外科手術での「ガーゼ遺残事故」を防止する富士フイルムのAI技術

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<画像出典:Pixabay

富士フイルム株式会社は4月2日、AI技術を用いて開発した「手術用ガーゼの認識機能」を富士フイルムメディカル株式会社から5月1日に発売すると発表した。

手術用ガーゼの認識機能は富士フイルムが2016年11月に発売した、救急や集中治療室などスペースが限られる医療現場でのX線撮影を実現する超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO (カルネオアクロ)」における新たなオプションだ。X線画像に映った外科手術に使用する手術用ガーゼを認識してマーキングすることで、術後の患者体内のガーゼ遺残有無の確認をサポートする。

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重大な事故である術後のガーゼ遺残の発生低減を目指す

手術用ガーゼの認識機能は、手術において最も体内遺残件数の多いガーゼの可能性がある陰影をX線画像中から認識し、その位置をマーキングする。設計には、富士フイルムの画像認識技術と、ディープラーニングが用いられている。

AI技術を活用した画像認識機能の開発には、たくさんの良質な学習データが必要だ。しかし、ガーゼが体内に残存しているX線画像は大量には存在しない。

そこで富士フイルムは、長年培ってきたX線画像処理技術にAI技術を組み合わせることによって、少ない学習データでもガーゼの認識性能を高めた機能を開発した。

そもそも、術後のガーゼ遺残は重大な事故だ。合併症や感染等のリスクがあることから、医療機関ではガーゼの見落としを防ぐ仕組み作りを進めるとともに、本対策をサポートする技術へのニーズが高まっていた。

外科手術では、使用したガーゼが術後に体内に残っていないかを確認するために、手術前後にガーゼの数を数えてカウント数が一致しているかを確認していた。さらに、術後には手術室内で使用できる移動型のX線撮影装置で撮影したX線画像を目視確認し、ガーゼ遺残の有無を確認する。

手術用ガーゼには造影糸が織り込まれているが、X線画像に映る造影糸は白くて細いため、骨と重なってしまう場合などは確認しづらく、遺残が発生することがあった。

富士フイルムは、FUJIFILM DR CALNEO AQROの手術用ガーゼの認識機能を提供することで、外科医の術後X線画像確認をサポートし、ガーゼ遺残の発生の低減を目指している。

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大腸がんの早期発見をサポートするAIをオリンパスが発売

医療従事者をサポートするAIを活用した技術は続々と増えている。

オリンパス株式会社は3月2日、大腸内視鏡画像をディープラーニングによる人工知能(AI)で解析し、内視鏡検査中に病変が映っているかを推測することで医師の診断を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」を2020年5月下旬から国内で発売することを発表した。

エンドブレインアイは、大腸内視鏡検査中の画像をAIが解析し、ポリープやがんなどの病変候補を検出すると音と画面上の色によってリアルタイムで警告する。

発見した病変候補の位置までは、特定させる設計にはあえてしていない。これは、医師への警告にとどめることで、病変の発見を支援しつつ、最終的な診断は、医師に任せるためだ。つまりエンドブレインアイは、医師に代わるものではなく、医師を補助するAIなのだ。

なお、エンドブレインアイは動画から出した約395万枚の内視鏡画像をディープラーニングに基づいて学習したところ、臨床性能試験では感度95%、特異度89%の病変検出精度を達成したという。