企業研究者の“天下一武闘会”へ──企業研究発表カンファレンス2年目、発案者が語る

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(左から)楽天技術研究所 益子氏、サイバーエージェント 岩本氏、メルカリ 木村氏

企業研究所による合同研究発表カンファレンス「CCSE(Conference on Computer Science for Enterprise)」が今年も開催される。

CCSEとは

企業の研究所が中心となって研究発表を行うイベント。企業研究所では自社サービスの発展やイノベーションを起こすことを目的とした研究が行われており、CCSEはそのような企業研究を議論・発展させ、企業の研究を広く認知してもらうことを目的に開催に至った。マシンラーニングやコンピュータビジョンなどのAI技術や、ロボット、IoT技術など、幅広い領域の研究について一日で触れることが可能。発表を「聞く場」ではなく「議論する場」として、質疑応答の時間も豊富に設けられている。

Ledge.aiでの昨年のイベント告知インタビュー、イベントレポートは下記。

【サイバーエージェント×楽天×メルカリ3社対談】~ 企業研究発表カンファレンスCCSE2018発足の舞台裏 ~(前編)
【サイバーエージェント×楽天×メルカリ3社対談】~ 企業研究発表カンファレンスCCSE発足の舞台裏 ~(後編)
企業の研究者は、相反する何かと常に戦っている:CCSE 2018

昨年2018年7月に初開催され、今年は7月13日、東京大学本郷キャンパスにて開催される同イベント。

今年はどのようなアップデートがあるのか。昨年の反響はどうだったのか。運営を統括する主要メンバー3名に今年も話を聞いた。

異分野から「ツッコまれる経験」を。昨年を振り返って

――昨年CCSEを初めて開催されましたが、振り返っていかがでしたか?

――岩本
「まずは開催してよかったと思っています。質疑応答が活発だったので、『議論を促進する』という当初の目的が十分に果たされたと思っています。

研究発表のカンファレンスですが、研究者以外の職種の方々も来てくださいました。研究者は3、4割ほどで、あとはエンジニア、デザイナー、企業役員などの方々でしたね」

岩本 拓也氏 CCSE運営委員長 サイバーエージェント AI Lab/大阪大学 石黒研究室
サイバーエージェントAI Lab所属。大阪大学石黒研究室に招聘研究員としてHuman Agent Interactionの研究に従事。2019年にはロボットが会話を代理する婚活パーティを開催。CCSEをはじめ、WISS、HCI研究会、IPSJ-ONEなどの学術イベントの運営に関わっている。

CCSEには社会人に加え学生も多く参加し、採用に結びついた企業もあったようだ。「やはりいい企業はいい発表をする」と3名は口を揃える。

発表を聴けば、その企業の「研究に対する考え方」がわかるので、これから就職活動を控える理系学生には参考になる情報も多いという。

では、参加者の声はどうだったのか?

――木村
「『こういう場が欲しかった』と言われる企業、参加者が多いです。

僕も実際にCCSEでの出会いのおかげで、ZOZOテクノロジーズさんやABEJAさんと今まで以上に関係が深まりました。そのおかげで、別の学術学会でお会いしたときに共通の研究についてよく話をするようになりました。

たとえばZOZOテクノロジーズさんであれば、“機械学習のファッションへの応用”であったり、ABEJAさんとは”機械学習プラットフォーム”についてなど、弊社と共通のテーマを研究している企業さんを見つけられるチャンスとなっていると思います。CCSEの参加者や企業が、そういう形で繋がりを活用できるようなるといいなと思います」

――岩本
「CCSEでは発表内容を特定の分野に絞っていません。質疑応答でも、自分の専門外の人から予想外のツッコミが多々入ります。

通常の学会では、基本的に自分と似たような研究者が集まるので、発表者にとって意外な質問が少ないこともあります。この専門外の研究者と議論できる環境にものすごく価値があると思っています」

――益子
「企業間での研究交流や旬な取り組みを発表しあう機会は多くはないので、他社が“今”どのようなトピックに興味をもって、どのように研究活動をしているのかは気になります。

分野を超えたの研究者が集まるのがCCSEの醍醐味なので、自分の研究に応用できる発表内容もあったりして『こんなアプローチがあったのか』と、別の視点を知れる場としても機能しています」

CCSEには「新規性があり」「商品、サービスの宣伝にならない」こと以外に発表の縛りがなく、多様な領域の研究者が一堂に会する。発表の多様性がCCSEのユニークなポイントのひとつであるようだ。

専門外との議論を通じて研究の価値を理解してほしい

――昨年を振り返り、2019年の開催で改善した点はありますか?

――岩本
「昨年は、初めての取り組みだったので、発表の粒度が広すぎた印象がありました。

今年はなるべくマニアックな話をしてもらいたいので、4講演を同時並行し、参加者が聞きたい講演を選べるようにしています」

研究者のキャリアの悩みや、他社はどのようなアプローチを取っているのかなどの相談も気軽にできるよう、登壇企業のブースエリアも設けるという。

また、「コミュニティ化を進めることも重要」を益子氏は語る。

益子 宗氏 楽天株式会社 楽天技術研究所 未来店舗デザイン研究室 室長 / 筑波大学 芸術系 教授
2008年筑波大学大学院システム情報工学研究科にて博士(工学)を取得。同年、楽天株式会社楽天技術研究所に入社し、コンピュータビジョンやHCIの研究領域のマネージャーを歴任。著書に「次世代店舗第2号」などがある。
――益子
「昨年はワンショットのイベントで終わってしまい、コミュニティ化までは至りませんでした。今年はFacebookコミュニティなどを活用して、継続的に企業研究の取り組みを世に発信できるように、単発で終わらないようにしていきたいですね」
――木村
「議論を増やすために、今年は合同セッション(ひとつのテーマに対して複数の研究者でディスカッション)も設けます。それらの対話から関係値を深めてもらいたいですね」

