「保育園落ちた日本死ね」から5年、6割の保育施設が「DXに取り組んでいない・わからない」

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日本中が注目した「保育園落ちた日本死ね」(※1)から、はや5年。保育施設は年々増えている(※2)ものの、未だに保育士不足や待機児童問題は横たわっている。各所でDXの必要性が叫ばれているが、保育業界ではDXは進んでいるのか。

トライトグループは、保育従事者男女307名を対象に「保育施設におけるDX実態調査」を実施し、組織内の知見不足がDX推進のネックになっていると発表した。

4割の保育施設がDXに取り組み、うち7割がコロナ禍でもDXが進んでいると回答

「勤務する保育施設でDXに取り組んでいる」と回答したのは、4割だった。


画像はプレスリリースより

実際に活用しているデジタルツールは保育記録や、個人日誌などを記録管理する「保育記録」がトップで、保護者と写真を共有・販売する「園児の写真管理ツール」と、デジタル連絡帳といった「保護者との連絡ツール」、「勤怠管理」が続いた。写真管理ツールや保護者との連絡ツールには専用のスマホアプリが用意されているサービスもあり、保育従業者と保護者の使いやすさが意識されている。


画像はプレスリリースより

わずかながら、経費精算など会計ツールや、電子契約書サービスを導入しているという回答もみられた。

一方で、残り6割が「勤務する保育施設でDXに取り組んでいない」「DXへの取り組み状況がわからない」と回答していることから、園での取り組み状況に格差ができつつあるといえよう。

DXで改善されたことのトップは「子供の安全管理」、今後は「保育記録業務」「園児の見守り・管理業務」に意欲

DXに取り組んでいる約半数が働き方や業務の改善を実感しており、「非常に改善された」という回答も6.6%あった。


画像はプレスリリースより

DXによって改善されたことのトップは「子供の安全管理がしやすくなった」。続いて「残業時間の軽減」「これまで着手できなかった業務や保育に取り組めるようになった」「子供の健康状態が把握できるようになった」が同率で2位となった。

デジタル化・DXに取り組むことで保育士の離職理由で多い「業務量が多く勤務時間が長い」といった労働環境の改善(※3)につながり、人材不足など長年の課題がDXによって解決できる可能性がある、といえるだろう。


画像はプレスリリースより

今後DXで取り組みたい分野としては、「保育記録業務」「園児の見守り・管理業務」が上位に挙がった。いずれも現場の業務をサポートするDXが望まれているといえる。


画像はプレスリリースより

また回答者の立場によっても取り組みたい内容が異なり、施設長・園長などは「人事業務」や「職員連携」、園の事務担当者は「経理業務」や「カスタマーサポート業務」への関心も高かった。


画像はプレスリリースより

DXを妨げる原因は「組織内に知識・ノウハウがない」「費用対効果が分かりにくい」。保育業界でもデジタル人材が求められる

DXを進める上での課題は「知識・ノウハウがない」がトップ、「予算がない」「費用対効果が低い・分かりにくい」と続いた。これは同社が5月に行った「介護事業所におけるDX 実態調査」と、上位3位が同じ結果になったとのこと。


画像はプレスリリースより

DXへの取り組みあり・なしで各課題を分類すると、DXに取り組んでいる施設のほうがより強く課題意識を持つ傾向にある。対して、DXに取り組んでいない施設の約半数が「課題と感じていることはない」と思っているなど、意識のギャップが見られた。

ほかの業界と同様に、保育施設でもデジタル人材が求められ、今後デジタル領域に知見のある保育関係者の価値はより高まりそうだ。保育業界でもデジタルツールの活用からDX、業務改善が進み、現場依存の体制から脱却する未来に期待したい。

調査概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査母集団:調査会社のリサーチモニター
  • 調査対象:10代から60代以上の保育従事者男女 307名
  • 調査期間:2021年7月30日〜8月3日

>>プレスリリース

※1 https://anond.hatelabo.jp/20160215171759

※2 令和元年社会福祉施設等調査の概況(厚生労働省)より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/19/dl/kekka-kihonhyou01.pdf

※3 平成30年度東京都保育士実態調査結果(報告書)より。過去に保育士として働いていた人の離職理由は「職場の人間関係」、「仕事量が多い」「給料が安い」が上位に並ぶ。