チャットボットとは | 意味や歴史、導入メリット、活用事例を紹介

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近年、質問に対し会話形式で答えることができる「チャットボット」が、企業と顧客の新たなコミュニケーションの手段として広がっています。2012年からの第3次AIブームに伴い、Siriに代表されるAIチャットボットが登場し、より柔軟な会話も可能になりました。

本稿では、チャットボットの歴史やその種類、導入するメリットなどを、実際に活用事例とともにご紹介します。

チャットボットとは?意味解説


画像出典:pixabay


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チャットボットとは、チャットサービスで用いられる日常会話をインターフェースとしたプログラムのことです。ユーザーからの依頼に基づき簡易な作業を代行したり、問い合わせに対応するなど、本物の人のように振る舞うことができます。

身近な例としては、iPhoneをはじめとしたApple製品に搭載されている「Siri」や、Googleが提供する「Googleアシスタント」もチャットボットの1種です。

チャットボットの歴史


画像出典:ledge編集部作成

チャットボットの起源は、1966年にマサチューセッツ工科大学で開発された「ELIZA(イライザ)」にさかのぼります。この時点では、人間が入力したテキストの内容に応じて相づちを打ったり、定型応答をするなど、言葉遊びの域を出ない性能のものでした。

続いて、1995年に誕生したのが「A.L.I.C.E.」です。これは、「ELIZA」同様のパターンマッチング技法を進化させ、対応できるルール数を飛躍的に増やすことに成功しました。これにより柔軟な会話ができるようになり、その後に開発されるチャットボットの基礎のプログラムとなりました。

しかし、これらのような*ルールベースのチャットボットでは、実社会の複雑さには対応しきれず、限界を迎えます。

その後、2012年にディープラーニングが開発され、Appleの「Siri」に代表されるような、AIがとりこまれたチャットボットが登場します。これにより、自動的にデータの特徴をつかむことが可能になり、より多様な会話を行うことができるようになりました。

ビジネスでのチャットボットを使ったサービスは、2010年代から増え始めます。2010年台前半は、クーポンの発行など広告メディアとしての活用にとどまっていました。2016年頃にFacebookやSkype、LINEなど、特定のプラットフォーム上に企業独自のチャットボットを提供できるようになりました。顧客との双方向のコミュニケーションが可能となり、現在ではさらなる広がりをみせています。

*人がルールや知識を与えて動かすこと

チャットボットの機能と用途


画像出典:Pikrepo

チャットボットの主な機能と用途について解説します。

チャットボットの主な機能

チャットボットには、主に2つの機能があります。

チャットボットの主な用途

自動応答に加え、以上のような機能を用いて、チャットボットはさまざま用途で使われれます。今回は、主な2つの用途をご紹介します。

チャットボットの種類


画像出典:Pikrepo

チャットボットは、「タスク指向型」「非タスク指向型」に大別でき、それぞれ次のような特徴があります。

タスク指向型

タスク指向型とは、特定の目的を達成するために会話を進めるタイプで、天気予報やカスタマサービスへの問い合わせなどがこれにあたります。

タスク指向型では、入力された文章の「意味理解」を行い、あらかじめ用意した複数のシナリオ(ルール)のなかから、もっとも適したものを導き出すことで、その後の会話を進めます。

たとえば、「明日の天気は?」と入力された場合、含まれる単語から「天気予報を調べる」ことが目的であると判断します。同時に、日時や場所といった、目的の達成に必要な情報を取得します。もし、目的達成のために必要な情報が不足していれば、ユーザーに聞き返して会話をすすめます。

なお、入力された言葉や表現がシナリオと完全に同じでない場合も、類語辞書などを使って対応が可能です。

非タスク指向型

非タスク指向型とは、特定の目的がなく、ユーザーが会話を楽しむこと自体を目的としたタイプです。有名な例として、マイクロソフトによる「りんな」があります。

非タスク指向型の場合も、タスク指向型と同様に、入力されたテキストの意味理解を行い、シナリオから適切な回答を導きだしますが、シナリオの作りが異なります。

タスク指向型のシナリオが目的達成に必要な情報を事前に定義し、それを拾い集めるのに対し、非タスク指向型では、会話の候補として用意した複数の文章から、適切な応答を導きだす1問1答形式がとられます。

