富士通、AIで船舶の衝突リスクを高精度に予測 過剰なアラートを約90%抑制

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画像は衝突リスク予測の従来比較イメージ

富士通株式会社は9月28日、国内初とうたう、湾内などの複雑な航路を含む海域における、船舶同士の衝突リスクを高精度に予測するAI(人工知能)技術を確立したと発表した。本技術を適用した実証実験では、アラートが多発する屈曲部を含む航路全体において、本来検出不要である過剰なアラートを約90%抑制できたという。

本技術は、船舶の現在位置やスピード、向きなどのデータを学習したAIで算出する従来の衝突リスク予測に、航行中の船舶が航路に沿う度合いを算出する新たなアルゴリズムを加え、衝突リスクをより高精度に予測するもの。航路に沿った進路変更などを危険な操舵(そうだ)と検知せずに、船舶の衝突リスクが高いアラートのみを検知できる。

衝突リスク予測の画面比較イメージ

富士通は2020年11月17日から2021年9月2日まで海上保安庁の協力のもと、東京湾における船舶の衝突リスク検知状況について、本技術を適用する実証実験を実施した。一定期間における評価の結果、航路の屈曲に沿って航行している船舶を含む航路全体の衝突危険度について、従来技術では過剰検出されていたアラートを約90%抑制できたという。

また、海上交通管制業務をする東京湾海上交通センターの実業務において、運用管制官が船舶に対する情報提供などを実施した業務記録および運用管制官へのヒアリング内容と、今回確立した技術で検出したアラートの突合せ分析した。結果、運用管制官が船舶に警告や勧告を出した危険度の高い事象のうち、約95%に対して正しく高リスクと判定(※)し、本技術が運用管制官の判断に近く、業務支援として有用であることが確認できたとしている。

(※)全64件中53件が閾値(いきち)超え、さらに8件もほぼ閾値近くの高リスクと判定した。

海上保安庁交通部は「今回の実証で、これまでシステムによる船舶の衝突リスクの予測が困難であった航路の屈曲部も含め、AIを活用し運用管制官を支援するシステムとしての有用性が確認できました。今後、実用化に向けて引き続き技術的な検討をし、さらなる安全性の向上を目指していきます」とコメントを寄せる。

富士通は、従来の衝突リスク予測技術に今回開発した技術を適用し、2022年3月までに船舶の航路屈曲部においても衝突リスクを高精度に検知する安全航行支援サービスの提供を目指すという。船舶サイズや船種などの特徴や過去の航行実績データをビッグデータ解析することで、船舶が航路に沿っているかどうかを定量評価する、現在研究開発中のアルゴリズムを搭載したサービスも2023年9月までの提供を目指すとしている。

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