ブロックチェーンデータプラットフォーム「Datachain」が世界のデータ流通を変える?

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2018年3月に設立された株式会社Datachainが、ブロックチェーンを基盤としたデータ流通プラットフォームの構想を発表したのをご存知でしょうか。

いまだにデータの流通・取引においては、さまざまな課題があげられています。Datachainはまさにそういった課題を解決すべく、“世界中のデータをブロックチェーンによって安全に共有できるようにする”というビジョンのもと立ち上がったといいます。

今回は、株式会社Datachainの代表取締役CEO 久田さん、取締役 CTO 木村さんに、「Datachain」立ち上げの背景、そしてその先にどのような未来を描いているのか、インタビューしてきました。

久田 哲史
株式会社Datachain 代表取締役CEO。及び株式会社Speee取締役ファウンダー。2007年、Speeeを創業し、代表取締役に就任。2011年、新規事業創出に専念するため代表を交代。2018年、Datachainを設立し、CEOに就任。

木村 淳
株式会社Datachain 取締役CTO。株式会社Speee執行役員。国内初のアドフラウド対策技術を開発するMomentum株式会社の創業メンバーおよびCTO。2017年、同社をKDDIグループ会社に売却後、Speeeに入社。株式会社Datachainを立ち上げ、現任。

ブロックチェーン技術を基盤としたデータプラットフォーム「Datachain」とは

――早速ですが、Datachainとはどんなサービスなんですか?

――久田
「まずは技術や仕組みのお話をする前に、われわれ、そしてDatachainというプラットフォームが最も重要視するビジョンをお伝えさせてください。我々はビジョンとして、“世界中のデータをブロックチェーンによって安全に共有できるようにする”という言葉をあげています。

そのビジョンを支えるコアな部分が “ブロックチェーンテクノロジー”と“トークンエコノミー”です。ビッグデータ、AIという潮流がある中で、世界にはデータが溢れているイメージがありますが、我々は、本当に重要なデータはまだまだ共有されておらず、死蔵されているのでは、という問題意識を持っています。

Datachainでは、そのように死蔵されているデータを、ブロックチェーンによって安全に、企業間の垣根を超えて流通させることを目指しています。」

データの価値、そして重要性が叫ばれるなか、様々な課題が現実問題として浮き彫りになっています。

もちろん、課題が多い状況になっているのにも、それなりに理由があるから。それを新しいテクノロジーで解決しよう、と動き出しているのがDatachainです。

――久田
「まず挙げられる課題として、共有されるべき重要なデータが市場に出ていないことです。それをオープン化するために考えられるアプローチが、暗号技術を含む、ブロックチェーンテクノロジーです。」

久田さんによると、ブロックチェーンテクノロジーを応用することで、

  • プラットフォーマーがデータを読み取れない形式
  • データプロバイダーがデータを誰に、どのように使われるか、コントロール
  • ユーザーによるデータの監視と履歴の透明性担保

といった、セキュアなデータ取引が可能となるようです。

――久田
「さらに、これを仕組みとして回していくために、トークンエコノミーを活用しようと考えています。

データ取引の基軸通貨を作る、そのために、データ取引における通貨としてDatachain独自のトークンを発行し、データの価値を可視化します。」

データプロバイダーはデータを提供することで、データの価値に相当したトークンが発行され、そのトークンを使いほかのデータを購入できるという仕組みですね。

ここで疑問に思うのは、そのデータの価値をDatachianがどのように算出しているのか、というところ。

――木村
「データの価値は、機械学習を用いた独自アルゴリズムによって算出していきます。
たとえば、広告配信におけるデータ活用のケースでいうと、そのデータによりどれくらいの広告効果がでたのかという貢献度合いからデータの価値を算出することも一つの要素として考えています。

ブロックチェーンを基盤とした技術による利活用の透明性が担保されることになったことにより、このような手法が可能となりました。」

ブロックチェーンによって、価値あるデータを持つ事業者が、正当な報酬を得ることができるようになる、ということですね。

データ格差をフラットに。テクノロジーでデータ流通の課題を解決し、可能性を無限大にする

――新テクノロジーで構成されるプラットフォーム、その実現に至った背景をお聞きできればと思います。

――久田
「最初はブロックチェーンテクノロジーなどの新しい技術を使ってなにかできないか、というところから始まっています。

技術起点で生まれたプロダクトが、Datachainです。」

ブロックチェーンによって広告取引の透明性を実現しようとするサービスは海外にすでにあるが、それだけで終わっているプロダクトが多く、デジタルマーケティングの構造が根底から変わるほどのインパクトはなかった、と久田さん。

――久田
「実際、ほかの企業がやっているベーシックな方法でブロックチェーンテクノロジーを使っても、業界においてゲームチェンジを起こすほどのインパクトをもたらすことは難しいだろうと思っていました。

ブロックチェーンテクノロジーによる取引の透明性は、Datachainにおいては必要な要素の1つでしかありません。それぞれの要素をうまく掛け合わせることが、革新のために必要だと感じていました。」

比較的新しい技術であるブロックチェーンテクノロジーによる取引の透明性も、それだけではインパクトはもたらせないといいます。

根本からデータ格差をフラットにして、あらゆる可能性を生むためには、新テクノロジーを組み合わせる必要がある。Datachainは、まさに技術起点で生まれたプロダクトといえます。

ビジョンは”セキュアにデータ共有ができる世界”。不可能だったことを技術で可能に

――Datachainは今後、どのような展開を考えているのでしょうか?

――久田
「まず、プロダクトローンチ自体は初夏を目処に動いています。現段階は、ローンチ前の調査や実証実験などを進めています。」

なんといってもブロックチェーンテクノロジー、そしてトークンエコノミーによる、世界にも類をみないデータ流通、取引を可能にするプロダクトであるDatachain。

やはりユーザーの声を取り入れながら試行錯誤してプロダクトを作っていく必要があるようです。

――久田
「Datachainによって、今まで世の中になかった価値を生み出したいと思っています。出せなかったデータが提供され、そして購入できるようになったとき、ステークホルダーの方々がなにを気にするのか、どのような活用を考えるのか、ヒアリングや実証実験をとおして検証しながら実現していきたいと考えています。」

――久田
「データを活用できる領域は、多岐にわたりますが、我々はその中でも一番データ取引が進んでいるマーケティングの領域からスタートしようと考えています。」

Datachainプラットフォーム構想は、まさにアドテクノロジー業界がもっとも求めていたソリューションだという声も多くあがっているようです。

――久田
「デジタルマーケティング業界は単なるスタートラインでしかないと思っています。ゆくゆくは、Datachainのようなプラットフォームがマーケティングなど特定の領域でなく、あらゆる産業の中であたりまえの存在になり、あたりまえのようにデータの取引、流通がさかんに行われるような世界になればと考えています。」

データ流通の世界に、新しい技術、仕組みを取り入れて、新たなエコシステムを構築する。

このようなアイデアは多くの方が考えているかもしれませんが、それを実現させるために優秀なチーム、そしてプロダクトが現に動きはじめている。そこが重要です。

Datachainはまだローンチ前のフェーズではありますが、“世界中のデータをブロックチェーンによって安全に共有できるようにする”というビジョンが現実になるまで、もうあと少し。そのインパクトは、ほぼすべての業界、そしてなによりAIの進化をさらに加速させてくれることに違いないでしょう。

久田さん、木村さん、ありがとうございました!