富士フイルム株式会社は8月12日、AI(人工知能)技術を活用し、胸部単純X線画像から結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3つの画像所見を検出し、医師の画像診断を支援する「胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID(シーエックスアール エイド)」の薬機法における製造販売承認を取得したと発表。富士フイルムメディカル株式会社を通じて販売する。
結節・腫瘤影はX線画像に写る類円形の陰影で、肺がんが疑われる所見である。浸潤影は境界の不明確な陰影で、主に肺炎や結核などの感染症に見られる画像所見。気胸は肺に穴が開くことで肺がしぼんでいく病気で、胸部X線画像では肺と胸腔(きょうくう/きょうこう)の間に空気領域が認められる。肺がんや肺炎、気胸は、発見が遅れると重篤化する可能性があり、早期発見が重要である。
しかし、胸部単純X線画像では骨や血管などがすべて重なって写るため、病変を視認しにくいケースがあるという。また、健康診断など、膨大な数の画像を医師が読影するなかで見落としなく検出するには高い集中力を要する。そのため、医師の負担を軽減し、効率的な画像診断ワークフローを支援するソリューションが求められていたとのこと。
「胸部X線画像病変検出ソフトウェア CXR-AID」は、撮影した胸部単純X線画像を自動解析することで、結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の候補領域を検出し、それらの異常領域の存在の可能性(確信度)を青から赤までのグラデーションカラーで表示。確信度が低いほど青く、高いほど赤く表示する。各検出領域に対応する確信度の最大値はスコアで表示してくれる。
(画像提供:藤田医科大学)
本ソフトウェアの検出対象は、主要な肺疾患の画像所見である結節・腫瘤影、浸潤影、気胸の3所見のため、健康診断や日常診療などさまざまな胸部単純X線検査で幅広く活用できるという。
本ソフトウェアはインストールしたPC(処理ユニット)を、富士フイルムの医用情報画像システム(PACS)「SYNAPSE(シナプス)」および、画像診断ワークフローを支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」に接続することで利用できる。
SYNAPSEサーバーから転送した胸部単純X線画像を解析し、処理結果の画像をサーバーに送信。処理結果の画像はサーバーに保管し、SYNAPSEクライアント端末で元の胸部単純X線画像とあわせて表示および確認できる。結果は「SYNAPSE」または「SYNAPSE SAI Viewer」で表示する。
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