また、非タスク指向型のなかには、入力されたテキストを感情分析したうえで応答するサービスもあります。

チャットボットを使うメリット


画像出典:pixhere

チャットボット導入のメリットは、大きく分けて3つあります。

顧客対応を効率化

webサイトにFAQやヘルプページを用意しても、すべての顧客がそれを読んでくれるとは限りません。FAQを見れば解決する内容を、電話で質問してくる顧客が多数いれば、コールセンターの対応量が増加します。

FAQをもとにしたチャットボットを窓口として設置することで、こうしたよくある質問への自動対応が可能になるため、オペレーターは、複雑な内容の問合せだけに応じればよく、負担の軽減や業務効率化につながります。また、コールセンターやメールでの問合せとは異なり、チャットボットは24時間対応が可能なため、顧客の満足度の向上にもつながります。

顧客との接点の増加

LINEアカウントなどを活用した自社のチャットボット運用は、顧客へ直接アプローチできる手段として効果が期待できます。

単なる商品情報の提供だけでなく、雑談など「双方向」の会話も可能なチャットボットを通じ、定期的にコミュニケーションをとることで、実店舗の接客に近い会話体験を提供できるとともに、顧客との継続的なつながりを確保できます。

顧客マーケティングに応用可能

チャットボットを用いると、ユーザーが目的の情報に短時間でたどり着くことができるため、コンバージョン率が高いというメリットがあります。

企業側は、チャットボットの会話から顧客の意見や要望を吸い上げることで、自社商品やサービスの改善、販促、新商品開発などのヒントとなる情報も得られます。

チャットボットの課題


画像出典:Pixhere

顧客対応の効率化や顧客との接点の増加、コンバージョン率の向上といったメリットがある一方、チャットボットには以下のような課題もあります。

教師データ不足

チャットボットの作成には、自動応答の基礎となる教師データが必要です。たとえば、顧客からの質問に対応するチャットボットは、企業内のFAQをもとに、質問とそれに対する回答のデータが必要になります。

FAQのデータがそろっていない企業の場合、まず教師データとなるFAQを用意する必要があります。また、FAQ自体は蓄積されていても、そのままでは教師データとして使えない状態の場合もあり、データの整備が必要になります。

このように、教師データの準備に時間や労力が必要となり、チャットボット運用のハードルが高いという課題があります。

ユーザーに使ってもらえない

教師データを用意し、チャットボットの運用を始めても、顧客に使ってもらえなければ意味がありません。チャットボットの活用に成功する企業も増えつつある一方で、利用率の低下が課題となっています。

この要因として、「期待通りの回答が得られない」という不満があります。教師データの不足などにより、顧客の質問に対して的確な回答を返せないなど技術的な課題も存在します。

また、チャットボットそのものの認知度が低いという課題もあります。企業に問い合わせをしたいと考えている顧客が、チャットボットを確実に見つけられるように、サイト内の設置場所を見直す必要があります。

メンテナンス

教師データは、定期的にメンテナンスが必要です。最初に十分な教師データを用意したとしても、実際に運用すると、予想外の質問など、現状のデータでは的確な答えを返せない場合があります。

そのため、定期的なメンテナンスでデータを補い、回答精度を上げていくチューニングや再学習とよばれる作業が不可欠になり、運用の負荷が高いという課題があります。

チャットボット導入時の検討ポイント


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チャットボットを導入する際に、検討すべき4つの点をご紹介します。

ボットの利用目的を策定する

チャットボットも1つのビジネス上の施策です。コスト削減のために導入する企業もあれば、顧客満足度向上のために導入する企業もあります。ブランディングのため、または売上向上のための接客ツールとして導入する企業もあります。

チャットボットを使用する目的を明確化することで、設計上さまざまな選択をする際の「根拠」になります。

「タスク指向型」か「非タスク指向型」かを選択する

チャットボットは、FAQなどに答える「タスク指向型」(ルールベース型)と、雑談などの柔軟な返答が可能な「非タスク指向型」(機械学習型)に大別できます。策定した目的によって、どちらのタイプを採用するかを決定します。

