EUデジタル政策トップ「AIが生成した全てのものに『メイド・ウィズ・AI』」

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UnsplashChristian Lueが撮影した写真

主要7カ国(G7)デジタル・技術相会合出席のため来日した欧州連合(EU)の行政府である欧州委員会のベステアー上級副委員長は、朝日新聞によるインタビューで「ChatGPT」など生成AIが作り出した文章や画像に表示を義務づける考えを明らかにした。EUの理事会と議会で審議中のAI規制法案に盛り込む方針で、年内の合意をめざすという。

ベステアー氏はEUデジタル政策のトップを務める人物。EUは世界に先駆けてAI利用のルール作りに着手し、2021年にAI規制法案を公開している。

原案では、自動応答するチャットボットや、実在する人間があたかも本当に振る舞っているかのように見せかけた合成画像などについて、AIが使われていると明示するよう義務づけている。同氏によると、この規定を新たに拡大し、AIが生成した全てのものに「メイド・ウィズ・AI」などと明記することを義務づける方向という。

現在審議中のAI規制法案について「人権を侵害するリスクの大きさでAIの利用を4分類している。公権力によるスコアリングなど最もリスクが高い場合は『原則禁止』とし、次の高リスクの分類は利用時に事前の審査を義務づけてガードレールを敷く」と述べた。

さらに「これは技術そのものではなく、使い方に対する規制だ。なぜなら、技術を規制しようとすれば法律はすぐに時代遅れになり、役に立たない。ChatGPTの登場がそれを物語っている。そのため、現在想定されない未来のAIにもこの規制法は適用できると考えている」と強調した。

またロイターは同氏が「誰もがAIを使えるようになった今、AIを安全に利用し、生産性の改善やサービスの向上といった素晴らしい可能性を全て得られるようにするため、われわれが政治的リーダーシップを発揮する必要がある」と述べたと報じた。

さらに4月30日に行われた都内での記者会見では「教育現場を筆頭に、あらゆる部門でAIをどのように活用すればいいか人々が自問している」「より具体的な指針の策定に向け、年内に今年のG7議長国の日本主導で会合が開かれることを期待している」と語った。