富士通、時系列データで異常要因を特定する世界初のAI技術を開発「技術改良と実用化に期待している」

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富士通株式会社は7月16日、Topological Data Analysis(TDA※)技術をベースに、時系列データにおいてAIによる異常判定の要因を特定し、正常と異常間の判定の変化を視覚的にわかりやすく提示できる技術を開発したと発表。フランスの国立研究機関Inriaとの共同研究によるもので、世界初とうたう。

(※)データをある空間内に配置された点の集合とみなし、その集合の幾何的な情報を抽出するデータ分析手法のこと。

近年、ヘルスケアや社会インフラ、ものづくり分野など、さまざまな場面で多くの時系列データが収集され、AIを活用した状況判断や異常検知が実施されている。なかでも、AIによる判定結果の根拠を説明することが求められているが、時系列データの場合はAIの判定要因が多種多様に存在するため、専門家であってもどのようなデータの変化が異常判定に影響したのかに気づきにくく、異常な状態への適切な対応や防止策につなげることが難しいという課題があったという。

今回、富士通とInriaが開発したAI技術は、富士通が開発した時系列データを特徴ごとに分類して異常検知する解析技術を用いて、AIが異常と判定したデータから、異常判定の要因となった特徴とそうでない特徴を平面(TDA空間)上にマッピングする。

平面上で要因となった特徴の点データを、要因でない特徴の点データ群に近づけるように変換。変換後の点データ群の特性にもとづき、時系列データを復元し、正常と判定されるデータを生成する。

これにより、正常と異常の時系列データの形状を比較し、ユーザーは異常を視覚的に原因究明できる。さまざまな事象の時系列データにおいて、異常判定の要因分析を支援し、異常が起こるメカニズムの解明や新たな解決策の発見などへの貢献が期待できるとしている。

スタンフォード大学 医学部精神科 准教授の篠崎元氏は「一般的に、乱雑な信号の性質をもつ脳波は、多くの疾患を定量的かつ正確に判定するために利用することは困難とされてきました。近年、AIを代表とするデータ処理技術の進歩により、微細な脳波の特徴的な変化を把握することが可能となってきました。こうした進歩は、さまざまな疾患を診断するだけでなく、治療への反応性や発症メカニズムを解明する上で重要になります」とコメント。

続けて、「今回、富士通とInriaが開発した技術により、せん妄で特徴的な脳波を捉えることができました。この検証を通じて、今後はせん妄以外の疾患についても、より正確な診断や治療の効果判定、病態の解明などにつながる可能性を感じており、さらなる技術改良と実用化に期待しています」と述べた。

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