タスク指向型は、FAQの回答など、1問1答形式や、決まっているフローがあるチャットボットに適していると言われています。一方、非タスク指向型は「こんにちは」「おはよう」など、より会話的なチャットボットにする際に選ばれます。

インターフェイスを選定する

インターフェイスの選定、つまり「チャットボットをどこに出現させるか」を決定します。webサイト内の右下に表示される「web小窓」をはじめ、LINEやFacebookページなどのSNS、ロボットをはじめとしたIoTなど、さまざまな選択肢が考えられます。これらから、もっとも顧客の目に触れやすいものを選択することが大切です。

管理体制を整備する

チャットボットは、定期的なメンテナンスがそのままクオリティに直結します。故に、定期的にメンテナンスを行う体制を整備することは、非常に重要となります。
チャットボットの精度を向上させるには、的確に回答できなかった質問を吸い上げて、回答を追加するといった作業が欠かせません。

チャットボットのビジネス活用事例

チャットボットは、さまざまなビジネスの場において、活用が進められています。今回は6つの活用事例をご紹介します。

会話広告で自然な商品提案を実施


株式会社ZEALSが手がける会話広告パッケージ
「fanp」は、インフィード広告からチャットボットを通じてコンバージョンを獲得する「会話広告」のパッケージを提供しています。選択肢会話によってユーザーのニーズを手軽に違和感なくヒアリングしたうえで、アプローチを出し分けることを可能にしたことで、会話を通した自然な商品提案を行います。

カスタマーサポート全体の支援に注力し、高い正答率を実現


カラクリ株式会社は、「正答率95%保証」を掲げるAIチャットボットサービスを提供しています。顧客企業のカスタマーサポート全体の支援に注力し、チャットボットに分かりやすい教師データの設定などのサポートを実施することで、高い正答率を実現しています。

ツール不要で手軽にLINEボットを開発


マイクロソフトが提供するAzure Bot Serviceは、2019年よりチャットボットアプリのチャネルにLINEを追加しました。AIの開発環境を導入していなくとも、ブラウザから視覚的にワークフローをくみ上げるだけで手軽にLINEボットを開発することが可能です。

ファン参加でアニメキャラのAIを開発


AI対話エンジンを開発するNTTレゾナントとプラモデルメーカー壽屋の共同プロジェクト「ファクトリーアドバンス・ゼロ」は、アニメ「フレームアームズ・ガール」の世界観を再現するチャットボットです。2019年6月に同アニメの劇場作品公開に合わせて開発が行われ、公募による協力者もチャットボットに会話を覚えさせる作業に参加しました。
さらに、NTTレゾナントは、誰でも好きなキャラクターのチャットボットを自由に作れるプラットフォーム「goo botmaker」の公開もめざしています。

駅の案内業務にAIを活用


JR東日本が2019年12月より実証実験を行っている「AIさくらさん」は、駅構内や周辺の案内業務を行うAIです。駅構内に設置されたデジタルサイネージに話しかけることで利用でき、外国語にも対応しています。人手不足の解消につながることが期待されています。

専門の研究組織の設立


サイバーエージェント子会社アドテクスタジオは、コールセンター市場のデジタルシフトに対応し、市場全体の発展につなげることを目的とした研究組織「AIコールセンター研究所」を設立しました。AIを活用したチャットカスタマーサポートの事例調査やレポーティングを通じ、デジタルシフトに伴ってチャットボットがどのように順応しているのかを調査しています。

なぜチャットボットが注目されるのか


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2012年からの第3次AIブームと共に、AIを取り入れたチャットボットが広がりました。現在は、AIを活用し、企業と顧客が対話形式でコミュニケーションをとる「チャットコマース」という新しいマーケティングにも活用され始めています。

チャットボットのコミュニケーション技術によって企業が顧客との関係性をより強固にし、継続的につながり続けることを可能にするチャットコマースは、これからのビジネスにおいて重要な役割を持つ可能性があります。

今後、スマートスピーカーの浸透や、無人店舗などの発達に伴い、大きな可能性が期待できるチャットボットに注目すべきではないでしょうか。