectと統合された、コンタクトセンターでの会話分析ができるフルマネージドサービスだ。これまでAmazon Connectで会話分析を行うには、複数のAWSサービスを組み合わせる必要があった。

Amazon Connectの画面からワンクリックで起動でき、通話の自動書き起こしにも対応。機械学習を搭載しており、顧客との会話における感情分析、会話の傾向、コンプライアンスリスクをなどを把握できる。

関連記事:コールセンター業界に現れた黒船「Amazon Connect」が生む新しい電話体験

エンタープライズ向けコンテンツ検索サービス「Amazon Kendra」

出典:Amazon Kendra公式サイトより

Amazon Kendraは、機械学習を使ったエンタープライズ向け検索サービス。

自社のイントラネットサイトやファイルシステムに加え、Box、DropBox、Salesforce、SharePoint、Amazon S3などに点在するコンテンツを一元化して追加でき、すべての情報をすばやく検索することが可能。

ユーザの使用パターンに基づいて機械学習モデルをトレーニングし、検索の精度を向上させる。今後はクエリの入力補助機能や、1日あたりの上位クエリ、上位ドキュメントなどを分析する機能などを実装する予定。

人間のレビューを柔軟に機械学習アプリケーションに組み込める「Amazon Augmented AI(Amazon A2I)」

Amazon Augmented AIでは、機械学習予測の人間によるレビューに必要なワークフローを簡単に構築できるようになる。機械学習アプリケーションでは、結果が正しいかを判断するために、人間は信頼性の低い予測を確認する必要があった。一方で人間が最初からレビューを確認するのでは、時間と費用がかかっていた。

Amazon Augmented AIを使えば、モデルが信頼性の高い予測を行うことができない場合、または予測を継続的に監査できない場合に、人間のレビュー担当者が介入できるようになる。つまりは、人間のレビューを柔軟に機械学習アプリケーションに組み込めるようになるのだ。

機械学習のための統合開発環境「Amazon Sagemaker Studio」

出典:Amazon Web Services ブログより

Amazon SageMaker Studioは、機械学習のための統合開発環境(IDE)だ。

  • SageMaker Notebooks
  • SageMaker Experiments
  • SageMaker Debugger
  • SageMaker Model Monitor
  • SageMaker Autopilot

など、複数のツールで構成される。以下に発表された各新機能を紹介する。

IDE内でJupyter Notebookが起動できる「Amazon SageMaker Notebooks」

出典:Amazon Web Services ブログより

これまでは自らAmazon SageMaker ノートブックインスタンスを立ち上げる必要があった。Amazon SageMaker Notebooksを使うことで、機械学習で使われるJupyter Notebookノートブックの制作と共有が簡単になる。

機械学習モデルの整理や評価を可能にする「Amazon SageMaker Experiments」

Amazon SageMaker Experimentsは、機械学習の実験とモデルバージョンの整理、追跡、比較、評価を可能にする新機能。すべての反復の入力、パラメーター、構成、および結果を自動的に追跡し、グループ化や、整理することも可能だ。

具体的には、Trial(トライアル)とExperiment(実験)という概念に学習ステップを分割する。

  • Trial(トライアル)
    単一のトレーニングジョブを含む学習ステップの集合。

  • Experiment(実験)
    Trialの集合で、関連する学習ジョブのグループ。

SageMaker Experiments は、できるだけ簡単にExperimentを作成し、それらにTrialを追加し、TrialとExperiment全体で分析を実行することをゴールとする。

機械学習モデルをリアルタイムで分析してデバッグする「Amazon SageMaker Debugger」

Amazon SageMaker Debuggerでは、学習時の複雑な処理をデバッグ、解析しアラートを受け取ることが可能。モデルの自動評価、デバッグデータの収集を行い、それらを分析してリアルタイムでアラートを出し、学習時間を最適化するアドバイスからモデルの質を向上できる。

機械学習モデルを自動作成できる「Amazon SageMaker Autopilot」

Amazon SageMaker Autopilotは、単一のAPIを叩くだけで機械学習モデルを自動的に作成できるツール。用意したデータセットの検査、前処理、機械学習アルゴリズムの選択といったジョブを実行できる。

現在、SageMaker Autopilotが対応している機能は以下のとおり。

  • tabularデータフォーマットに対する自動データクリーニングと前処理
  • 線形回帰、2値分類、多値分類の自動アルゴリズム選択
  • 自動ハイパーパラメータチューニング
  • 分散学習
  • インスタンス、クラスタサイズの自動選択

加えて、データがどのように前処理されたかを示すPythonコードも自動生成する。

機械学習モデルを継続的に監視できる「Amazon SageMaker Model Monitor」

稼働環境で機械学習モデルを継続的に監視し、時間の経過とともにモデルのパフォーマンスを低下させる可能性のあるデータドリフトなどの逸脱を検出し、是正措置を取るよう警告する機能。構造化データセットのドリフトをすぐに検出したり、組み込みルールを実行する前にデータ変換を追加したり、独自のカスタムルールを記述したりすることも可能だ。