CCSEの価値は「議論」にある。岩本氏は、議論の価値は自分の研究の価値を「理解してくれる人を作ること」にあるという。

――岩本
「議論が重要な理由は、自分の研究の価値を『理解してくれる人がいるんだ』ということを知らせたいからです。

自分が興味を持っている研究をしていても、それがすぐにビジネス化に結びつかないと思い込み、将来のキャリアを考えるときに研究を辞める選択をする人もいると思います。でも、たくさんの企業研究をCCSEで見ることで『自分の研究が活用される領域』を見つける“きっかけ”になってほしいと思います」

CCSEを企業研究者の“天下一武闘会”にしたい

――今後、CCSEをどのようなイベントにしていきたいですか?

――益子
「研究者=“かっこいい”というイメージを作りたいと思っています。そのために、研究領域、職種の境目なしにいろいろな人に来てほしいし、研究の面白さを感じて欲しい。

そのためにも、CCSEを企業研究者の天下一武闘会のようにしたいです。登壇者には発表を通して研究の楽しさ、凄みをにじませて欲しいです。あと、この会議をきっかけに企業間のオープンイノベーションも促進されると嬉しいですね」

アカデミアに比べると企業研究者のロールモデルはまだ少ないのが現状だ。研究者が“イケている”というイメージを作るのは、未来の研究者を育てるという観点でも重要になる。

同時に「企業研究の理想と現実を伝えなければいけない」と木村氏は語る。

木村 俊也氏 株式会社メルカリ Engineering Director of AI Engineering
2007年よりSNS企業にてレコメンデーションエンジンやグラフマイニングエンジン開発を担当。そのほか、自然言語処理学の 知見を活かした広告開発やマーケティングデータ開発にも携わる。 2017年より株式会社メルカリにて研究開発のオフィサーを担当し、AIを中心とした幅広い研究領域のリサーチを担当。
――木村
「夢を語ることも重要な一方、現実を伝えることも重要だと思っています。

企業研究者の道を選ぶ学生からは、『理想と現実は違う』と感じることも多くあると思います。企業によっては大学や研究機関ほどしっかりとした研究設備や体制が整っていない場合があります。研究のために自ら地道にデータ作りなどもしなければなりません。また、自分の専門性を活用してどのように会社のビジネスにインパクトを与えるかといった研究の計画性も検討しなければいけない。

企業研究は、研究のゴールを社会実装に至るまでに設定するケースが多くあります。社会実装をする際の地道な作業や泥臭さも語ってもらいたいですね。社会実装が教科書通りにいくことは少なく、『しくじり先生』のようにうまくいかなかった内容の議論も貴重だと思います」

今年注目のセッション“チラ見せ”

最後に、今年注目のセッションを“チラ見せ”してもらった。

――益子
「昨年は多くのweb、デジタル系の企業に参加いただきましたが、今年はメーカーなどにも参加してもらえることになりました。会社の規模感がいい意味でバラバラなので、幅広い発表が聞けると思いますし、各社の研究に対する価値観がでると思います」
――木村
「やっぱりトレンドを反映してなのか、機械学習系の発表が多いですね。機械学習を社会実装に活用している発表が増えていると思います。サイバーエージェントさんの経済学系の発表も興味深いので、期待しています(笑)」
――岩本
「ぜひ、期待してください(笑)

参加者にはぜひ、発表を聴くだけでなく、共同研究などの具体的なアクションにつなげてほしいです。横のつながりをつくることで、『研究って楽しいんだ!』と思ってもらえれば、主催者としてこれ以上の幸せはありません」

CCSEはこちらから参加登録できる。「企業研究を盛り上げたい」「他企業の研究について深く知りたい」「企業研究者の横のつながりがほしい」と思う人は、ぜひ参加してほしい。

開催概要

開催日時2019年7月13日(土) 10:00~18:45(予定)
(その後20時まで懇親会)
発表企業株式会社サイバーエージェント
楽天株式会社 楽天技術研究所
株式会社メルカリ
グリー株式会社
JapanTaxi株式会社
サイボウズ・ラボ株式会社
株式会社LIFULL
LINE株式会社
株式会社ABEJA
株式会社CAABEJA
株式会社ディー・エヌ・エー
TIS株式会社
株式会社エクサウィザーズ
Sansan株式会社
株式会社Gunosy
株式会社LayerX
LeapMind 株式会社
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
…今後も追加を予定
主催株式会社サイバーエージェント
企画運営CCSE運営委員会
参加対象者研究に興味があるすべての方
参加費社会人1,000円
学生(無料)
開催場所東京大学 本郷キャンパス 伊藤謝恩ホール
〒113-0033
東京都文京区本郷7丁目3−1

CCSE運営委員

2019年度はサイバーエージェント、楽天技術研究所、メルカリ、グリー、ZOZOテクノロジーズ、電通ISIDからCCSE運営委員を構成し、所属企業の枠を超えCCSE2019を企画している。