さまざまな手段で情報発信できるようになり、情報社会と呼ばれている現代、プラットフォームや媒体によって文字数制限があることも多々ある。
そのため、紙面などに掲載した記事を他メディアにも配信している新聞社などは、その都度制限文字数に応じて人手で記事を要約している。
その工程を全て代替してくれるかもしれないAIが登場した。富士通株式会社は、AI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を活用し、記事の自動要約や顔写真の背景を着色できる無償のトライアルサイトを、企業向けに7月8日より公開した。
高精度で瞬時に記事の要約を可能に
トライアルサイトでは、自動記事要約システムと顔写真の背景を自動着色するシステムを利用できる。
自動記事要約システムは、さらに重要文抽出機能と生成型要約機能に分かれる。
自動記事要約システム
重要文抽出機能
- 記事全文から重要度の高い文章をAIが判定し、文体などを変えずに180字以内に要約
- 文章の冒頭を機械的に抜粋して要約していた従来手法に比べ、全文を対象に人手と同等に高精度の要約文章を作成
生成型要約機能
- 約8万件の記事全文と要約記事のデータを学習させたAIが表現も言い換えることで、重要文抽出機能よりも短い54文字以内の短文を作成
- 単語の削除、語順の変更、言い換えを学習しているため、文章がきれいにつながるように単語や接続詞などを組み合わせて要約文を作成
- 新聞などニュース原稿の要約記事、SNS投稿用の短文、公共交通機関の電光掲示版やデジタルサイネージへ配信するニュースなどの作成に活用可能
顔写真の背景の着色を自動化
- 新聞や雑誌などに掲載する顔写真の背景に特定の色を塗る作業を自動化
- あらかじめ顔写真のデータを学習させたAIが、顔と背景の境を判別し、顔以外の不要な背景を着色
時代とともに情報発信の手段が多様化
新聞社をはじめ、自治体や企業がオウンドメディアやSNSを通じ、オリジナルの文章をさまざまなパターンに要約して発信する機会が増えている。
そうした背景から自動記事要約システムは公開された。富士通は、2018年よりメディア向けに開発・提供しているAIを活用した自動記事要約システムを、7月8日よりトライアルサイト上にて、期間限定で公開したそう。
人手不足が叫ばれる現代社会のなかで、まさにAIが人手を代替するシステムだ。今後もますますこのようなシステム、サービスは増えていくことだろう。AIが我々の生活に浸透し、支えてくれる未来が楽しみである。