富士通、がん患者の遺伝子変異にもとづく治療薬の選択をAIで支援

このエントリーをはてなブックマークに追加

画像はUnsplashより

日本人の死因の第1位となっている、がんの新規患者数は増加傾向で年間約100万人だ。このような中、がんの遺伝子変異に応じた最適な治療をするがんゲノム医療が注目されており、全国規模で体制が整備されている一方で、遺伝子変異にもとづき治療をするゲノム医療専門医の不足が課題となっている。

愛知県がんセンターと富士通株式会社は10月19日、がん患者のがん種や多様な遺伝子変異にもとづき、さまざまな治療薬から、効果が期待される薬剤をAIで効率よく絞り込めるシステムを開発し、愛知県がんセンターの臨床現場における実証実験で有用性を実証した。

本システムは、外部の複数データベース内でさまざまな表現やルールによって管理されたがん種および遺伝子変異に対応した薬剤情報やその治療効果を評価する実験データなどを、愛知県がんセンターの治療薬選択のノウハウと、富士通のデータ統合AI技術を用いて、共通の表現やデータ形式に整理し、ナレッジグラフ(※)に一元化する。これにより、さまざまな治療薬から、患者ごとに異なるがん種や多様な遺伝子変異に効果が期待できる薬剤の絞り込みが可能になる。

(※)論文や研究成果などテキストで表現される情報を集め、互いに関連する情報同士を接続したグラフ構造データ。

たとえば、本システムに患者のがん種や遺伝子変異などの検査データを入力すると、治療効果が期待できる薬剤や薬効の度合いを示す客観的なスコアを出力し、がん種や遺伝子変異など条件を自由に変更しながら絞り込める。

(システム概要)

本実証実験で、愛知県がんセンターのエキスパートパネルで治療法などを検討されてきた約450人の患者について、本システムを用いて治療に効果的な薬剤の評価を実施したところ、8種の遺伝子変異に対して、標準的な治療薬を提示できた。

さまざまな治療薬の中で、薬効の度合いを示す客観的なスコアや類縁のがん細胞の性質などからその治療効果が期待できる薬剤候補を導き出せるという。

本システムで得られる結果により、医師は当該患者の遺伝子変異にもとづいて、治療効果が期待できる薬剤とその薬効の程度について、さまざまなエビデンスを集約して検討可能になる。これにより、高度なゲノム医療の知識を持つ専門医でなくても治療薬の選択や新たな治療法の提案ができる環境が広く普及することが期待される。

今後は、本システムに富士通株式会社の文献情報抽出AI技術を組み合わせることで、医師が治療薬として検討中の薬剤の効果について、過去の120万件を超える大量の医学文献から該当部分を瞬時に参照でき、薬剤選択の妥当性の確認や作業の効率化が期待できる。

>>ニュースリリース