IoTを活用した海苔製造 湿度管理で梅雨どきでも生産量アップ目指す

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画像出典:フォトAC



「味付け海苔など、私たちが日々生産している海苔製品は、いわゆる“乾物”に類する食品で、製造および流通過程で乾燥した状態をいかに保つかがとても大切です。特に海苔は湿気に弱く、含有水分量が一定値を超えてしまうと生産後の品質に影響が出てしまいます。ですから、工場内の湿度を適切に保つことが欠かせません」

こう話すのは、株式会社大洋食品 専務取締役海苔事業部統括 中山 孝広氏だ。

1958年に創業した大洋食品は、水産加工品の製造・販売会社だ。同社の海苔生産の製造拠点である大村工場は、月産700~800万枚の生産能力をもち、多岐に渡る品目の海苔製品を製造している。

大洋食品では、人手不足の解消を目的に、生産ラインの機械化を進めたが、その一方で湿度管理の手間がかかっていたという。それは、湿気が多いと裁断片などが機械に付着し、機械を停止して洗浄しなければならないからだ。そこで、大洋食品は工場内の湿度管理を目的に、アステリア社のIoTミドルウェア「Gravio」とレノボ・ジャパン社のIoTゲートウェイ「ThinkCentre M90n-1 Nano loT」を用い、IoT温湿度管理ソリューションの試験採用に乗り出した。

1日1回の温湿度チェックではとらえきれない リアルタイム性が必要だった

大村工場では、これまでも湿度管理の一環として工場内各所の湿度を定期点検していた。1日1回の頻度で担当者が工場内の各所を巡回し、計測機によって温湿度をチェックしていた。しかし、日々の温湿度の状態は把握できていたものの、細かな温湿度の変化はとらえきれなかったそうだ。

大洋食品の海苔事業部工場長 音湘 雅治氏は、「工場内各所の温湿度の変化がリアルタイムでとらえられないということは、どのような事象が工場内の湿度に大きな影響を与えているかが見えないということ。湿度対策を強化するために何をどうすべきかの答えも見えてこない」と話す。

同氏によれば、資材の搬入や製品の搬出、作業者の出入りや発汗など、工場内の湿度に影響する事象はさまざまあるそうだ。そこで、各所の湿度データをリアルタイムに収集し、変化をとらえることを目的に、IoTソリューションの活用に大きな可能性を見出した。

大洋食品が導入したアステリアのGravioでは、Gravioが収集・加工したデータは工場の事務所のPCに転送し、可視化される。可視化された温湿度データは1分刻みで更新がかけられ、温湿度の異常値が検出された際には、アラートを発する機能を備えている。

温湿度の変化と商品品質との相関関係が分析できるように

大洋食品ではThinkCentre M90n-1 Nano loTおよびGravioを使ったシステム稼働の日はまだ浅いものの、IoTソリューションへの期待はさらに高まっているという。

同社の品質管理室室長 森 紘大氏は次のように話す。

「品質管理の観点から言えば、湿度と品質との相関関係を精緻に分析することが大切です。loTソリューションによって、その分析に役立つデータが数多く得られると期待しています」

また、中山氏は、「IoTソリューションによる湿度管理の徹底で、季節変動の少ない、安定した生産を実現したい」と続ける。同氏によると、湿度の高い梅雨どきは、海苔製品の生産効率が10%ほど落ちるのが通常で、この時期をどう乗り切るかが例年の課題だという。仮に、梅雨どきの生産効率をほかの時期と同程度まで引き上げることができれば、年間の生産量は大きく伸ばせるそうだ。そのためにも、「工場内の湿度を一定に保つための効果的な手法を確立しなければならない」と同氏は話す。

大洋食品の海苔事業部が手掛ける製品の種類は約200。それらの製造を担う現場にとって、IoTソリューションは、温湿度の影響を可能な限り抑え、最も効率的な生産計画の立案と遂行のために稼働している。