その広告、ちゃんと効果測れてますか?広告費を半分にしたfreeeのアトリビューション分析事例

ROAS2倍!アトリビューション分析で本当の価値を見つけ出す
このエントリーをはてなブックマークに追加

おはようございます。アズマです。

クラウド会計ソフトのfreee

Ledge読者ならば知っている方がほとんどだと思いますが、“こんなサービスあるよ~”から気づけば今や“クラウド会計ソフト=freee”という存在になりました。

一体、どういったマーケティングをされているのか気になります。

ほぼ創業から参加されている三番目の社員で、オンラインマーケティングのマネージャーである鈴木幸尚さんにお話をうかがってきました。

中間KPIの評価をラストクリックですると判断を誤る可能性がある

―破竹の勢いのfreeeですが、どういったマーケティングをされているのかすごく気になります

鈴木さん

―鈴木
僕はオンラインマーケティングを見ているんですけど、いまはSEO、ディスプレイ広告、検索型、etc…とやることは無数にあります。

ただ、ほんとうに効果のある広告はナニ?ということでアトリビューション分析をして広告費の最適化をしています。

アトリビューション分析:コンバージョンに至るまでの、間接的な各広告の貢献度をメディアを横断して正当に評価するための分析手法。

もともとfreeeでは、無料のサインアップ後の売上がKGIで、中間KPIはサインアップ数だったんだとか。

これをラストクリック型で評価をしていたんだそうです。

しかし、中間KPI(サインアップ数)で評価してしまうと、会計ソフトが本当に欲しい人から、ただ試したいだけの人までいろいろなエンゲージメントの人がいるため、全てのサインアップが売上に直結するとは限らない。

freeeは、クラウド会計というサービスの特性上、頻繁に訪問するサービス。多くのユーザーが、お気に入りに登録するため、実際に課金契約する際もお気に入り経由が多くなるんだとか。

一般的なラストクリック型で評価すると、この「お気に入り」が最も評価されるチャネルになり、それまでに通ってきた「検索」「広告」「SNS」などの施策との貢献度に大きな差ができてしまうというわけです。

アトリビューション分析

現代のwebユーザーは単体の情報だけで決断に至るなんてことは少ないはず。

KGIにつながる本当にエンゲージメントの高い人を集めている施策はナニか?

CPAが同じだとして「広告A」からは100人、「広告B」からは300人の流入があった場合、「広告B」に注目しがちですが、KGIで見ると「広告A」の方がKGIに貢献していた。なんてことも実際にある話。

アトリビューション分析することで、本当に効果のある施策を洗い出し、再配分することが広告費を最適化する方法だということでした。

データマネジメントはまずルールを決めてから

―ツールは、何をつかって分析してるんですか?

鈴木さん

―鈴木
Google AdWords(以下、AdWords)とGoogle Analytics(以下、Analytics)を連携して、Analyticsのアトリビューション機能を使っています。

意外に身近なツールでもできるとのことですが、大切なのは必要なデータを正しくとるということなんだそうです。

例えば、AdWordsとAnalyticsを連携させるとimp、コスト、クリック、CTR、CVの情報が取れる。

しかし、Yahoo!ではクリックとCVしかとれないので、imp、コスト、CTRを管理画面からCSVで持ってくる必要があるそうです。

図

他にも同一のキャンペーンであるにもかかわらず、キャンペーン名が異なるため、データを正しくマージできないということも…

そうならない為にも、データマネージメントは必ず社内でルールを決めてからやる必要があるということでした。

施策を進めるには、大きく舵をとらず10%づつ進めてみる。うまくいったらさらに10%といったように少しずつ進めるのが組織で理解を得ながら進めるポイントなんだそう。

と同時に、きちんとしたデータと理論を提示できなければ納得させることは難しい。

“見せるためのデータ”というのも意識しておいたほうが良さそうです。

フェイズにあわせたマーケティング施策

―なるほど。ちなみに分析をする前とした後で、どれくらい効果あったんですか?

鈴木さん

―鈴木
効果は変えずに、ある広告媒体の広告費を半分にすることができました。

Analyticsでとれないデータは多い(というかほとんど)ですが、後でサインアップしたデータから遡ることによってユーザー属性を知ることができます。

エンゲージメントが低いユーザー(=なんとなくきたユーザー)の流入が多いところは減らしたい。

検索型広告は何かしら意志があって→検索して入ってくることが多いですが、やはりディスプレイ型広告はなんとなくの興味だったり意識の低い人が多い。(もちろんそれが狙いの施策もあると思いますが)

そこからファンになってもらうためのLPやサテライトサイトでナーチャリングするというのは幅を広げるためには大切ですが、初期段階のマーケ施策としてはコストが掛かってしまいます。

とはいえ、LTVが高いユーザーは限られているので、そうではないユーザーも(ローコストで)獲得していかないといけません。

広告運用は潤沢に予算があれば、うまくいくというものではないんでしょうね。

きちんとアドベリフィケーションしながら、フェイズにあった予算を投下するのがもっとも効果的です。

もし、“CPAだけ”で広告をだされているとすれば、いますぐ改善の必要がありそうです。

さいごに

今回のインタビューでは、かなりわかりやすくアトリビューション分析をご紹介いただきました。

アトリビューション分析はセールス、インサイドセールスのような組織にも使えると思います。

まだまだSEO論、検索広告のやり方などなど…しゃべり足りないとのことでしたので、ぜひ次回その辺のお話をお伺いできればと思います。

鈴木さんお忙しいところ、ありがとうございました。