グーグルのワークショップを研究者たちが欠席 著名なAI研究者2名解雇の波紋収まらず

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画像はBen Nuttall Follow「Google HQ」より

米グーグル(Google)が倫理的AIチームの共同リーダーを務めるティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)氏およびマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)氏を解雇したことに抗議し、複数の研究者たちが同社の開催する招待制のワークショップ「Machine Learning and Robot Safety Workshop」をボイコットした。米WIREDなどが報じている。

コーネル大学のロボット工学の教授であるハダス・クレス=ガジット(Hadas Kress-Gazit)氏は3月13日、自身のTwitterアカウントにおいて、「これ(研究会への招待)についてたくさん考え、本ワークショップへの参加を取りやめることにしました。理由は@timnitGebru(ティムニット・ゲブル氏)、@mmitchell_ai(マーガレット・ミッチェル氏)、倫理的AIチームの騒動の後では、研究やグーグルに関係することを支持できないからです」とツイートしている。

また、テキサス大学オースティン校のCS部助教授であるビジェイ・チダンバラム(Vijay Chidambaram)氏は3月13日、自身のTwitterアカウントにおいて、同ツイートを引用リツイートし、「@HadasKressGazit(ハダス・クレス=ガジット氏)を称賛します。より多くの研究者がこのような原則的な立場を取ることを望みます。私の場合、彼らがやり方を変えるまでグーグルの資金を用いません」と宣言した。

>>米WIREDによる報道

グーグル、著名なAI研究者が突然の解雇 今回の報道は大きな波紋の一部に過ぎない

事の発端は、ティムニット・ゲブル氏が2020年12月2日、自身のTwitterアカウントで、同社に解雇を通告されたとツイートしたことである。

ティムニット・ゲブル氏は、米マイクロソフト研究所(Microsoft Research)に所属していた2018年には、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者であるジョイ・ブオラムウィニ氏(Joy Buolamwini)と共同研究した、AIによる顔認証が白人男性では高い精度を発揮できるものの、アフリカ系(黒人)などの有色人種では精度が低くなってしまうことを明らかにした論文で有名だ。

ティムニット・ゲブル氏はグーグルの従業員4人を含む計6人とともに、同社の自然言語処理モデル「BERT」のような、大規模な言語モデルの倫理的な問題を取り扱う論文を共同執筆していた。ティムニット・ゲブル氏は上司から論文の撤回を求められ、同僚らに送るメールのなかで状況を説明したところ、グーグルから解雇されるにいたったとされる。

インターネット上では、グーグルに対して反発する署名に、グーグル社員2695人に加え、学術・産業・市民社会の支援者4302人が署名している。また、SNS上でも、グーグルのほか、マイクロソフトやNVIDIAなど、さまざまな企業の研究者たちがティムニット・ゲブル氏への支持を表明した。

2021年1月末〜2月にかけては、ティムニット・ゲブル氏が2020年末に解雇されたことを理由に、グーグルの技術者2名が辞職した。グーグル Trust & Safety(トラスト&セーフティ)でエンジニアリングディレクターを務めるデヴィッド・ベーカー(David Baker)氏は米CNNと取材に応じ、「会社の文化を改善しようとしているうちに、疲れ果ててしまった」と述べたという。

2021年2月19日には、先に解雇されたティムニット・ゲブル氏に対する差別的な扱いを示す例を見つけるために奮闘していたマーガレット・ミッチェル氏も自身のTwitterアカウントで、同社も解雇されたことを明らかにした

今回のグーグルが開催する招待制のワークショップ「Machine Learning and Robot Safety Workshop」を複数の研究者がボイコットしたとする報道は、これら一連のティムニット・ゲブル氏の解雇にともなう大きな波紋の一部に過ぎないと言える。今後もグーグルと研究者たちとの攻防は続くだろう。