人工歯をデザインするGANをカリフォルニア大学バークレー校とGlidewell Dental Labが発表。事例が少ないGANの実用化となるか

このエントリーをはてなブックマークに追加

今ディープラーニング界隈で注目を集めているGAN

GANは画像生成を可能にする技術です。人の顔を自動生成にフォーカスしたコンテンツなどはよく見かけますが、実用化まで進んだ事例はまだまだ少ないのが現状です。

そんななか、名門大学として知られるカルフォルニア大学バークレー校とニューポートビーチに位置する歯科先端技術研究所Glidewell Dental Labは、共同で人工歯をデザインするGANを開発したと発表。

細かい部分まで歯科医が時間をかけて調整している人工歯。GANのアプローチはどうなのでしょうか?

GANの特徴は人間には難しい複雑で自然なイメージの作成

自動での画像生成が可能で、注目を集めている敵対的生成ネットワークGAN(General Adversarial Network)。

GAN
GANは、Generator(生成者)とDiscriminator(判定者)の2つが競合することで学習される技法です。Generatorが訓練データに似た画像を生成し、Discriminatorはそれが訓練データか、もしくはGeneratorが生成した画像かを判定します。これが繰り返されることで学習が行われます。

そんなGANによる画像生成の良さとして挙げられるのは、自然なイメージの作成が自動で行えるという点です。

下の写真をみてください。こちらはGANによる鳥の画像生成ですが、正確さはさておき、とても自然で違和感のないものになっています。

このようなGANの長所を活かしたのが、今回のGANによる人工歯のデザインです。

今回発表された技術が確立されれば、近いうちにGANで設計された人工歯が使われる日がくるかもしれません。

GANによる人工歯はより患者の口にあったものへ

人工歯は、個々の患者の特徴に合わせなければならなく、単純作業とはいきません。

従来のやり方では、あらかじめ用意されているテンプレートを患者に対応させるため、CADなどをもちいて微調整を行う必要がありました。

CAD(computer-aided design)
CADはパソコン上で設計図や製図を作成するソフトウェアです。自動車や住居、建築、服飾などの設計・製図に使われます。

これには歯科医の労力・技術が必要でしたが、GANをもちいればその必要がなくなり、さらに技術が確立されれば、より患者にあった人工歯が作成可能になります。

ところで、GANによる人工歯と歯科医による人工歯どちらのほうがより正確なのでしょうか?

今回発表された研究結果によると、GANによる人工歯のほうがより患者の口に合い、噛みあわせが良かったそう。ただ実際に導入されるには、その精度の高さを継続していく必要があります。

現在、導入に向けて南カリフォルニアの医者による検証が行われているそうです。

ただ写真を撮るだけ。2枚の写真から歯のイメージを作成

ここで使われている技術は、描いた絵に一致するように写真を作成するGAN、pix2pixをもとにしています。

pix2pix
pix2pixはパラメーターから画像を生成するのではなく、画像から画像を生成するニューラルネットワーク。白黒写真や線画から写真を生成することが可能です。

ひとつの例として、下図のように猫の絵を描くとそれを写真に変換してくれるものがあります。

この技術を歯に応用したのが今回のGANです。

具体的のおこなっていることは以下の通り。

  • なくなった歯がある方の顎の写真を取って2Dイメージを作成する(prepared jaw)
  • 反対側の顎(あご)の写真を撮る(opposing jaw)
  • GANによって、このなくなった歯が位置する場所の間の距離をはかり、新しい3Dイメージの歯冠(しかん)を作成する(gap distance)(designed crown)

このように、なくなった歯の写真に基づき、GANが患者にあった新しい歯冠(しかん)を予測します。

くぼみなど細かい凹凸も自然に表現されていて、本物の歯のようです。今後、さらに技術が向上すれば近いうちに実用されるかもしれません。

今回は人工歯のデザインにGANが使われましたが、人工骨人工臓器などのデザインといったほかの医学の分野でも同様にGANの技術は使えると思います。

自然な画像生成が可能なGAN。今後、人がデザインするには複雑すぎる部分自然に表現したい部分などで実用的に使われる機会が増えていきそうです。