日々インターネット上で行われている検索。皆さんはどのように検索していますか?
おそらく、関連ワードを並べるいわゆる「キーワード検索」をしていることが多いかと思います。一般的に検索サイトでの調べものではそれで理想の結果が出ることも多いですが、同じキーワードでも結果が大きく異なってくる医療文献ではそうはいかないようです。
さらに出てきた文献を仕分けるのにもかなりの労力がかかってしまい、検索に相当のスキルが必要に……。そんな状況に救いの手を差し伸べたのが、今回アップデートされたFRONTEOヘルスケアのConcept Encoder Articlesです。
「仮説検索」を可能にするConcept Encoder Articles
手軽にインターネット上などで情報が手に入る現在。医療分野では、少しの誤った情報で大きく健康を害することがあるため、根拠に基づいた医療が最重要視されています。科学的根拠や医療データを実際のビッグデータとして落とし込み、解析するAIエンジンが、FRONTEOヘルスケアの提供するConcept Encoderです。
そこに今回「仮説検索」という機能が追加され、Concept Encoder Articlesとして本格的に提供を開始。
日々増加する医療系文献に対して、医療薬の研究開発に関わる人たちが効率よく自分たちの欲しい情報を検索できるよう、検索窓に”直接仮説を入れ込む”ことで、その仮説に近い実験データや参考資料を取得可能になります。



これは、たとえばカレーの作り方を調べる際、「おいしい カレー 作り方」と検索するのではなく、実際に独自のカレーの作り方を検索することでそれに近いカレーのレシピが調べられるようなことに近いでしょう。
キーワード検索と違い仮説検索は入力情報が多いため、Concept Encoder Articlesには高度な処理技術が実装されています。言語をベクトルとして扱うことで、エビデンスが重要となる医療分野に必須な統計学的手法を自然言語解析に導入しており、テキスト以外のデータとの組み合わせ解析も可能にしています。
「仮説検索」が医療分野の研究開発にもたらすもの
Photo by Pixabay
仮説検索は、キーワード検索だけではたくさん発生してしまう「ノイズ(実際に欲しい情報とは違う情報)」をできるだけ排除することで、より効率の良い検索をおこなうことができます。
それだけでなく、医療分野で重要となるのは「仮説を検索すること」そのもの。現在、医療薬の研究開発の分野ではジェネリック医薬品(後発医薬品)メーカーの台頭や製薬会社の再編のトレンドにより、研究開発のサイクルが徐々に短くなっています。これに伴い、研究開発の円滑な遂行のための仮説精度向上が注目されています。
Concept Encoder Articlesの「仮説検索」は、欲しいデータの取得だけでなく、すでにある近いデータを基にシミュレーションをおこなうことで、さらに洗練された仮説をもって実際の研究開発をスタートすることができるとか。
カレーの例でいえば、カレーのレシピを打ち込み、結果をもとにさらに洗練されたレシピを考案することができるということに近いかもしれません。さらに、自社内のデータをConcept Encoder Articlesに蓄積することで、自社内のデータ検索の効率もアップします。
これからの“Concept Encoder Articles”と“検索のあり方”
Photo by Pixabay
Concept Encoder Articlesは、今後さらに仮説検索の表示方法を改善し、検索窓内の要素(化合物など)を複数の軸として分け、その軸を既存の病気や医薬品と組み合わせることで、新たな可能性を見出す機能も実装予定とのこと。
技術の進歩により新しい情報がどんどん増えている状況で、今までのキーワード検索では追いつかない領域も増えているでしょう。今後は医療分野だけでなくさまざまな学術分野において、仮説検索のような効率と精度の高い検索技術が必要になってくることが予想されます。
近い将来、一般的にも仮説検索のような「コンテクスト」ベースの検索が主流になるかもしれません。
Source:FRONTEOヘルスケア、人工知能のアプリケーション「Concept Encoder Articles」の本格提供を開始