グーグル、AI子会社の独立性向上の交渉打ち切り 支配力をさらに強化か

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画像はUnsplashより

米グーグル(Google)が2014年に買収した英AI(人工知能)企業のディープマインド(DeepMind)の独立性向上に関して、交渉を打ち切っていたことが明らかになった。米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じている。

米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、ディープマインドのシニアマネジャーたちは機密性の高い研究のために独立した法的構造を求め、長年にわたりグーグルと交渉を続けていた。ディープマインドは4月末、グーグルに交渉を打ち切られたことを社内のスタッフたちに伝えたという。

米ザ・ヴァージの報道によると、本交渉はディープマインドが研究している強力なAIは1つの企業体に支配されるべきではないという考えからだったとされる。米ウォール・ストリート・ジャーナルは今回の交渉打ち切りは「グーグルをはじめとするハイテク大手が、AIの研究と進歩に対する支配力を強めようとしていることを示す最新の例」と指摘している。

米ザ・ヴァージの報道によると、ディープマインドには世界最高のAI研究者たちが在籍している。学術論文だけではなく、週刊科学ジャーナル『ネイチャー』の表紙も飾っている。コンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo(アルファ碁)」でも知られる。

グーグル、著名なAI研究者2名解雇の波紋収まらず

グーグルと言えば、同社が2020年12月から2021年2月にかけて、倫理的AIチームの共同リーダーを務めていたティムニット・ゲブル(Timnit Gebru)氏およびマーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)氏を相次いで解雇したことは記憶に新しい。

ティムニット・ゲブル氏はグーグルの従業員4人を含む計6人とともに、同社の自然言語処理モデル「BERT」のような、大規模な言語モデルの倫理的な問題を取り扱う論文を共同執筆していた。ティムニット・ゲブル氏は上司から論文の撤回を求められ、同僚らに送るメールのなかで状況を説明したところ、グーグルから解雇されるにいたったとされる。

マーガレット・ミッチェル氏はティムニット・ゲブル氏に対する差別的な扱いを示す例を見つけるために自動化したソフトウェアを使用し、自身が過去にやり取りしたメッセージを検索していたこともあり、同じく解雇されてしまった。

これら解雇の影響は計り知れず、グーグルの技術者たちが辞職したり、複数の研究者たちが同社の開催する招待制のワークショップ「Machine Learning and Robot Safety Workshop」をボイコットしたり、グーグルでAI研究チームのマネージャーを務めていたコンピュータ科学者のサミー・ベンジオ(Samy Bengio)氏がアップルに移籍したりするなど、大きな波紋が広がっている。

最近でも、グーグルは非営利の公民権擁護団体「Color of Change」に業務に関する人種的公平性の調査を許可するように求められている。AIの多様性の向上を目指す「Black in AI」「Queer in AI」「Widening NLP」の3つの非営利団体にも資金提供を断られた。グーグルは同社の研究者や社員たちだけではなく、多様性を重視する団体からも非難を浴びているのだ。

これら一連の流れを振り返ると、ウォール・ストリート・ジャーナルがつづった「AIの研究と進歩に対する支配力を強めようとしている」という言葉は、緊迫した現在の状況を的確に表していると言えるだろう。今後のグーグルの動向に注目してほしい。

>>米ザ・ヴァージによる報道(英語)

>>米ウォール・ストリート・ジャーナルによる報道(英語)