おはようございます。小野寺です。
GoogleやIBMが人工知能をガン治療に応用するなど、医療分野への人工知能の活用事例が徐々に増えてきました。
ただ、医療画像への活用は進んでいるみたいなんですが、カルテなどのデータの活用はあまり進んでいないようなんです。
今回は、そんな医療現場で使えていなかったいろいろなデータを統合管理し、データドリブンな治療を可能にする医療AIプラットフォーム”CLOUD MEDX“を紹介します。
今までの治療履歴や家族の病気の情報まで一元管理
医療現場のデジタル化といえばまず電子カルテが思いつきますよね。ただ普及はしてきたんですけど、単に手書きのカルテがデータになっただけで、事実あまり活用はできていない……なんて病院も多いんだとか。
そこに目をつけたのが今回のサービス。
- 電子カルテの情報
- これまで患者に行われた医療措置の種類
- 本人の家族が持っていた疾患病とかの病気情報
- NLP(神経言語プログラミング)
などのデータをプラットフォームで溜め込んで人工知能で解析。病気になる可能性や、病気になってしまった場合はその人にあった治療方法などを提案してくれます。
データをどんどん溜め込めばその分精度もあがりますし、なにより違う病院にいってもCLOUD MEDXを導入している病院であれば今までの治療履歴などが引き継がれた状態で検査してもらえるので、長年みてもらった医師に診察してもらうような安心感がありますよね。
データを解析して、よりパーソナライズされた治療へ
効きやすい薬ってひとりひとり大きく違うはずです。ただ、いまいまは医者の勘と患者の話し合いによって提供する薬を変えるようなフローが一般的だと思います。
どの薬を出してどんな効果があったか、CLOUD MEDXでデータ管理を行うことによって、よりひとりひとりに最適化された治療が可能になります。
これによって
- 治療の流れのタイムラインを自動で組むことができる
- 提供する薬やその強さ、個数の最適化
- 副作用のリスクまで含めた健康状態の管理
といった個々人に合わせた治療が可能になります。
特に患者に個別的なアプローチができるのは、人間じゃなく、データと機械学習を掛け合わせたからこそですよね。
データの一元管理は患者以外にもメリットがある
CLOUD MEDXは患者だけでなく、ビジネスとして医薬を製造している側にもメリットがあります。
例えば臨床試験の現場からすれば、今までの膨大な治療データから、新しい製薬の効果を臨床試験する前にある程度予測できたり、それぞれの人が今後どんな病気になりそうか?という予測データから、今後の薬の需要もおおよそ把握することができます。
どのくらいの人にどういった効果がありそうか?そのニーズはどのくらいありそうか? いままでもそれぞれの会社ごとで調査はしていたと思いますが、CLOUD MEDXを使うことで、より簡単に多くのデータから確度が高い推測をすることができます。
利用料は公表されていませんが、良心的な価格になっているよう。コスト面でもある程度安くすみそうです。
終わりに
データをもとにあらかじめどの薬を飲むとどういう反応が起きるか、どれが効きやすいかがわかれば1人ひとりに合わせた薬の開発なども出来ますし、医者がいないような地域でも大きな効果がありそうです。
2016年現在では、7つの病院と34の診療所に提供され、毎年24万人の患者のデータ分析を行なっているんだとか。今後どんどん導入病院が増えてくることが予想されます。
そのときに問題となるのは、クラウドでデータを扱う際のプライバシーやセキュリティの問題なんでしょうか。
今まで使えていなかったデータを、しっかりと使えるデータにしていく。もしくは、とれていなかったデータをしっかりとれるようにする。医療の業界に限らず、他の分野でもそこを抑えることで、いろいろな活用・新しいビジネスが考えられそうです。
以上、小野寺でした。