4月10日、株式会社Preferred Networksが、自社で開発を手がけるオープンソースの深層学習フレームワーク「Chainer」の初学者向けチュートリアルを公開しました。
Pythonで記述された、機械学習の計算および学習を行うためのライブラリ。Preferred Networksの主導で開発が進められている。
Pythonを触ったことがない人でも、ディープラーニングを十分に理解できるほど濃い内容となっています。
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環境構築から学習を回すまでの流れを網羅
チュートリアルはGoogle Colaboratory を用いた環境構築から始まります。
環境構築は自分のコンピュータで行うには大変な作業ですが、チュートリアルではすべてブラウザ上で完了するため、相当簡易です。
Pythonをブラウザ上で実行可能なクラウド型のサービス。無料でGPUなどの計算資源を使うことができる。
Step1 準備編 は、微分の基礎、線形代数の基礎、確率・統計の基礎。
Step2 機械学習とデータ分析入門は、回帰分析の説明とともに、Pythonでのデータ処理や、行列計算に不可欠なモジュールについての説明。
Step3 ディープラーニング入門で、ディープラーニングのコードを自分で書き始めます。
Pythonの入門から、自分で書いたコードで学習を回すまでの一連の流れを網羅しており、初学者が実際にディープラーニングで学習させる段階まで勉強できます。
出典:チュートリアルより
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現在公開されているチュートリアルの目次は以下のとおり。
- はじめに
- Python 入門
- 機械学習に使われる数学
- 微分の基礎
- 線形代数の基礎
- 確率・統計の基礎
【Step2 機械学習とデータ分析入門】
- 単回帰分析と重回帰分析
- NumPy 入門
- scikit-learn 入門
- CuPy 入門
- Pandas 入門
- Matplotlib 入門
【Step3 ディープラーニング入門】
- ニューラルネットワークの基礎
- Chainer の基礎
- Chainer の応用
- トレーナとエクステンション
初学者がゼロから始めても1〜2ヶ月?
ディープラーニングを理解する際の前提として、微分、積分、線形代数の知識が不可欠ですが、チュートリアルの中で丁寧に説明されているため、数学が苦手な人でない限りは読み進められます。
出典:チュートリアルより(学習を回した際の画像)
筆者の体感ですが、大学で少しでも数学を勉強したことがある方なら、初学者でも1, 2ヶ月で十分学べる量です。
応用編「画像認識」「自然言語処理」「強化学習」も公開予定
今後公開予定のページは以下のとおり。
- Step4 応用編:画像認識
- Step5 応用編:自然言語処理
- Step6 応用編:深層強化学習
- Step7 デプロイ
応用編では、実世界で役立つレベルの技術が身につくこと間違いなし。特に、画像認識、自然言語処理は世界中で注目を浴びている領域です。チュートリアルが公開された際にはぜひ勉強してみてください。
また、このチュートリアルはアカデミック・商用のどちらでも無料で使用できます。大学の授業や企業のセミナーなどに活用してみてはいかがでしょうか。
Source:深層学習の初心者向けに、日本語の オンライン学習資料「ディープラーニング入門:Chainer チュートリアル」を無料公開