Googleは、5月10日に開催した年次開発者会議「Google I/O」で、多数のAIツールと機能を発表した。
新AIモデル「PaLM 2」は、同社の多くのAI製品の基盤となる大規模言語モデルだ。前世代の「PaLM」とは異なり、スマートフォンでも動作可能な軽量バージョンから、データセンターで動作する大規模なバージョンまで提供される。100以上の言語で学習しており、テキストだけでなく画像も処理する能力を持つ。
また、同社はチャットボット「Bard」を一般公開した。BardはPaLM 2を使用することで、能力の向上が図られている。これにより、ユーザーはより精度の高い情報検索と対話体験を享受できるようになるという。「Gemini」と名付けられたPaLM 2の後継モデルも開発中だ。
同社の各種サービスであるGmail、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleスライド、Google Meetにも生成AIが組み込まれ、より効率的な業務遂行を支援する新機能が追加されるという。
これまでGoogleには厳しい時期があった。先日漏洩した内部資料には「AI分野の競争でGoogleに勝ち目はない、GoogleのAIにはmoat(防壁)がない」という従業員の嘆きが見られた。
今回発表された新AIツールと機能の発表は、GoogleがAIの可能性と進化を引き続き追求し、その技術の発展に向けた研究と開発を進めていることを示している。GoogleトレンドでChatGPTとBardの検索数を比較してみると、Google I/Oを皮切りに、まだまだChatGPTに及ばないものの、Bardの検索数は増加しているようだ。
青がChatGPT、赤がBard
2016年、CEOであるスンダー・ピチャイ氏の名前で公開されたニュースレターで、同氏は「私たちはモバイルファーストからAIファーストの世界へ移行します」と述べている。逆風が吹く時期を経て、同社は新たな開発を通じて自社の威信を取り戻しつつあるのだろうか。