AIトイレ、遠隔操作コックピット、AI病理診断──AI×他業種の展示が目立つ「CEATEC 2019」開催

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CEATEC 2019」が2019年10月15日〜18日の4日間に渡って千葉・幕張メッセで開催されている。

今回で20回目となる同イベントの開催テーマは「つながる社会、共創する未来」。テーマにある通りIT・エレクトロニクス企業を中心にヘルスケア、建築、旅行など幅広い業種の787社/団体が出展し、会場には多くの来場者が詰めかけた。

本稿ではAIテクノロジー企業を中心に、会場の様子をレポートする。

コックピットで最大10台のロボットを遠隔操作──映像解析AIエッジロボット

多くの来場者やプレスの注目を集めていたのが、沖電気工業のブース。監視・警備ロボット「AIエッジロボット」の遠隔運用コックピットによる操作が体験できる。オペレーターは最大10台ものロボットの遠隔操作が可能だという。

ロボットの上部に付いている4つのセンサーから送られる映像を組み込み型のエッジAIが分析、通常時映像との差分を検知したら「異常が起きた」ことを報告する。通知も「泣いている子供がいます」「落とし物があります」などバリエーションに富み、そうした”異常”をひとつずつ学習させているとのこと。

――同社経営基盤本部 マネージャー 立澤茂氏
「AIエッジロボットは2019年4月の社内コンテストで大賞を獲得したばかりのプロジェクトです。そのため直近での実用化や企業提携の予定はありませんが、実用化によって施設点検や倉庫監視、防犯や見守りなど幅広い分野での活用が可能だと考えています」

病変細胞を画像認識で表示──PidPort

「スタートアップ&ユニバーシティーゾーン」ではスタートアップや大学発ベンチャー、大学研究室などの展示が軒を連ねた。福岡発のメドメインもそのうちの一つだ。

同社の「PidPort」はディープラーニングによる病理画像診断ソフトウェア。撮影した患者の写真を画像認識し、細胞の病変部位を可視化することで、細胞の病理検査を行う病理専門医の負担、ひいては病理検査にかかるコストを減らす。

病理専門医数は全国で2539名(2019年8月7日現在、一般社団法人日本病理学会)しかいない一方、病院数は8389件(厚生労働省,医療施設動態調査)。常駐の病理専門医が不在の病院が多く、長年に渡って人手不足が続いているため病理診断に時間がかかりがちだ。

――同社 新開れおな氏
「PidPortは細胞全体の画像を正常細胞と病変部位と区別することで、病理医が顕微鏡を覗く前の負担を減らせます」

40程の医療機関、大学と連携をしデータを集めたという同社。今後はマーケットプレイスとして情報の管理や診断に対するディスカッションも可能にし、多くの医療機関への導入を目指していくという。

ユーザーフレンドリーな特許プラットフォーム──AI Samurai

「スタートアップ&ユニバーシティーゾーン」には特許評価AIシステム「AI Samurai」も出展。文章化された発明内容から、自然言語処理で発明の要素を分解。各要素に類似する文献をデータベースから返す、という仕組みのWeb上のプラットフォームだ。

フォームに入力した発明文に類似した文献を要素ごとに5件ずつ抽出し、クレームチャート(表)を自動で生成する。特許侵害調査や、特許公報の無効化可能性をパーセンテージで提示することも可能。最近では、さまざまな企業や団体から声がかかっているという。

――AI Samurai 知財事業本部 金井徳洋氏
「企業の知財部門の方、ゆくゆくは研究者の方自身にも使って欲しいと考えています」

3000枚もの「落とし物」画像から教師データを作った──AIトイレ

「Society 5.0 TOWN」のエリアでは、「2030年のまちを構築する」をテーマに複数の企業が集結。IT・テクノロジー以外を主軸とする企業も多く見られた。

LIXILでは、プロトタイプの段階から多くのメディアに取り上げられ注目をさらった「AIトイレ」がお目見え。便座に付けられた画像センサーから便の画像を分析し、その形状や大きさを記録できる。

教師データの作成に携わったという青山敬成氏に話をうかがった。

――同社デザイン・新技術統括部 主査 青山氏
「画像認識AIを作るにあたって、医師の協力を得つつ、社内モニターの3000枚もの便画像を私自身が分類して学習させました。国際指標にのっとって7つのタイプに分類しましたが、判別が難しいものも数多くありました」

データの収集から学習を終えるまでかかった期間は実に約半年とのこと。半年も便の画像とにらめっこする日々の辛さは想像に難くないだろう……。

今後は高齢者施設への導入を皮切りに、医療機関のほか健康を気にする個人などさまざまな層に展開していきたいという。

他業種とAIのかけあわせで「AIを活用した暮らし」が見える展示が多数

さまざまな企業のブースから、他業種×AI、エッジAIというトレンドを肌で感じることができた。IT・テクノロジー以外の企業ブースでAIやIoTの活用事例を多く見られたほか、本稿で取り上げた沖電気工業のロボットのように組み込み型のエッジAIを活用したプロダクトも目立つ。

ハードウェアの製造ノウハウを活かしつつ、AIによりブラッシュアップされた製品を実際に目にすることで、AI活用による恩恵や暮らしの変化をより身近に感じられるのではないだろうか。

CEATEC 2019はブース出展のほか、日替わりで有識者によるカンファレンスも催されている。開催は10/18(金)の17時まで。