SaaSによって、AIの民主化が進みます。
株式会社ラディウス・ファイブが、クリエイティブなAIツールをSaaSで簡単に利用できるプラットフォーム「cre8tiveAI」を2019年2月18日より提供を開始。
cre8tiveAI上で利用できるAIの第一弾として、画素数を16倍に高解像度化させる「Photo Refiner」をリリースしました。
AIで画素数を16倍に高解像度化する「Photo Refiner」
今回発表された、cre8tiveAI上で提供されるPhoto Refinerは、ディープラーニングを用いて、これまでの技術ではできなかったレベルで高解像度化を行えるAI。
およそ10秒という速度で、画素数を16倍に高解像度化できます。以下がPhoto Refinerで低画質画像を高画質にした事例。パッとみて分かるほど、高画質化できていることが分かります。
画質が悪いことによる課題は、広告、印刷といった業界以外にも、さまざまな業界で発生しています。たとえば印刷業界では、クライアントから受領する画像の実に30%が印刷に耐えない低画質。これによって多くの失注につながっているといいます。
ラディウス・ファイブは、これまで実現が難しかった低画質画像から大きな画像(ex.10,000px)に高解像度化するための技術等で特許を出願しており、Photo Refinerの提供を通じ、さまざまな業界での低画質な画像が引き起こす様々な課題を解決していくとしています。
今後実装予定の機能は動画の高解像度化、物体除去、切り抜きなど多岐
cre8tiveAIでは、今後以下のような機能を順次追加していくとのこと。
- Movie Refiner(動画高解像度化AI)
実写やアニメなどの映像を高解像度化するAI。2018年12月から新衛星放送が開始され4K,8Kの放送が可能な環境が整ってきたが、4K,8Kの映像を制作するコストは非常に大きく映像制作者の大きな負担になっている。過去に制作した映像を高解像度化させるリマスター版の制作には膨大な時間がかかっており、それらの問題を解決できる - Inpainter(物体除去AI)
画像に写る余計な物体を除去し、その背景に相応しい画像を生成する - Outline Clipper(切り抜きAI)
画像内に写っている指定の物体だけを切り抜いてくれるAIです。ECサイトでは商品だけを切り抜く作業が膨大に行われており、その作業を削減できる - Color Booster(HDR化AI)
逆光や暗所で撮ったために暗くなってしまった画像の輝度を上げて色鮮やかな色彩にし、白飛びや黒つぶれしている箇所まで補完する - Frame Extender(周辺画像補完AI)
画像の周辺に存在するであろう景色を推定して生成する - Mono Painter(着彩AI)
モノクロの画像に、相応しい色をつける - レイヤー分けAI
画像に写っている物体を認識し、レイヤーを分け、物体の背景まで補完する
以下は動画を高解像度化するMovie Refinerのデモ。きっちり高解像度化されています。
cre8tiveAIの料金体系は以下の通り。お試しプランは0円から始められるので、まずは試してみてもいいかもしれません。
SaaSでAIの民主化が加速する
AIの民主化の一側面として、こういったSaaSサービスによって、ユーザー側でデータやモデルを用意しなくてもAIの恩恵を享受できるということがあります。特に、クリエイティブ周りは属人化しやすく数値化もしにくいため、Adobeなどの大量のクリエイティブプロセスのデータを持つ企業しかこの領域に注力できなかった背景があります。
そのため、日本のスタートアップからこうしたプラットフォームが出ることはひとつの希望でもあります。cre8tiveAIは20カ国の言語に対応し、複数通貨対応のシステムを導入しているとも発表していることから、すでにリリース時点で世界展開を見据えていることが分かります。
世界中のクリエイターのクリエイティビティを、AIでさらに高めてくれることに期待です。