熟練面接官の「実践知」にとどまらぬタイプ別モデルケースの可視化。独自の分類モデルで企業の採用力向上を支援するZENKIGENの取り組み

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HR Techスタートアップ 株式会社ZENKIGENは2023年3月9日、ソリューションプロバイダーの株式会社大塚商会と共同で、面接動画のAI解析をもとにした「面接官のタイプ別分類モデル」の構築を実施したことを発表した。
同社は2023年3月8日、株式会社USEN-NEXT HOLDINGSの新卒採用において、動画AI解析を用いて面接官のスキルを可視化し育成する取り組みの開始も発表している。

技術概要

同社が保有する300万件以上の動画データをもとに、深層学習などの技術と採用領域の専門的知見を活用し、面接の解析に特化した独自のAIモデルを構築しており、同モデルを活用することで応募者と面接官のコミュニケーションを、発話内容などの「言語情報」と表情や身体の動きなどの「非言語情報」を定量化し、時系列で解析することが可能になるという。

面接のコミュニケーション解析に加えて、適性検査や面接官の評価結果などの動画以外の採用データも含め総合的に分析することで、面接官ごとの特性や採用貢献度を定量化。採用プロセスにおける課題点を抽出し、効果的な改善施策を実施するとのこと。
サービス詳細:https://harutaka.jp/

実践知の可視化とタイプ分け(大塚商会との取り組み)

同社の提供する採用DXサービス「harutaka (ハルタカ)」を用い、オンライン面接時の録画データをもとに表情や振る舞い、発話比率などを面接品質の指標としてAI解析し定量化してきた同社と大塚商会は、さらに、神戸大学服部泰宏准教授との共同研究にて面接官インタビューを実施。熟練面接官の「実践知」を可視化することにより、定量・定性の両観点から「目指すべき面接官像(モデルケース)」を導き出すことに成功。大塚商会の面接傾向やモデルケースが可視化され、面接官全員参加による講習会にて共有することで、全関係者が共通認識を持って採用面接に臨むことができたという。

これまでの取り組みを踏まえ、大塚商会のさらなる採用力の向上を目的として採用貢献度の高い面接官のモデルケースの分析をさらに深掘りし、新たに面接官のタイプ別分類モデルが共同構築されたという。

面接官のタイプ別分類モデル

発話比率や笑顔度、相槌回数などを振る舞いの指標として定量的に分析し、複数のタイプでの検証とモデル構築を実施

タイプの例
・面接官の発話比率が高く面接をリードすることを強みとする「リード型」
・応募者の話を真摯に聞く姿勢の強い「相づち型」
など

──株式会社大塚商会 人材開発部部長代理 閤師 敏晃氏

「今回のプロジェクトでは、面接官のタイプ別分類を行い、その結果を基に、複数タイプの面接モデルケースのフィードバックを行いました。面接官として目指すべき方向性が明確化され、個々の面接官としての意識の向上、更には応募者の面接体験向上に繋がっていくことを期待しております。
ここ数年の面接におけるAI活用により、弊社面接官の意識は大きく変化いたしました。今後はリアル面接とオンライン面接のそれぞれの良い面を融合させ、より最適な選考を行ってまいります。
ZENKIGEN様のデータ活用の発展に今後も大いに期待しております」

従来の「熟練面接官」という画一的なモデルケースを目指すのではなく、面接官一人ひとりの個性や強みを解析し定量化することに成功し、面接官が自身のタイプとその強み・弱みを把握できるようになったことにより、今後は「弱みを改善して面接スキルの底上げを目指す」「弱みの改善より強みをさらに伸ばすことに注力する」など、面接官一人ひとりに合わせた個別育成の仕組み化を目指すという。

面接官のタイプ別分類モデルの見直し及び検証を継続的に行いながら分類精度を向上させ、また、解析可能な振る舞いの指標を増やすなど分類モデルの高度化に取り組み、大塚商会のさらなる採用力の向上を支援すると同社は述べる。

>>ニュースリリース

面接官へのリアルタイムフィードバックで応募者によりよい面接体験を(USEN-NEXT GROUPとの取り組み)


「就活維新 -RecruiTech® for U.-」というコンセプトで新しいリクルーティングスタイルを目指すUSEN-NEXT GROUPは、履歴書やエントリーシートの代わりに自己PR動画を投稿する「スマートPR」などを導入しているが、これまで同社の提供する採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」を活用した動画AI解析を実施し、その解析結果を全応募者へフィードバックする「AIフィードバック」を行ってきたという。

このたびは、新たに面接官の育成のため動画AI解析を活用し面接官スキルの可視化を行うとのこと。
面接の動画データから、応募者と面接官の「表情の動き」や「発話比率」などを面接品質の指標としてAIが解析・定量化。面接中及び面接終了後に解析データに基づいたフィードバックを面接官へ行い、コミュニケーションの改善を促すという。

面接官の笑顔度や相槌回数などを振る舞いの指標として分析し、面接官ごとの個性に応じて複数のタイプ別に分類することにより、各タイプごとの傾向や改善点などが把握可能となり、応募者のより良い面接体験を実現するために効果的な面接官育成・研修を行うことが可能となるとのことだ。

主な導入効果は以下
1)エントリーから面接終了までの一連の選考体験の向上
2)応募者が自身の魅力を最大限発揮できたと感じられる面接の実現
3)「熟達面接官」のスキルを可視化し、より良い面接の型を創出

──株式会社USEN-NEXT HOLDINGS 執行役員 コーポレート統括部長 住谷 猛氏

「面接官スキルの可視化は人材採用における永年の課題でした。人事部にとって面接はブラックボックスであり、面接官スキルは属人的なナレッジの中に閉じて存在しています。今回の取り組みにより、面接官スキルの可視化が有効的に実現することは、優れた面接官の育成に大きく貢献するでしょう。また応募者と面接官の最適なマッチングは、より公平かつ有用な面接体験を創出することにつながります。HRテックにより、働く人と企業のより良い出会いがより多く生まれることを大いに期待しています」

>>ニュースリリース