MRIを10倍速く撮影する技術、FacebookのAI研究チームらが発表

MRIで10倍速く撮影する技術、FacebookのAI研究チームらが発表
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狭い空間で長い時間騒音に晒される環境はあまり好ましいものではない。検査などであればなおさらだ。

FacebookのAI研究チームとニューヨーク大学ランゴーン医療センターの研究者らでつくる合同チーム「fastMRI」は現地時間2月25日、従来のAIを導入したMRI装置の欠点を改善し、撮影時間を通常の10倍速く、MRI撮影画像の質も向上できる可能性のある技術を発表した。

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MRIの撮影時間と画質はトレードオフの関係

そもそも、MRIの検査時間はどれくらいかかるのだろうか。キヤノンメディカルシステムズ株式会社の「What is MRI?(外部サイト)」によれば、検査にかかる時間は部位によって異なるものの、20分~1時間程度だそうだ

MRIの撮影時間と画質はトレードオフの関係にある。撮影時間を短くすると、画質が荒くなり、撮影時間が長いと画質は良くなる。それであれば長い時間撮れば良いではないのかと思うが、患者の状態によっては短い間しか撮影できないこともある。

そこで、短い撮影時間でも高画質のMRI画像ができる、ディープラーニングを用いた取り組みが行われた。

ところが、取り組んでみると画像の質は確かに良くなったが、今度は人工的な白いスジ状のノイズが写るようになってしまった。経験豊富な医師などであれば白いスジ状が、ノイズなのか病気の形跡なのか見分けがつく。しかしこのノイズが邪魔すると画質が落ち、経験が浅い医師などは重大な病気の形跡を見逃してしまう恐れがある。

研究チームがまず解決しようとしたのは、AIを導入したMRI画像に映り込む白いスジ状のノイズを除去することだ。

GANを用いたディープラーニングモデル

FastMRIGAN画像はFAIRの公式ページから

今回fastMRIは、GANを用いたディープラーニングモデルで実験した。GANとは、いたちごっこ学習のような仕組みで学習を深めるアーキテクチャだ。画像のパターンを学習し、精巧でリアルな人物画像を生成することで有名である。今回の使用目的は、ノイズパターンを予測して白いスジを除去した画像を生成することだ。

結果は以下の画像の通り。左が通常のMRI画像、真ん中が従来のAI高速化画像、そして右が今回のGANを用いたAI高速化画像だ。
MRI
画像はFAIRの公式ページから

従来の画像に比べて鮮明な画像が出力された。少しわかりにくいが、緑色の円で囲まれた部分に薄く白い帯状のスジが確認できる。右の写真ではそれがクリアになり、より鮮明な画像になっている。

今回の実験により、MRI撮影に伴う患者負担をさらに減らせる日が近づいた。

研究チームは、この手法を用いて既存MRIの機能も上げられると述べており、続く研究に期待が寄せられる。