一般社団法人データサイエンティスト協会は4月18日、学生を対象に実施したデータサイエンティストについての調査の結果を発表した。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会では、「データサイエンティスト市場の『需要と供給のミスマッチ』の解消」をメインテーマに調査・研究活動をしている。
本調査では、所属学部に関係なく一般の学生を対象に、これから就職を考える学生がデータサイエンティストに対してどのような印象を持っているかを調査した。システムエンジニアやコンサルタントなどの職種とデータサイエンティストを比較している。
データサイエンティストの認知度は低い
学部関係なく一般の学生を対象に、システムエンジニア、コンサルタント、マーケター、リサーチャー、データサイエンティストの認知度を聞くと、「知らない」と答えた学生はデータサイエンスが2020年、2021年ともに最も多く、認知度が低いことがわかった。
2021年の調査で「確かに知っている」「なんとなく知っている」「名前を聞いたことはある」と答えた学生はシステムエンジニア/SE(81%)が最も多く、次いでコンサルタント(79%)、マーケター(53%)が続いた。
理学・工学・情報学部の学生に絞って認知度を聞くと、データサイエンティストを「確かに知っている」「なんとなく知っている」と答えた割合は10%多かった。
職種別興味度合いは似通っている
各職種を「確かに知っている」「なんとなく知っている」「名前を聞いたことがある」と答えた学生に、5つの職種に対する興味度合い・就職意向を聞くと、どの職種も同水準だが、2020年と比較して減少していることがわかった。
職種をデータサイエンティストに絞って、興味度合い・就職意向を認知種類別に聞くと、「確かに知っている」と答えた学生は興味度合いが増加していることがわかった。
一方、「なんとなく知っている」「名前を聞いたことがある」と答えた学生は、興味度合いや就職意向が大きく下がっている。
インターネットからの認知が高い
データサイエンティストとシステムエンジニアに関して「確かに知っている」と答えた学生にその認知経路を聞くと、インターネットからの認知が最も高かった。ほかには、大学の先生やテレビ、一般的な就職説明会などがあげられた。
各職種を「確かに知っている」「なんとなく知っている」「名前を聞いたことがある」と答えた学生に、データサイエンティストのイメージを聞くと「頭がよい(31%)」が最も多く、次いで「専門性が高い(29%)」「将来性がある(18%)」「実力主義(18%)」などがあがった。
データサイエンティストを「確かに知っている」と答えた学生に絞ってイメージを聞くと、「将来性がある(30%)」が最も多く、「専門性が高い(26%)」「頭がよい(23%)」だった。確かに知っている学生は、頭がよいというイメージよりも、「将来性がある」イメージを持っているようだ。
データサイエンス関連授業の受講状況について聞くと、学生全体では10%が受講した(受講している)と答えた。国立大学では受講した(受講している)学生が18%で、全体と比較して多い割合だ。学年別に見ると、修士博士課程と1年生での受講が高いこともわかった。
今回の調査結果について、データサイエンティスト協会 調査・研究委員会 委員長の塩崎潤一氏(株式会社野村総合研究所 データサイエンスラボ長)は次のようにコメントしている。
「2019年度から、大学生に対して、DSという職種の認知度合いやイメージの調査を始めました。今回2回目で、全体的な傾向に変わりはありませんでしたが、学部別など細かくみると時系列で変化が見られました。データサイエンティストという職種の認知度は変わりありませんでしたが、理学・工学・情報学部の学生では、明確に『知っている』と回答した学生が増えていますし、就職先として興味を持つ学生も増えました。
経済・経営学部でも認知度は高まっており、文系学生への広がりも見せました。システムエンジニアなどと比べると、大学の先生経由で認知する学生が多く、先生方に対しても正しく伝えることが重要になるでしょう。また、大学のカリキュラム変更などにより、大学1年生を中心に、データサイエンス関連の授業が浸透する傾向がみられ、今後、DSに対する裾野はさらに広がると言えます」
本調査の概要は以下のとおり。
- 調査対象 :日本国内(全国)の大学生・大学院生
男性:300サンプル、女性:300サンプルで割当
学年、所属学部などでは割当せず - 調査手法 :インターネット調査
上記条件によるスクーリング後に本調査を実施 - 調査期間 :2021年12月1日~12月3日
- 有効回答数:計600人
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