テレパシー開発なるか?脳波から文章を生成するAIが開発中

brain_signals_text
このエントリーをはてなブックマークに追加

Thumbnail Photo by Hal Gatewood on Unsplash

自分で考え事をするとき、頭の中で言葉を発するのは可能であるが、それを人に伝えるのは超能力の領域とされている。しかし、アメリカにあるカリフォルニア大学の研究チームはAIを使い、本気で超能力を実現しようとしている。

てんかん患者の治療を応用して脳波の実験へ

人や生き物は生命活動をするとき、常に脳から脳波というものを出している。運動や考え事をする度に脳の神経細胞から脳波は発信され、時には脳波を計測することで異常などを確かめることもある。

突発的な発作を起こす疾患であるてんかん治療のひとつとして、脳波測定が行われる。脳波測定では微弱な脳波を計測し、波の幅や大きさを記録していく。この方法を応用して、実験チームは言葉を発する時の脳波を計測し、脳波のデータをAIに学習させた。そして、学習済みのAIに新たな脳波を入力すると、脳波から文字を生成できたのだ。

実験では4名のてんかん患者に協力してもらい、50種類の短文を複数回、声に出して読んでもらった。
初めはトンチンカンな言葉を生成していたが、読み上げた文章と生成された文字を比較して修正をした結果、徐々に精度は改善された。

最終的な文章生成の精度は被験者によってばらつきがあったものの、ある患者の実験では各文において平均3%の修正で済んだケースもあった。速記をする記者の平均誤字率が5%であるのと比べると、かなりの精度と言える。

しかし、50種類の短文の読み起こしと、長い時間文字を書き続ける速記では文章量が違うため、単純に比較していいのか注意するべきところだ。

近い将来テレパシーは実現するのか

Photo by Alex Knight on Unsplash

研究チームとは関係ないが、マーストリヒト大学で脳神経の研究を行っているChristian Herff博士は、「一般的に何百万時間も必要とされる実験時間を、各参加者に対して40分未満のトレーニングデータと、限られた文の収集を使用していることから、この研究は興味深い。そうすることで、これまで達成されていなかったレベルの精度を達成することができる」と述べた。

同時に、この研究は文章を声に出して話す人の脳活動を記録したものに依存しているため、重度の障害を持つ多くの患者にはまだ適応できないと指摘した。

――Herff
もちろん、文章を機械で生成するのは素晴らしい研究ですが、普通に『OK Google』と言えば済むレベルの話と捉えられるでしょう。脳波から文章を生成するのは思考の翻訳ではなく、『発話に関与する脳活動の翻訳』だということを理解しないといけません。

くわえてHerff氏は、まだ他人に自分の考えを読まれることを心配する必要はないと述べた。

その一方で、シェフィールド大学のブレイン・マシン・インターフェースの専門家であるMahnaz Arvaneh博士は、今は倫理的な問題を考慮することが重要であると述べる。

――Mahnaz
機械が私たちの心を読むことができる日が来るのは、まだまだ遥か彼方の話です。しかし、私たちがその日について考え、計画する必要がない、というレベルの話でももうないのです。

>> 研究論文