グーグル、著名なAI研究者たちの解雇が影響 人種的公平性の調査迫られる

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米グーグル(Google)は、倫理的AIチームの共同リーダーを務めるティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)氏およびマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)氏を解雇したことを受け、非営利の公民権擁護団体であるColor of Changeに業務に関する人種的公平性の調査を許可するように求められた。米Bloombergが報じている。

>>米Bloombergの報道

調査はグーグルの事業が差別的行為をしている可能性がないか探るもの。第三者機関が実施し、企業のビジネスモデルを分析して差別を引き起こしていないか、強化していないか、永続させていないかを判断する。

ティムニット・ゲブル氏は2020年12月2日に、マーガレット・ミッチェル氏はその約3ヵ月後の2021年2月19日にそれぞれ自身のTwitterアカウントで、同社に解雇されたとツイートした。

ティムニット・ゲブル氏はグーグルの従業員4人を含む計6人とともに、同社の自然言語処理モデル「BERT」のような、大規模な言語モデルの倫理的な問題を取り扱う論文を共同執筆していた。ティムニット・ゲブル氏は上司から論文の撤回を求められ、同僚らに送るメールのなかで状況を説明したところ、グーグルから解雇されるにいたったとされる。

マーガレット・ミッチェル氏はティムニット・ゲブル氏に対する差別的な扱いを示す例を見つけるために自動化したソフトウェアを使用し、自身が過去にやり取りしたメッセージを検索していたこともあり、同じく解雇されてしまった。

これら不当とも言える解雇の影響は計り知れず、グーグルの技術者たちが辞職したり、複数の研究者たちが同社の開催する招待制のワークショップ「Machine Learning and Robot Safety Workshop」をボイコットしたり、グーグルでAI研究チームのマネージャーを務めていたコンピュータ科学者のサミー・ベンジオ(Samy Bengio)氏がアップルに移籍したりするなど、大きな波紋が広がっている。グーグルが今回の要望に応えるのかどうか注目したい。