AIで建設・製造現場のテキストデータを一元解析 危険要因の察知で事故の発生を数日前に予測

このエントリーをはてなブックマークに追加

株式会社FRONTEOは2月17日、医療領域で活用実績のある自社開発AI(人工知能)エンジンを活用したAIソリューション「WordSonar(ワードソナー)」を発表した。その第一弾として、建設・製造現場の安全対策に関するリスク発見や予測をするAIシステム「WordSonar for AccidentView(ワードソナーフォーアクシデントビュー)」を提供開始した。

本システムは、建設・製造企業の日報や作業報告書、事故報告書などの膨大なテキストデータを、自社開発AIエンジンを使って一元的に集約・解析し、把握・活用しやすい形式で提示するAIシステムだ。

従来のテキストマイニングや画像解析では、適切なタイミングでの特定が困難だった作業現場の危険要因を察知し、事故を発生の数日前に予測する。大量のデータをAIが分析することで、現場管理者や作業者のリスク評価や日報の確認・集計作業の負担の軽減に加え、個人の主観や知識の影響を受けない客観的かつ網羅的なリスク判断ができる。

また、日々の日報に加え、気象・季節性データを含む最新のデータも取り込みながら解析できるため、現場の状況の変化に対応したリスクレベルの評価や作業者に対する適切な注意喚起と予測精度の継続的な向上を実現するという。

企業において、報告書をはじめとする自然言語で記述したテキストデータは、業務改善のための膨大かつ貴重な情報源である。しかし、解析のために均質なデータとして取り扱うことが難しく、その活用は限定的な範囲にとどまっていることが多いという。本システムはテキストの意味をベクトル化して解析するため、こうしたデータの網羅的な解析が可能だ。

また、単なるキーワード検索では検出が不可能な類似キーワードをグループ化・可視化し、提示できる。たとえば、建設・製造現場における降雪時の作業の労働災害リスクを調べたい場合、本システムで「雪」と入力すると、「凍結」や「氷結」といった関連性の高い語を含む過去の事例もあわせて検出され、キーワード検索では見落とす可能性のあった事例も確認できる。

建設・製造業界では、労働人口が減る一方で、死傷災害の発生件数は年々増加傾向にある。厚生労働省の「労働災害発生速報」令和3年速報値(令和4年1月時点)によれば、2021年の死傷災害人数は13万5358人に上り、4年間で約25%(約2万7000人)も増加している。

また、総務省統計局の「日本の統計2021」によると、労働災害死傷者数がもっとも多いのは製造業で、商業、運輸交通業、建設業と続き、主な原因としては「はさまれ、巻き込まれ」「転倒」「墜落、転落」などがあげられる。

こうした労働災害は、適切な注意喚起があれば回避できたかもしれない小さなミスや情報伝達不足が原因となることも多く、まずはヒヤリハット(危ないことが起こったが、災害にはならなかった事象)事例をできるだけ発生させないための予測・予防の仕組みを構築することが重要となっている。

各企業は労働安全衛生の取り組みにおいて、国の定める様式による報告や危険予知活動などの安全活動を通じて、事故や災害の発生やヒヤリハットの状況など数多くの記録を蓄積している。しかし、それらの記録が保管されるだけで十分活用されず、担当部門や現場責任者・作業者の属人的なノウハウとなっている。現場の慣れが生じて対策が形骸化するといった状況も発生し、実効性のある労働災害防止や安全対策の実施が急務となっている。

本システムは、企業の作業現場においてタイムリーに活用できていないデータから、災害予測や予防、業務改善につながる情報を探知し、有効活用することで、企業の労働災害リスクの予測や職場の安全対策向上を支援する。また、同社は今回の建設・製造業界向けソリューションを皮切りに、今後も「WordSonar」シリーズの多様な業界への展開を図るとしている。

>>ニュースリリース