「ロボットが会話を代行する婚活パーティー」に見る、コミュニケーションの未来

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日本の生涯未婚率が年々上昇傾向にある日本。背景には、人口減少により、そもそも結婚する人の絶対数が減っていることや、ライフスタイルが多様化し、「結婚」を選択する人が少なくなったことなどがある。

出典:平成30年版 少子化社会対策白書より

そんな状況でも、結婚を望む人は多い。

マッチングエージェントの調査によると、オンライン婚活マッチングサービス市場規模は2017年の256億円に対し、2018年は386億円と、約1.5倍に拡大。2019年には530億円に達すると見られている。

出典:マッチングエージェントプレスリリースより

2019年2月9日、サイバーエージェントは「ロボットが会話を代行する婚活パーティー in 竹芝」を開催した。竹芝地区を「デジタル×コンテンツ」産業集積の拠点として盛り上げるために設立された団体「CiP協議会」と連携した取り組みだ。

ロボットが会話を代行する婚活パーティー

ロボットが会話を代行する婚活パーティーは、

第一部:ロボットのみで会話
第二部:ロボットの会話の後に参加者が会話する

の2部構成で行われた(第一部と第二部の参加者は別)。ロボットは、事前にインプットされた参加者のプロフィールをもとに自己紹介や会話を進めていく。

婚活パーティーでマッチングするには、相手との円滑なコミュニケーションが必要となる。しかし、初対面の相手とコミュニケーションを円滑に取り、なおかつ相手に好かれるような話し方をするのは、いわゆる“コミュ障”にはハードルが高い。

その課題を、ロボットで解消しようという実証実験が、今回の「ロボット婚活パーティー」だ。会話が苦手な人でも、ロボットが会話を代行することで、「自分からは直接言いにくいアピールポイント」や「少し聞きづらいデリケートな質問」なども可能になる。

ロボット同士の会話の様子

興味深いのは、その結果だ。当人同士は話さず、ロボットのみで会話した場合でも、マッチしたカップルが複数生まれている。

第一部:男性8名、女性8名中カップル2組成立
第二部:男性5名、女性7名中カップル2組成立

と、ほかの婚活パーティーと比べても遜色ない結果となった。

パーティー終了後、運営が参加者に対して実施したアンケートを見ると、ロボットの会話が相手を選ぶ際の要素に影響を与えていることが分かる。

参加者の声

  • 普段は好みのタイプではない相手の方だったが、ロボットの対話から共通点を知ることができたのでフリートークが盛り上がった。そこからお相手に興味が出た。
  • ロボットの対話中は話す必要がないので、お相手の情報のインプットに集中できた。興味がわき、直接話したいと思った。
  • ロボットの対話を聞いていたところ共通点も多く、質問したり話をしてみたいと思った。

人間同士が会話する際は、会話の内容だけでなく、身振り手振りや容姿など、会話以外の要素が相手へ抱く印象に大きく関係してくる。

ロボットが会話を代行することで、こうした会話の内容以外の要素を排除し、相手の情報をクリアに受け取ることができるようだ。

対話エージェントが人間から信頼を得る可能性

ロボット婚活パーティーは、CiP協議会とサイバーエージェントのアドテクスタジオ内「AI Lab」が共催した。

サイバーエージェント AI Labでは、人間とロボットが共生できる社会を目指し、ロボットが信頼を得るにはどうしたらいいかを考えてきたという。

――岩本(サイバーエージェント AI Lab)
「婚活パーティーでは、たったひとつ趣味が合わないだけで、『この人とは合わない』と判断されてしまう可能性もあります。

ロボットという対話エージェントを経由して会話を行うことで、

  • 自分のことを話しても自慢のように聞こえなくなる
  • 聞きにくいデリケートなことも聞けるようになり、相手のことを適切に判断できるようになる

などの仮説を持ち、これまで進めてきました」

岩本氏によると、自分のプロフィール情報が反映されたロボットが会話することで、「対話エージェントに対する信頼の醸成」につながる可能性があるという。

ロボットが信頼感や安心感、信用といった要素を獲得した
出典:サイバーエージェントプレスリリースより

参加者に実施したアンケートによると、「自分のロボットは信頼できたか?」という質問では7.14ポイント、「自分のロボットの発言に安心感はあったか?」という質問では6.93ポイントと、ロボットに対する一定の信頼感が生まれている。

また、「自分のプロフィールやアピールポイントを正しく相手に伝えてくれたことに信頼がおけた」と答える参加者も多かった。信頼できないと回答した参加者は、「ロボットが話した自分の情報が少し古かったので、ロボットに対して信頼することができなかった」と答えた。

――岩本
「つまり、『ロボットが自分のプロフィールや事実を、自身が納得できる内容で話すこと』が、ロボットへの信頼感を醸成した理由だと考えられます。人間の意思決定にロボット同士の会話が影響したことが確認できた瞬間でした」

「会話」すらもロボットにアウトソースできる時代が来るか?

筆者も実際にロボット婚活のデモを体験した。

自分が言わんとしていたことを次の瞬間ロボットが発言すると、たしかにロボットと「シンクロ」している感覚があり、信頼感が上がる。

サイバーエージェントは今後、自然言語処理や会話の選択アルゴリズムなどのAI技術を組み合わせ、「対話エージェントへの信頼感の醸成」を目指していくとしている。

誰しも、疲れていると会話すらも億劫に感じるときがある。そんなとき、ロボットが自分の分身としてコミュニケーションを代行してくれたら、どんなにいいだろう。信頼できるロボットに会話をアウトソースできる未来も近いかもしれない。