広島大学やマクニカ、うつ病予防のDX目指す共同研究を実施

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画像はUnsplashより

広島大学、Meiji Seika ファルマ株式会社、株式会社マクニカは5月6日、広島大学が展開するうつ病の客観的診断・治療法や感性の脳科学研究成果を活用する「うつ病予防のデジタルトランスフォーメーション(DX)と社会実装」を目指し、共同研究契約を締結したことを発表した。

うつ病は長期休職、失業、自殺などの最大要因として大きな社会課題と言える。三社によると、長引くコロナ禍にともなう外出自粛などの行動制限や経済不安によって、うつ病や自殺者が再急増しているという。科学的根拠に基づく対策がグローバルの観点においても喫緊の課題になっている。

このような状況のなか、広島大学脳・こころ・感性科学研究センター(BMKセンター)の山脇成人特任教授らの研究グループは、これまでうつ病患者を対象とした【1】機能的MRI(fMRI)を用いた脳機能画像、血液バイオマーカー、臨床情報などの多次元データのAI解析による、うつ病の客観的診断法や抗うつ薬の効果予測法の開発、【2】患者が自身の脳活動を制御してうつ症状を改善するニューロフィードバック治療法の開発、健常者を対象とした【3】脳波を用いた感性の可視化技術に基づくワクワク感メーター法など、ネガティブ(憂うつ)からポジティブ(ワクワク)までの感性脳科学研究成果を発表してきた。

今回の共同研究では「脳波およびスマートウオッチ、スマートフォンなどのウエアラブル計測デバイスにより取得する生体情報を用いた、脳科学に基づくストレス可視化技術の開発」「IoTやクラウド情報通信技術を用いた脳・生体情報データのプラットフォーム構築と、AIを用いた個人の特性に応じたストレス状況のリアルタイム可視化技術の開発」「ストレス可視化技術を用いた、自分のストレス状況を自らコントロールする新たなうつ病予防法の開発」を実施する。

山脇成人特任教授らの研究成果を基に、Meiji Seika ファルマは基礎・臨床研究支援と市場調査、マクニカは医療IoT機器の探索・調達とクラウド・AI・ソフトウェア開発支援を担う。Meiji Seika ファルマとマクニカは事業化、三者は新たなうつ病予防法の開発と社会実装を目指すという。

Meiji Seika ファルマは「次世代の精神科医療に貢献したいと考え、本共同研究に参画するに至りました」、マクニカは「コロナ禍により拡大が懸念されるうつ病の予防をDXの活用で実用化を目指すという山脇先生のビジョンに共感し、参加に至りました」と、それぞれ本共同研究に参加した経緯を説明している。

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